【掌編小説】グラスとラムレーズン
夜の中央は、何時頃なのだろう。
一日の始まりは、いつからなのだろう。
午前2時のコンビニエンスストアは、白い光を周囲に放ちながら、夜の海の面でゆらゆらと揺れている。
あたしは、イートインスペースの椅子の上から、ガラスの向こう側に広がる異世界を眺めている。
冷房が効きすぎているのかな、少し寒い。
誰もいない空間には、時間が流れない。
赤いテールランプが海面を跳ねていく世界は、容赦なくあたしを置き去りにしていく。
少しだけ口をつけたラムレーズン。
ちっとも、減りやしない。
「どうしようかな」
リノリウムの床じゃ、あたしを支えられない。