あたりまえの奇跡
やっとお日様が帰ってきてくれました。蝉も待ちかねたように大合唱です。朝から自然の不思議を感じています。どうして皆が一斉に土から出てくるのでしょう?何かのきっかけがあるはずなんですよね?!言葉で合図をしているのでしょうか?
自然の中で起こっていることにおもいを馳せると、ついつい本を探してしまいます。書物につづられた言葉がそれを教えてくれるのではないかと思うわけです。そうして本の森にわけ入ると、不思議なキノコに出会います。胞子をはなってミクロの世界へ誘います。
胞子の中には、また宇宙があります。ああ、やはり終わりはなかったと残念に思うと同時に、次の不思議に出会うのです。そして謎解きの旅へ出かけていきます。本と写真機をもって。こうして人生の至福の旅をつづけていると、あるとき玉手箱を拾います。
ケムリの中に答えは見つかりませんが、旅の切符は用意されています。「ひとはこの宇宙」。蝉は歌い、木々はゆれ、キノコも踊ります。ひともおひさまの光をあびて、嬉しそうに笑います。夏が来て、蝉が歌う。あたりまえの風景は奇跡なのかもしれません。