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雲の玉手箱をひらくと…

ぼんやり滝つぼの水をみていました。こどものころのお話です。

いつから気がついたのでしょう。それはぼくにもわからないのです。

「知らないうちに案内された道をあるいていた」そんな感じです。龍の歩いた道のあとだったのかもしれません。そんなことを考えるとワクワクしてくるものです。そういえば、あるとき家人が「家の中を龍が通り抜ける夢を見た」というのです。「邪魔やからのけ」といわれたと。「そんなこといわれても…」。でもその時、なぜかあの時のうろこが思い出されました。

そう、滝つぼをぼんやりとみていたのです。雨上がりの川にようやく透明感がもどってきたころだったように思います。遠い昔の記憶は、ほとんどが定かでないのですが、滝つぼにみたうろこの模様だけは、不思議と鮮明に覚えています。「大きな魚やなぁ」と思った直後、「そんな大きな魚おるわけないやんか!?」と驚いたので、はっきり記憶にのこっていたのでしょう。大きなうろこのついたいきものが、滝つぼの中で踊るように動いていました。その遠い記憶は鮮明に刻み込まれるのですが、数年前に龍の夢のお話をきくまで封印されていました。数十年も昔の話ですから思い出したのが不思議です。

ここまで生きてきて本当に不思議に感じることが、いろいろと起こりました。こまったときに助けてくれる人がかならず現れるのです。思いもよらない場所に住むことになっても、不思議なご縁がうまれます。「龍」という字が名前についたひとであったり、「龍」という犬を飼っている人だったりします。もちろんそれだけではないのですが、気のせいか多いのです。

旅する土地に呼ばれるときも同じことが起こります。一番不思議なことは、龍の国とかかわるようになったことでしょう。それは、華の国であったり、幸せの国であったり、東洋の奇跡といわれた国であったりします。フランスのモンサンミッシェルでは、海に龍の模様があらわたりしました。信じてみると出るわ出るわ(笑)。

大和の国には不思議な神さまがたくさん住んでおられます。むつかしすぎて名前はおぼえきれませんが、たしかに何かを感じることがあります。ぼくは奈良に住む気などまったくなかったのですが、気がつけばどっぷり奈良人になっていました。まだわからないことばかりなのです。春日さんから預かった玉手箱は、あけてはいけないのではなく「あけなさい」といって手渡されたような形です。

そう、滝つぼには確かに龍がいたのです。金色に輝くうろこをつけた龍が、藍の川のなかに住んでいるのです。その水は海へとながれ、ご縁のあるところへ導きます。ぼくを世界のいろんなところへ運んでいくのです。メコン川をさかのぼって、源流をたどるように。

もしかしたら、自分の魂がかえるところを探す旅をしているのかもしれないと思うことがあります。生まれた時から魂が喜ぶところをめざして、旅をしている。成長などしなくてもいい。いや、してもいいですよ。きっと。旅をするうちに勝手に成長してくれるんです。龍さんがみかたですから。

雲の南に住んでいた時、よく空をながめました。このごろは空をながめることが多くなりました。ツバメやオオタカが飛んでいないか?コウノトリはいないかなぁ…。龍がいたらいいのになぁ…。玉手箱からたちあがったケムリは、龍の形を描いて、雲になって南へ飛んでいくのでしょうね。

そういえば、昔覚えた秘密の呪文はなんだったっけかなぁ。

まぁ、いいか♬ なるようになりますから。

雲のようにきもちよく、いまを楽しみましょう。雨にもまけず、風になって、生きていきます♬

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