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【2025年】 ビジネス現場では、「AIエージェント」より「AIワークフロー」がトレンドである理由

こんにちは!株式会社Bocekのコンサルタントとして企業のAI活用支援・開発支援を行っている中原です。

同社が運営する生成AI特化メディア「PROMPTY」にて、200社以上の生成AI導入企業の直接取材、700以上の記事監修を行った経験もあります。

今回は、最近話題の「AIエージェント」にフォーカスしつつ、「AIワークフロー」との違いにも注目しながら、ビジネス現場のAIトレンドについて語っていきます!

1.「AIエージェント」と「AIワークフロー」の違い

今、AI界隈で最もホットなワードといえば「AIエージェント」ではないでしょうか?多くの企業やメディアがその可能性を語り、未来のAI像として注目を集めています。

一方で、最近話題のDifyなどのAIツールで頻繁に使われる「AIワークフロー」という言葉も、AIエージェントほどではないですが密かに注目を集めています。

一見似ていますが、実はこの2つの言葉には明確な違いがあります。

まず、トレンドの「AIエージェント」。この特徴は、なんといっても"自動化・自律性"です。

AIエージェントは、人間の入力や指示をもとに、自分で実行に必要なプロセスを考え、全てを自動化する、まさに"エージェント"として期待されています。

AIエージェントによって例えば、「生成AIの歴史についての資料を作って」というと、見出しの作成や情報収集のプランを自分で考え、実際に資料のパワポ資料の作成まで自動で行ってくれるという、まさに夢のようなことが実現できます。

去年の年末12月に発表された世界初の完全自律型ソフトウェア「Devin」は、人間の入力をもとに自分でコーディングのプランを立てて、それに基づいて自動でエンジニアリングタスクを実行します。


一方、「AIワークフロー」は少し異なります。こちらは、あらかじめ人間が構築したプロセスに基づいてタスクを実行します。

例えば、「請求書を受け取ったら内容を確認して分類し、必要な部署に送付する」といった手順をあらかじめ設定しておき、そのルールに従って動くのが特徴です。

AIワークフローが構築できるツールとして、最も代表的なものとしてDifyが挙げられます。DifyにはたくさんのAIワークフローテンプレートが用意されているため、ユースケースを検索することができます。(海外製品なので、英語UIである、ローコードでコーティング知識が多少必要なので、ある程度上級者向け)

また、弊社Bocekでは日本語UIかつノーコードで誰でも簡単にワークフローが構築できるTaskhubというツールを提供しています。
(現在1ヶ月間限定トライアル実施中)


まとめると、AIエージェントは“自分で必要なプロセスを考えて実行するAI”、AIワークフローは“決められた通りのプロセスに沿って実行するAI”です。

全てを自動化してくれる「AIエージェント」の方がもちろん魅力的に思えますが、今ビジネスの現場で必要なのは、"目の前の課題を解決する現実的なツール"です。

本記事では、なぜ2025年のビジネストレンドが「AIエージェント」ではなく「AIワークフロー」であるのか、その理由を掘り下げていきます。


2. なぜAIエージェント・AIワークフローがビジネスの現場で注目され始めたのか

本題に入る前に、そもそもなぜAIエージェント・AIワークフローが注目され始めたのでしょうか。

生成AIのビジネス活用はここ1–2年でかなり進展してきました。
多くの企業が生成AIを導入し、業務効率化の結果を大々的に発表する企業もちらほら存在します。

引用:https://www.gmo.jp/news/article/9330/


しかし、生成AI活用において、シンプルなプロンプト(命令文)の処理だけでは限界があります。

もっと結果を出すには、"より多くの業務"を"より自動化"する必要があり、そのためには、次の2つが重要になります。

①AIがより多くの情報にアクセスできる

②1回のプロンプト(命令文)に留まらず、複数プロンプトや生成AI以外の処理を組み合わせて自動化する

多くの企業に生成AI活用が浸透し始めてきた今、この2つを満たす存在として、「AIエージェント」と「AIワークフロー」が注目を集めているのは、極めて自然な流れと言えます。

3. AIエージェントの課題

AIエージェントの自動化できる点とその自律性は、非常に魅力的です。

業務の流れを自分で考えて全て自動化する能力は、従来のツールでは達成できない圧倒的な効率化をもたらす可能性があります。

しかし、AIエージェントには以下のような課題があります。

  1. 精度の問題
    AIエージェントは人間の入力に対して、計画を立て、それに基づき業務の全てを自動化します。

    しかし、現時点では1回のシンプルなプロンプト(命令文)の入力でも、AIの出力を微修正することが必要なケースがほとんどであり、一連の流れを全て自動化しようとすると、人間が思い描いている理想の出力との乖離が生まれる可能性は極めて高いと言えます。

  2. セキュリティの課題
    AIエージェントが幅広い業務を自動化するためには、企業のデータベースやシステムへのアクセス権限が必要です。

    自律的に「どのデータをどう使うか」を判断することになるため、セキュリティ面で乗り越えなければならないハードルが高まります。

  3. ユースケースの不足
    国内ではまだほとんどAIエージェントのビジネスにおけるユースケースは見つかっていません。

4.2025年、ビジネスの現場では「 AIエージェント」 < 「AIワークフロー」

現段階のAI技術レベルでは、すべてを自動化する“完全自律型”よりも、あらかじめ決めた手順に沿った“人間との連携型”のほうが実用性が高いと考えられます。

「AIワークフロー」は、あらかじめ人間が定義したプロセスを忠実に守るので、狙いどおりの動きをしてくれるうえ、プロセスの微修正も可能です。

AIエージェントのようにすべてを自動化する場合、人間が途中で関わる余地が少なくなり、トラブルが起きたときに思わぬリスクやコストが発生するかもしれません。

現時点では、完全自動化には技術的にも運用面的にも多くの課題があるため、どうしても導入ハードルが高くなってしまいます。

結果として、ビジネスの最前線では、人間とAIが補い合いつつ必要なところを自動化するのが今の現実的な選択肢と言えるでしょう。

5. 企業担当者が「AIワークフロー」を導入するために必要なこと

AIワークフローを導入するとき、企業担当者が気にかけるべきポイントとして、以下が挙げられます。

  • ユースケースを洗い出す
    まずは自社の業務でAIワークフローが使えそうなところを調べることが大切です。いきなりワークフローを導入するのではなく、シンプルなプロンプト活用やRAG(Retrieval-Augmented Generation)によるデータ連携など、段階的に進めるのが現実的です。

  • AIが扱える情報範囲を決定する
    業務自動化のワークフローを回すには、データベースや既存システムとの連携が不可欠です。その際、AIの学習リスクや情報漏えいのリスクをしっかり理解し、どこまでAIにアクセスさせるかを慎重に考える必要があります。

6.将来的には、 AIエージェントがAIワークフローを束ねる?

将来的には、AIエージェントが複数のAIワークフローを連携させ、一元的にコントロールする可能性も考えられます。

たとえば、"AIエージェントが人間の指示を受け取り、その内容を理解した上で、適切なワークフローを呼び出して処理を実行する"というイメージです。

こうした仕組みが普及すると、AIエージェントは各業務プロセスの“司令塔”として働き、複数のワークフローを組み合わせることでより高度な自動化を実現してくれるでしょう。

7. 結論: 2025年、現場で求められるのは現実的な「AIワークフロー」

ビジネスの現場にAIを導入する際に大切なのは、あくまで“現実的に目の前の課題を解決できるソリューション”を選ぶことです。

少なくとも2025年の時点では、完全自動化の「AIエージェント」よりも、段階的に導入しやすい「AIワークフロー」が主流になりそうです。

まずはAIワークフローで確実に成果を出し、その成功事例を活かして将来的にAIエージェントの導入を検討する。

このようにステップを踏むアプローチが、多くの企業にとって最もリスクを抑えたAI活用の道筋と言えるでしょう。

おまけ:「AIワークフロー」が構築できるツール紹介

最後におまけとして、AIワークフローが構築できるツールを紹介します。

  • Dify
    AIワークフローが構築できる代表的なツール。多様なテンプレートが用意されています。英語UIやローコード(多少コーディング知識が必要)なので、ある程度上級者向け。

  • Taskhub
    弊社(株式会社Bocek)が提供している法人向け生成AIツール。海外ツールと比較して、日本語UIかつノーコードなため、誰でも簡単にワークフローが構築できます。

    期間限定で1ヶ月の無料トライアル実施中(下記のリンクからお申し込みいただけます)

  • Zapier
    RPAがメインのツール。生成AI機能が搭載されることで、より多くの業務フローを自動化。

  • Gumloop

  • copy ai

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