匂いに誘われて【カプセルプラス横浜@横浜駅】(2/2)
横浜駅に到着したのは13時を少し過ぎた頃だった。今までは横浜駅で「サウナ」と言えばスカイスパ一択だったが、そんな僕が今日は違うサウナに向かっている。少し新鮮な気分だ。
今日は4月8日(木)、天気は晴れ。ここ横浜に新たなサウナができたことをTwitterで知った僕は、混雑を避けるために足を運ぶタイミングを見計らっていたのだ。そして、その日がついにやってきた。
横浜駅周辺の土地勘はあまり無かったのだが、その目的地は駅から歩いて5分ほどの場所にあるらしく、スマホでマップを眺めながら歩いているとあっさり到着してしまった。
「ようやく来れたぞ〜」
そう、今回訪れたのはカプセルプラス横浜だ。ここはもともと「グランパーク・イン横浜」というカプセルホテルだったのだが、昨今の社会情勢によって閉店を余儀なくされ、そこに株式会社ナインアワーズが宿泊再生事業としてリニューアルを手がけたのである。
ナインアワーズといえば、僕のnoteでもお馴染みのドシー恵比寿やドシー五反田、新宿区役所前カプセルホテルなどの経営にも携わり、サウナ愛好家たちから注目を集めている企業のひとつだ。カプセルプラス横浜も信頼できるに決まっている。
(カプセルプラス横浜公式サイト: https://capsule-plus.jp/ )
さっそく中に入ると、そこには都会的で洗練された空間が広がっていた。すぐ目の前に受付があり、そこでサウナ90分利用を希望する旨を伝えると、タオルセットとサウナマット、そしてロッカーキーを渡された。
なお、料金の900円は現金にて先払い制である。今後キャッシュレスに対応される可能性もあるかもしれないけれど、とはいえこのお手頃な料金設定には感謝だ。ちなみに180分でもたったの1,500円とのこと。
受付のすぐ脇にある、コワーキングスペースを兼ねた落ち着いた雰囲気のラウンジを横目に奥に進むと、男性の浴場へと続く通路があった。ここから先は土足厳禁だ。僕は暖簾をくぐり、下駄箱に靴を預けて周囲を見回した。
「おおっ! すごい!」
なんと、そこにもさらに別の作業スペースがあったのだ。しかもコンセント付きで、フリーWi-Fiまで使用可能だ。これほど充実していたのであれば、90分だけの利用ではもったいなかったかもしれない。
(カプセルプラス横浜公式サイト: https://capsule-plus.jp/ )
この作業スペースは男性専用エリア内にあって、脱衣所と隣接していたので、サウナと仕事をシームレスに両立させることが可能になっている。これは革命的な動線だ。
(カプセルプラス横浜公式サイト: https://capsule-plus.jp/ )
その作業スペースに感嘆しつつ脱衣所に進んだのだが、白を基調とした明るくシンプルな清潔感のあるデザインで、思わず「無印良品みたいだな」と呟いてしまった。
ただ、これはあながち間違っていなかったようだ。後ほど調べたところ、プレスリリースによると空間デザインは無印良品のアイテムも手がけている柴田文江さんが担当しているそうで、似たような雰囲気を感じたのはそのためか。なんなら、ここに置いてあるドライヤーは無印良品のものだった。
とにかく、カプセルプラス横浜は全体的にミニマリストから好印象を抱かれそうな店舗ではある。
僕は指定されたロッカーを開けて荷物をしまい、いよいよ浴場へと足を踏み入れた。
「えっ、広いじゃないですか!」
(楽天トラベル: https://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/160802/160802_std.html)
浴場はかなり広々としていて、そこには大きなお風呂が一つと、2〜3人程度の大人がゆったり入れるサイズの水風呂が一つあった。さらに、メタルラックが2箇所に設置されているのでサウナマットや私物を置いておくこともできる親切仕様だ。先客はたったの3人。これは期待できる。
僕はまず身を清めてからお風呂に浸かってみることにした。
「お〜、気持ちいい!」
このお湯、なんと水道水ではなく井戸水を汲み上げて使用しているのである。そのためか、少ししっとりとした手触りで肌によく馴染んだ気がした。
そして体を程よく温められた僕は、タオルで全身の水分を拭き取り、いよいよサウナ室の中へと進んだのだった。
「ほぉ〜、なかなか落ち着いていて良いじゃないですか!」
(カプセルプラス横浜公式サイト: https://capsule-plus.jp/ )
ここはカプセルプラス横浜としてリニューアルしたとはいえ、サウナ室自体はもともとのグランパーク・イン横浜の名残があり、壁の模様からはその歴史が伝わってきた。温度は94℃と十分に熱かったが、湿度も保たれていたためか、体感温度はさらに高い。
室内は2段構成で7人ほどが座れるようになっていて、公式Webサイトの写真で見るよりも薄暗く、周囲をあまり気にすることなく蒸されることができる。テレビもついておらず、都会の喧騒から離れた無音の空間で自分自身と向き合うことができる瞑想向きのサウナである。
しかも、このサウナ室の特徴はそれだけではない。なんとセルフロウリュができるのだ。僕は空いている上段に腰をかけていたが、僕よりも先に蒸されていたお客さんがサウナ室を出て貸切状態になったタイミングで、アロマ水をバケツからすくい上げてサウナストーンの上に2回投げた。
「ジュワ〜〜〜……」
熱せられたサウナストーンにより水は瞬時に蒸発し、大量の蒸気がサウナ室に充満した。アロマは青森ヒバだろうか? 今までに伺ったセルフロウリュができるサウナではミント系の爽快感のあるオイルが使用されていることが多かったけれど、ここでは樹木系の落ち着いた香りを感じることができた。
そして、それからすぐにベンチに座り直してじっとしていると、高温の熱蒸気が僕の皮膚を灼き尽くしていったのだった。
「あっつ……!!!」
なんというアツさ。息が苦しくなってきた。心臓の鼓動も激しくなり、全身からいっきに大量の汗が流れ出した。
それから程なくして身体的に限界を迎えようとしたところで、僕はゆっくり立ち上がりサウナ室を出て、汗を流してから水風呂に肩まで沈み込んだ。
「うおぉおおおおぉおぉおお!!! 冷たい!!」
水温は16℃でバイブラは無し。個人的には直球で好みのセッティングである。しかも、こちらも井戸水が使用されていて、キンキンに冷たいはずなのに不思議と温もりも感じるのだ。そこでじっとしていると僕の体は徐々に羽衣に包まれていき、「水風呂に抱かれた」と言いたくなってしまうほどの快感を得られたのだった。
それから1分ほど冷水に沈んでいると、心臓の鼓動はすっかりと落ち着きを取り戻し、深い呼吸ができるようになっていた。
「そろそろ出よう……」
僕は水風呂から立ち上がり、すぐ近くにあったインフィニティチェアに横たわった。
「うおぉおぉぉおおおぉぉお!! なにこれ!!!」
ただでさえ極楽気分を味わうことができるインフィニティチェア。そこに、なんと天井に設置されたサーキュレーターが優しい風を届けてくれているではないか。今までの人生で最もサーキュレーターに感謝をした瞬間かもしれない。
あまりの心地よさに、僕の表情には自然と笑みが溢れてしまった。しかも、ちょうどその時には浴場から他のお客さんがいなくなり、完全に貸切状態になっていた。こんな贅沢があって良いものか。
その時、ふと腕を見ると1セット目からすでにサウナの勲章 ”あまみ” が出現していることに気付いた。そのことに驚きながらも、それから深呼吸を繰り返していると、僕の意識は次第に薄れていき、気付いた時には横浜の空を漂っていたのだった。
それから5分ほど経った頃だろうか。新たなお客さんも浴場に現れ始め、僕も意識を取り戻した。この至福の数分間を、僕は忘れることはないだろう。
その後、再びサウナ室に入ったところ、先ほどよりも室温が上昇していて温度計は104℃を指していた。サウナは「熱ければ良い」というわけではないけれど、これだけパワフルに蒸されることができるのは期待以上だった。僕は、その感謝の気持ちをアロマ水と共にラドルに乗せて、再びロウリュを行ったのだった。
結局その後にもう1セット、合計3セットをいただくと、受付をしてから75分ほどが経過していることに気付いた僕は、サウナで感じた喜びを噛み締めながらカプセルプラス横浜を後にした。
帰宅途中、僕の体にはまだあの香りが残っていた。
(written by ナオト:@bocci_naoto)
YouTube「ボッチトーキョー」
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