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優劣と個性【番外編】
日本人だからなのか人間だからなのかはわからないが、「ランキング」には一定の需要があるように思う。その理由はいくつも考えられるけれど、これだけさまざまな商品やサービスがコモディティ化している社会においては、消費者(利用者)側としても自分にとっての最適解を判断することが難しくなるので、第三者の意見が欲しくなるのかもしれない。その点、ランキングは投票者たちの総意なので、その中で上位であればあるほど安心感を抱くことができるのは一般的な人間の心理だろう。
僕自身もモノによってはランキングを参考にさせてもらうことがあるけれど、たとえば飲食店を新規開拓する時には友人からの直接的な口コミのほかに「食べログ」の点数順位も確認するようにしている。
そういえば、先日サウナに関するランキングが2つ発表された。まず1つ目はTTNE株式会社による「SAUNACHELIN 2020」。
こちらは11月11日のサウナの記念日「ととのえの日」に合わせて発表されたものだが、その選出方法はブラックボックスになっていて、あくまで一部の限られたサウナ愛好家によって恣意的に作成されたランキングだと言われている。
しかし、僕自身も実際に利用したことがあり施設自体への満足度が高かった店舗が複数選出されているので、ここで取り上げられているサウナはどれも魅力的な要素が詰まっているのではないかと考えられる。
2つ目のランキングは「第1回 週刊SPA! サウナ大賞」。こちらは明確に選定基準が公開されており、ある程度は純粋なランキングとして機能していると言えるのかもしれない。(表紙の誘惑がすごい)
今サウナがブームとなっている。人気施設は入場規制を行い、いざ入店してもサウナ室で行列が発生しているところもある。それなのに、〝ちゃんとした〞サウナランキングが見当たらない。そこで今回SNSでサウナ愛好家たちに呼びかけ、アンケートを実施した。「サウナー1000人」が選んだ結果とは。
調査対象:
「週に1 回以上サウナに行く」全国の男女1000人(男性797人/女性203人)の回答をもとに集計。「行ってよかったサウナ」は一人3票まで投票 「サウナを広めた人」は一人1票
ーー『第1回 週刊SPA! サウナ大賞』サウナ好き1000人が厳選する「サウナを広めた人」& 「行ってよかったサウナ」
こちらのランキングも魅力的な店舗が名を連ねていて、発表された直後のTwitterでの反応を見ていても、「SAUNACHELIN 2020」と比較して肯定的な意見が多く飛び交っていた。
『SPA!』買った!サウナ大賞の記事、なんだランキングっておもしろいじゃんと思ってしまった 笑
— ふちうサウナ (@f_shiraitodai) December 8, 2020
これだけズラッと店名が並ぶと価値があるのは1位だけじゃないと気づかせてくれる。ニュー椿は大金星だと思う。街の高校が甲子園でPL学園から1点取ったのを喜ぶ感覚(例が古い)。 pic.twitter.com/mvNRNrKZrj
SPA!のサウナ大賞見た!!!!これはおもしろい結果👏ユーラシア入ってるのめちゃ信用できる…w
— ず子🌹サウナ (@unichang8) December 10, 2020
しかも、椿が入っとるーー!銭湯ですよ!
週刊SPA『行ってよかったサウナ大賞』
— まんきつ (@kitsukomz) December 11, 2020
ランキングって何?好き好きはそれぞれでしょ…と思っていたけどすごく面白かった。AKB総選挙で熱狂する人の気持ちがわかる。私のホームサウナよ来年はランクインしてくれ…と思う反面混んだら嫌だな…でも応援したい複雑な気持ち。男女別ランキングも良かった! pic.twitter.com/Mw22jGh3kr
ただ、僕はランキングの存在自体は全く否定するつもりは無いし、僕自身も参考にさせていただいているけれど、「他人が決めたランキングの上位が必ずしも自分にとっての上位とは限らない」ということだけは忘れずにいたい。
たとえば、僕がよく利用している「食べログ」の点数順位だって、3.40点よりも3.00点の飲食店のほうが満足度が高かったようなことだって何度も経験しているし、3.60点と4.00点の満足度に差を感じられなかったこともある。
では、なぜそのような現象が起きるのかというと、このようなランキングは結局のところ個人の経験と価値観に基づいた主観的な感情によって票が入れられているためだ。これが自動車の販売台数や100m走のタイムなどの客観的な事実によって構成されたランキングであれば誰もが「その基準においてはその順位になるだろう」と納得するのだが、一人ひとりの経験や価値基準が異なる中で投じられた票を集めたところで、そこから導き出された順位は絶対的なものではない。とはいえ、そのように集計された票であっても、その結果としてランキングの上位に入るということは、きっと一般的にはそれだけ価値のあるものだと言えるのだろう。(もちろん下位に入っていたとしても個人的な評価が高い場合もある。)
ただ、おそらく一定の順位以上のものであれば一定以上の評価に値するとは思うのだけれど、その「一定」より先に優劣は存在しないのではないかと思うのだ。きっとそこにあるのは、優劣ではなく個性による違いだけだ。
たとえば、TC Candlerが毎年年末に発表する「世界で最も美しい顔100人」についても、きっとここで選ばれている100人は一般的に「美しい」と言われる部類に入るのだろうけれど、この100人の中でさらに誰もが納得する絶対的な順位を決めることは不可能なのだ。
(ちなみにこちらのランキングについては、運営側がはっきりと「これは人気コンテストでも世論を反映したものでもなく、主観的なもの」と公言している。)
だから、ランキングにおいて僕が重要視したいのは、その順位が誰による誰のためのランキングなのか、ということだ。
「SAUNACHELIN 2020」については、一部のサウナ愛好家によって主観的に作成されたランキングであるにも関わらず「全国のサウナ愛好家たちの総意」のような見せ方を行っているために否定的な意見も数多く飛び交ったが、僕自身はこのランキング自体には価値があるものだと思う。あくまでTTNE社の価値観によって決められたランキングではあるのだが、だからこそ大衆向けではなくTTNE社と価値観が合う一部の人においては非常に参考になる情報なのではないだろうか。
繰り返すが、ランキング形式の情報においては「誰による誰のためのランキングなのか」が大切なのだ。
ただし、である。
実はこの2つのランキングが出揃う前から、僕は12月19日(土)に埼玉県内にある人気のサウナ施設に伺う計画を立てていたのであった。そちらが「第1回 週刊SPA! サウナ大賞」で堂々の1位に輝くことになるとは知らずに……。
>>後編に続く
(written by ナオト:@bocci_naoto)
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