FC今治とボクと時々オカン(下)~伝説の8連戦・永遠の7日間~
これまで、(上)で紹介したFC今治との出会いから、(中)で紹介したぼっち旅からの素敵な仲間たちとの出会いを書きました。これは比較的長い期間の記録でしたが、この完結編で紹介するのは、主にJFL2018年セカンドステージ最終戦までの7日間の物語。
この7日間、あなたはどういう気分でしたか?
「不思議だったけど、どんな飲み物も、どんな食べ物も全てが美味しく、どのようなありふれた景色も素晴らしく輝いていて、けれどその結末は見たくないような、見たいような複雑で・・・」
1. 奇跡の8連戦それは伝説
今から5年後10年後に必ず語り継がれるであろう、FC今治史上伝説の8連戦。個人的にそう呼んでいるのはJFL2018年セカンドステージ第8節から第15節最終戦までの以下の試合です。
① 9月16日 夢スタジアム 対ソニー仙台(勝ち点3)
② 9月23日 都農町 対テゲバジャーロ宮崎(勝ち点3)
③ 10月14日 夢スタジアム 対コバルトーレ女川(勝ち点3)
④ 10月21日 新青森県総合 対ラインメール青森(勝ち点3)
⑤ 10月28日 龍ヶ崎 対流経大ドラゴンズ龍ヶ崎(勝ち点3)
⑥ 11月 4日 夢スタジアム 対東京武蔵野シティFC(勝ち点3)
⑦ 11月11日 甲賀市 対MIOびわこ滋賀(勝ち点0)
⑧ 11月18日 夢スタジアム 対ホンダロックSC(勝ち点1)
その中でも、滋賀戦からホンダロック戦までは永遠の7日間。
昨年の7月、愛媛県を襲った豪雨災害は今治市でも大きな被害がでました。この期間、仕事柄被災地に張り付いていた私は夢スタジアムから長期離脱します。この少し前、成績不振からクラブのもう一人の象徴であった吉武監督が退任。工藤新監督のもと反撃を狙いますがセカンドシーズン再開後の第5節からは、まさかの3連敗を喫してしまいます。
そうですね、あの頃の私は猛暑でバテながらも、その日その日の仕事をこなす事で精一杯でした。けれども、FC今治の結果は常に気にしていました。ただ、非常に厳しい戦いを強いられていて、被災地では目前に絶望的な光景が広がっていて、それはなかなか辛い日々でもありました。
それから月日がたち、何とか猛暑も過ぎ去り、被災地での仕事も一度区切りを入れられる段階にきて、FC今治はもう昇格まで1敗もできないほどの状態まで追い詰められます。それがリーグ再開後の3連敗です。今考えるとこれ以降、本当に1敗も許されていなかったんだな…と。
そして、数日考えてここしかないと決意します。夢スタジアム復帰。悔いのない応援を誓います。ついに、FC今治、サポーター、今治市にとって夢と熱狂の奇跡の8連戦が幕を開けます。
2. 夢スタ復帰!今治で朝まで飲む!語る!
2018年9月16日、夢スタジアムでの対ソニー仙台戦。この日はついに泊まりでFC今治観戦です。久々の夢スタジアム観戦でしかも3連休の中日。その数日前にツイッターで「今治に泊まります!美味しい焼き鳥が食べたい」と呟くと、とても親切な、フォロワーさんにしてサポーターさんが、他のサポーターさんに声をかけてくれて、さらには別のサポーターさんにお店まで予約してもらって、多数の皆さんで焼き鳥とお酒を楽しむ事ができました。結果的に地元サポーターさんのいつもの飲み会に混ぜてもらった形になったんですね(笑)それにしても、今治に宿泊し朝まで飲み明かすなんてつい4年前には想像もできない出来事。人生何があるかわかりませんね。今治市内の焼き鳥店の中は、FC今治のユニホームを着た大勢のサポーターさんで一杯。この貴重な時間も一生忘れる事はないでしょう。
そしてこの日のソニー仙台戦勝利から破竹の6連勝。見失いかけた昇格の2文字が見えてきます。この時のFC今治には相当な勢いを感じました。どこが相手でも関係が無いと思ってしまうほどに・・・。そして市内中心部にある芝っち広場でのPVに集うサポーターやファンが、試合毎に増えていく様子がSNSで多数みられるようになります。この6連勝の期間というのは、間違いなく今治に新たに刻まれた歴史の1ページです。今はそれが分からなくとも、いずれ分かる日が来ます。いつか必ず。
3. 永遠の7日間
2018年11月11日午前5時、松山自動車道松山IC。ここがこの先50、60、70歳になっても曖昧になることなく鮮明に思い出せるだろう永遠の7日間の起点です。前日、JFLセカンドステージ第14節MIOびわこ滋賀戦のため、滋賀県甲賀市への日帰り遠征を勢いで決めてしまいます。そして同行するサポータさんを迎えに夜明け前の高速道路を西条市に向け走ります。運転中は良い想像だけが頭を駆け巡るんですよ・・・。もう希望と妄想のオンパレードでした。
この時期の、FC今治に関する報道の見出しは以下のようなものでした。幾つか紹介しますが、概ね方向性は同じものでした。
「FC今治、J昇格へ王手!」
「早ければ今日、昇格決定へ」
「今治昇格へカウントダウン」
「FC今治、J3昇格の条件」
私がこの滋賀遠征を決めた理由はただ一つ、J3昇格を見届けるため。水口スポーツの森に集まった全てのFC今治サポーターの想いも恐らく同じだったはずです。そして、今治市の芝っち広場PV会場に集まるサポーターやファンの想いも一つだったはずです。J3昇格を疑わない、遠征先と本拠地今治の熱気。その熱気がSNSを通してリアルタイムで交差する。これがどれだけ素晴らしい事か!私はこれが、永遠に続けばどれだけ幸せかとも思いました。それは逆に、結果が7連勝ではなかった時のある種の恐怖というか、何とも例えようのない不安の裏返しだったのかも知れません。
試合前、アウェイ側FC今治サポーターのエリアには、昇格決定時の歓喜を伝えようと多くの報道関係者が詰め掛けていました。皆さん思い思いのコメントを残されたようです。本当にその光景を見ているだけでも、その後起こると信じていた歓喜を想像して、ワクワクしかありませんでした。
そして・・・、試合終了。
この時、何故か芝っち広場に集まる人々の様子を考えていました。どうしてだろうなあ。今でもわかりませんが、試合終了の笛が聞こえた瞬間、今治で応援している人々の顔が浮かんでしまって、なんだか込み上げてきた。いや、もしかしたら久々に夢スタジアムに復帰したあの日の夜、勝利の余韻を一緒に楽しんだ仲間の皆さんの顔が浮かんでいたのかもしれません。
そして敵地での試合終了後しばらくして、強烈にそして激しく、最終戦までの7日間毎日思い続けた事それは、
早くあの場所に戻りたい!あの場所に帰られる!
FC今治サポーターには帰る場所がある。必ずここで会おうと約束できる場所がある。お互い離れた地で悔しい思いをしたサポーターが、再び集う場所がある。あの地へ。
4. 帰路
いよいよ最終戦!と行く前に。
最終戦までの7日間は本当に忘れられない濃い日々となりました。その中の幾つかの出来事を少し。※情けないエピソード含む
まず滋賀からの帰路、同行したサポーターさんと西条市までの約5時間、クラブの話しだけで盛り上がりました。ああでもない、こうでもないと。そして久々に徳島ラーメンを食べましたよ。美味い!美味すぎる!と感激しつつやはりFC今治談義(笑)
そしてこの滋賀からの帰路、私、とんでもない騒動を起こしてしまいます。
それは、無事同行のサポーターさんを西条市内まで送り届けた後の出来事です。西条市内でオカンに自宅に到着する時刻を午前1時ごろと大まかに伝えておきました。滋賀土産を買っていた関係だったのですが、途中どうしようもない眠気に襲われ、松山ICまでもう少しの桜三里PAで仮眠します。ところがこの日に限ってスマホを消音したまま!アラームセットも意味がありません。自慢ではありませんが私、毎日大体の睡眠時間4時間程度でスッキリ、またどんな場所でも1分以内に寝られる特技?を持ち、さらに一度OFFになったらそう簡単にONにならないというよく分からない体質!
午前2過ぎ、その日実家にいた妹が心配し始めたらしいです。オカンに私がどこかで事故を起こしているのではないかと話したみたいです。普段私が何時に帰ってこようが午前様だろうが帰ってこないだろうが無関心な(まあ、私もいい歳した大人なんで)オカンが、さすがに気になってしつこく私に電話したみたいですが、当然気づきません。この状況で、これ本当の話しですが、妹がオカンに信じられない事を言ってしまいます!
「嬉しそうに滋賀まで行って、FC今治が負けたから蒸発したかも!」
さあ大変!妹とオカンが高速飛ばして西条の警察署に出向いて捜索を依頼してしまいます。あれこれ私の特徴を聞かれたオカン。そして、まあ当然なんですが・・・。
「息子さんの着ていた服は?」
「気にしてないので分かりません。あ、でもFC今治を応援しにいっての帰りで、そのユニホームを着ているかも!持っていったから」
最悪です(笑)そのユニホームはサイズが合わず、同行サポーターさんに着て貰うために持参していたわけで。
夜中の警察署内に響く無線からは、
「FC今治のユニホームを着用した男性、車種は黒の○○○、西条市内からの連絡を最後に行方不明」
とやり取りしていたらしく、巡回中のパトカーに捜索の指示が出ていたらしいです。そして・・・。
午前5時ごろ、私の車のガラスを激しく叩く音で目覚めた私。
まあ、その後の事は割愛いたします。はい。
色々ありつつ突入した永遠の7日間なのですが、
ここで突然ですが!少し間延びしすぎたので、一度ここまでにします。次回、今度こそ(下)完結です(笑)。いよいよ夢スタジアムでの最終戦まで。
やっぱり夢スタジアムはいいなあ!!
(追伸)
多分ないと思いますが、このnote読んでしまった某警察署の皆さんご迷惑おかけしました、よければ見なかったことに(笑)