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FC今治とボクと時々オカン(完結編)~母港決戦!夢スタジアム~

 前回の(下)では、今治や自身に訪れた史上最高の7日間の入り口までを書きました。


 FC今治のサポーターは、ファンクラブの名称セイラーズからも分かるように船員に例えられます。従ってクラブは船。夢スタジアムはまさに母港。栄光の航海が終わる。その日が訪れるまでの7日間は人生最良の日々。



1. 帰港

 クラブを船に例えるなら、滋賀戦の敗戦後に夢スタジアムという母港に帰港したその船は、主砲は殆ど吹き飛ばされ船体は大きく損傷した満身創痍の状態。けれど、帰港を一目見ようと集まった出迎えの船員たちの目は力強かったですね。何故なら、途中で失ったかと思われたJリーグのエンブレムが標された旗を持ち帰っていたから。このJリーグの旗がマストに掲げられるその瞬間を信じて。
 

 2018年11月11日の敵地での戦いを終え今治に帰ってきたFC今治。怒涛の6連勝でJ3昇格に手をかけたのも束の間、この日を境に報道各社のタイトルは一変します。

「FC今治、自力昇格消滅」
「FC今治、昇格危機」
「J3昇格、一転ピンチ」

 でもそれを見ても何も感じなかったというのが正直な当時の気持ちです。2017年シーズン、既に最終戦では昇格の可能性が消えていた事を考えると、それは天国と地獄の差。そして何と言っても夢スタジアムのあの場所で、奇跡を信じて応援できる幸せ。夢スタジアムの偉大さ、11月18日に夢スタジアムがそこにある奇跡を、これほどまでに噛みしめた事はありません。


2. 切りました!縫いました!

 来る最終戦、私もツイッターで書いたのですが最後は夢スタ最終戦で決まる!って。それが現実となりました。最高の舞台、シチュエーション。この日を迎えるまでの一週間はまさに、初めて遠足に出かける子供と同じです。まずは当日着ていく服を考えるのは当然です(笑)

 このFC今治ユニフォームの違いが分かりますか(笑)?上の写真は、購入当時嬉しくて撮ったもの。下の写真は、私が着られるように改造したもの。
 実は、最大サイズを購入したのですが・・・。いざ試着してみるとそれはまるでZ○Z○スーツ。いや、それ以上のフィット感!約16,000円と高価なので記念に飾っておこうと思ってました。ところが、クラブが連勝街道を突き進み、ひょっとしたら最終戦までもつれると感じ始めた頃、やっぱり着たい衝動に駆られます。そして最終戦が昇格を賭けた大一番となり、滋賀戦後の翌日、切りました!!両サイドを裾から袖下まで!どうしても着たかったんですよ(笑)最後、夢スタジアムで。

 高価なユニフォームだけあって、伸縮性に富んだ上質な生地。それを豪快に切って、近くの手芸店で買ってきた200円の生地を縫い合わせます。
 裁縫なんて殆どしたことが無かった私が、ネットの情報を頼りに、帰宅後毎日、時には居眠りしながらも少しづつ縫い合わせた日々は本当に楽しかったなあ・・・。縫ってる間、ずっと最終戦の夢スタジアムを想像できたんですから。
 
そして何とか、実質5LサイズのFC今治ユニフォームが完成!最終戦を待つのみとなりました。


3. 最高の日

 2018年11月18日、この日は自分史上人生最良の日に加わりました。試合後のサポーターの皆さんとの打ち上げに参加するため、久々にJRを利用し松山駅から特急で今治を目指しました。この時、自宅を出てずっと、改造したユニフォームを着てたんです。まるで新しい服を買ってもらった時の子供と同じ心境。松山駅のコンコースやホーム、そして特急の車内で何度も目線を感じつつ、しかし恥ずかしいという気持ちなんか全く無く、誇らしかったですね!これこれ!この誇らしいという気持ち!それでいて、なんだか不思議で仕方がないこの高揚感。
 そして、このユニフォームを着て今治駅に降り立った時の気持ちは今でも忘れません。今まで車で来ていた今治が、まるで別の土地というか松山から遥か遠い場所、いや違うな、今まで何度も来てるのにそれは長年憧れた地を訪れた時の感情そのもの。この日までの7日間が、今治を憧れの地に変えていたんです。

 この日、サポータ仲間の方が本当に親切にしてくださり、駅から夢スタジアムまで車で送って頂きました。車内のBGMは当然「栄光の航海」です。車窓から見える今治の町並みが、ここでも全く違う街に見える。何度も言いますが、滋賀戦からの7日間が、今治の街を恋焦がれてきた街に変化させました。FC今治がそうさせてくれたという事です。


4. 夢スタジアムが見せた4,805の夢

 ありがとうサービス.夢スタジアム到着。すでに大勢の人々がまずはフットボールパークで楽しんでいます。
 私も暫くスタジアムをグルメを楽しんだり、ゲストのステージを楽しんだりしました。この試合当日の様子はFC今治公式HPでたくさんの写真とともに紹介されていますので、当時を振り返るもよし、これから夢スタジアムを訪れようとしている方々も是非ご覧になってください。素晴らしい場所ですよ!

 そしていよいよいつもの場所「賑やかエリア」へ。いつもの場所といってもこの年のシーズン途中から。けれど、そこにいるサポーターの皆さんの不思議な魅力が、もう何年もそこにいるかのような錯覚を生みます。一週間前、滋賀県甲賀市の競技場で感じた、あの場所に早く戻りたいという夢がついに叶った瞬間でした。
 この日、昇格を賭けた大一番でしたがそこに集まったサポーターは分かっていました。自力昇格は絶たれ、他力本願である事で奇跡を願うしかないと。でもかっこよかったなあ・・・。他の会場の経過は関係ありませんと皆言います。今、全力で応援し奇跡を待つ。皆さん共通の想い。ただ勝利を願うだけ、後押しするだけ。この日の夢スタジアムの一体感は最高でした。

   FC今治 1 - 1 ホンダロックSC

 この日、夢スタジアムで航海を終えた4.805人。4,805の夢。最後に奇跡が起こる事はありませんでしたが、FC今治がソニー仙台戦で勝利し連勝が始まったあの日の夜、焼き鳥を食べながら見たサポーターさんの笑顔、語ってくれた夢が思い出されました。この連勝中と最後の7日間は、今治やFC今治が得たかけがえの無い財産です。私の財産です。


5. 夢のつづき

 最終戦のあと、サポーターの打ち上げに参加しました。試合後から降り出した雨が少し冷たかったですね。その日の会場に行く途中商店街を通りました。FC今治が、この街をサッカーの力で盛り返すには相当の力が必要です。今はその途中。それでも少しづつ変わってきている気がします。


 その日深夜まで鳴り響くチャントや賑やかな声。何か可能性を感じる瞬間でした。


 また、愛媛県今治市は愛媛第二の都市で、しまなみ海道やサイクリング、海の幸、焼き鳥をはじめとする美味しい食べ物が揃い素晴らしい街です。是非愛媛県観光、四国観光の際に訪れてみてはいかがでしょうか。そして是非、FC今治の試合を観戦しに夢スタジアムへお越しください。そこで暖かく熱い情熱を持ったサポーターやファンが出迎えてくれる事でしょう。


 最後に、2018年、FC今治に所属し奇跡を信じて最後まで奮闘した全ての選手にありがとう。この4年間素晴らしい夢を見せてくれた吉武監督、高司SD、そして長年主将として、ファンを愛してくてれた金井主将に感謝。

 岡田オーナーはじめスタッフの皆さん、夢スタジアムの縁の下の力持ちボヤージュの皆さんに感謝。
 2019年シーズン、2018年を超えるドラマを期待します。



 

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