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クロスオーバードームの魔改造①

僕はテント泊が好きだ。

「この一枚の布の向こう側は外」という感覚が好きだ。

目が覚めてジッパーを開けると満点の星空が…とか、朝日に焼けた山々が…とか、超好きだ。

このなんとも言えない自然に溶ける感じというか、お邪魔させてもらってる感じというか、違う角度で言うと無力さみたいなものを痛烈に感じるのが性分に合っているのかもしれない。

一年を通してテント泊登山をやる人なら3シーズン用のテントと冬用のテントと持っている人もいれば、しっかりしたダブルウォールテントでオールシーズン活用する人もいるだろう。

僕もいくつかテントを持っていて、それぞれのシーンで使い分けたりするし、気分で選ぶこともある。
その中でも気に入っているのがタイトルにもある
「クロスオーバードーム」だ。

山をやる人なら知っている人も多いであろう、長野県を拠点とするヘリテイジのプロダクトですね。

そしてこのクロスオーバードーム、テントではなくシェルターとして扱われているのには理由がある。

それはコンパクト性や軽量性に特化したドームゆえ、生地は薄く最低限の仕様となっている。

わずか10デニールの薄さの生地に透湿防水PUコーティングがほどこされているだけだ。

軽量化とのトレードオフで快適性を削った潔いシェルターと言えるだろう。

僕はその潔さが気に入って今も愛用している。

ではタイトルの「魔改造」とは何のことか。
それは以下にテキスト化していこう。

重要:この改造は僕個人の勝手な判断と責任の上で行なっています。

- 魔改造その① フロア、いらん -

僕は常々思うことがあった。
これは冬山でもこのクロスオーバードームを使用するがゆえの思いでもあったのだけど、フロアがいらない。

やはりチェーンスパイクやアイゼンを装着したままテントに潜り込みたいシーンもある。
そうすると同ブランドのエマージェンシードームのようにフロアが開けられたらいい。
まさにアレはそのための機能だ。

でも僕はこのクロスオーバードームが好きなのだ。

クレセントゴールドというカラシ色のようなこの幕体が好きなのだ。

そこで僕は意を決してフロアにハサミを入れた。
(すまないクロスオーバードーム、我慢してくれ!)

これには大変緊張したし、この素晴らしいシェルターを生み出したブランドへの後ろめたさみたいなのもあった。

しかし賽は投げられた。(投げた)

およそ内側に10cm前後の生地を残しつつ、すっかりフロアを切り取ってしまった。

フロアを切り取ったあと、逆さにした状態

な、なんだこれは…

自分でやっておきながら脳内麻薬が切れるとシンプルに戸惑った。

※ちなみに僕のクロスオーバードームにはメッシュがついているのだけど、これについてはおいおい魔改造②でお話しすることにしよう。

本当に良かったのだろうか。
これに意味はあるのだろうか。

…意味?

意味はこれから作るのだ!
そう自分を鼓舞し、冷静になる時間を与えずフィールドへ赴くのだ!

血湧き肉躍る魔改造の世界をいざ行かん!とそそくさとパッキングを始めたのだ。

そしてフィールドへ…

今回は山ではなく、とある野営地へとパックラフトで向かった。

パドルを漕ぎ、目的地へ着いたらテント設営だ!

フロアレスクロスオーバードームの設営
翌朝の撤収

結論から申し上げると、

すんげぇよかった。

さて何が良かったのか、箇条書きにしてみよう。

•設営する場所の小石とか邪魔なものを気にせずテントをたてられる。(気になるところは後で適当に処理)
•大地を直で感じられる。
•テントといえば撤収時に逆さにしてフロアを乾かしてパッキングすることが多いが、そもそも乾かすフロアが無いので撤収が早い
•クロスオーバードームはサックに詰める際、空気が抜けにくいという点もあるが(1Gでは特にそう言われ、2Gでは大きく改善された)、もうそう言う次元じゃ無い。タープを詰める感覚でササっと収納できる
•フロア分の生地がないので軽量化できた。
•クロスオーバードームといえば結露問題。結露した水分がフロアに溜まって荷物が濡れるという事がしばしばあるが、そもそも水分が溜まるフロアが無いので何も気にしなくていい

どうやらフロアが無くなったことでストレスも軽減されたようだ。

しかし!

気になる点、改善点も見つかった。

それはやはり強度だ。
ただでさえ最低限の強度とするクロスオーバードームのフロアを抜いてしまったのだ。
これは何か起きる前に早急に手を打たねばならん。

夜を越す際に不安なシーンがあったわけではなく、「こうしたらさらに良いだろう」と思いついたのだ。

そしてその改善策がコチラ↓

対角線にガイラインを設置

そう、フロア面にXの形になるようにガイラインを取り付けたのです。

クロスオーバードームはポールもXで組まれているので、それに合わせてラインを張ることで外的要因によってこれ以上ポールが外へ広がらないように手を加えたのです。

それはつまり、生地への負荷も軽減しつつフロア的な強度を再現したということではと考えています。

ちなみに、長辺側の中央へループを設けてペグダウンできるようにプチ魔改造も施しています↓

長辺側の中央へループ+バンジーコード(両側)

これにより、下からの吹上げてくる風への対応もしました。

これらの魔改造は僕とクロスオーバードームの距離をより近づけてくれた。
そしてそれは同時に、自然との距離も近づけてくれているのだと思います。

注意点

でもね、いくら「あーすればこーすれば」と考えたところで、自然には勝てませんから。
屈強なテントだって場合によってはポールが折れたり生地が裂けたりなんて十分あり得るんです。

しかもクロスオーバードームはシェルターですからね?

先にも書きましたが、テントとしての快適性を求めてはいけません。

これはメーカーであるヘリテイジも公式に言っていますが、「ご自身の「山ヂカラ」を客観的に判断していただければ、クロスオーバードームも選択肢の一つになるでしょう。」と。

そう、自己の判断と責任が大事です。

計画をはじめ、装備や知識、経験、仲間との意見交換など、安全要素を積み上げて安心な結果を導き出す事こそが最も重要だと思いますよ。

最後に…

今回、クロスオーバードームの魔改造についてフロアレス化の話を書きました。

これはメーカー側との関連は一切ありませんし、全て自己判断と自己責任でやっています。

また、自分の性分との相性というのもあると思います。全てのクロスオーバードームユーザーに当てはまることではありません。

しかし、固定概念にとらわれることなく柔軟に自分のスタイルを形成していくことは、きっとストレスの軽減へと繋がり、時間や経験を豊かなものにしてくれるのではないだろうかと思っています。

誰かが言った「これいいよ」ではなく、
自分が思った「これいいな」を大切に。

さてさて、魔改造の話はまだ続きます。
ご興味ある方はぜひ魔改造その②をお楽しみに!

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