WIND PARADE '23 Day2に行ってきた +ゆる総括
メモ書き程度の備忘録です。↓Day1はコチラ。
ZAZEN BOYS
自分にとって、初めてライブハウスに足を運んで見たバンドであり、ライブで見た回数が1番多いバンドでもある。とは言えコロナ禍を挟んで実に2018年ぶりの再会でした。その間にナンバガを2~3回挟んでいるので向井個人に対して久しぶりという感覚は薄いですが、ZAZENに対しては5年分の進化への期待感も募り相当楽しみにしていました。
1曲目の『HIMITSU GIRL'S TOP SECRET』、イントロの銃撃のようなドラムがホールいっぱいに響く様で一気に惹き込まれました。ラスサビ前のカシオのプレッシャーパートがMIYAのリフに変更されていたり要所から進化が感じられて嬉しかった。続く『Weekend』のファンキーなグルーヴで一気に酒が進む。この曲のカシオの歪なサウンドとフレーズセンスは本当に凄い。
50分強のセットで『バラクーダ』『チャイコフスキーでよろしく』『永遠少女』と3曲も新曲を盛り込んでいて「どうやら本当にアルバムが出るぞ」と感じられて嬉しかった。『バラクーダ』は細かいキメを連打する4~5thの延長線上の雰囲気でした。『チャイコフスキーでよろしく』は今日で唯一向井がリードを弾く構成で、鮮やかなサウンドも相まってグッときた。向井がソロを弾くシーンで前のめりになってしまうのはファンあるあるだと思います。『永遠少女』は最も歌モノとしての意匠を感じました。『自問自答』のようなエモーショナルなリフの積み上げをベースとして反戦のメッセージを投げかける実直な雰囲気で、熱量が一段違ったなと。
久しく見れていなかったけれど、やはりいつだって自分の原点と再確認できるライブでした。自分は『HIMITSU GIRL'S TOP SECRET』と『RIFF MAN』の2曲は10年近く前にコピーしたことがあるんですが、その時にヒーヒー覚えたブレイクを今でも結構覚えていたことにも小さく感動したり。
今回の面白ポイント4選
・ポテサラの「大皿に山盛りのカニが食いてえ」で綺麗すぎるガニ股ダブルピースを披露する向井
・激遅CRAZY DAYS CRAZY FEELINGでキャップとグラサンを装着してラップを始める向井
・向井「どう考えてもありがとうございます」
・Asobiで暴れるリズム隊の横で直立不動で出番を待つカシオ
カネコアヤノ
オウガとの2マン(2022)、Wind Parade(2022)、フジホワイト(2023)以来の4回目。単独には行けていないながらも見る機会が多くてありがたい。今回はベースレスの3人編成という特殊な形態で、椅子を置いたセッティング。カネコがリハでベースを構える姿もあり珍しいものを見れました。ストロークは完全にギタリストのそれだった。
フジロックでも感じましたが、やっぱり伸びやかな歌声が野外に映える人だなと。特に『花ひらくまで』のラストのロングトーンがどこまでも突き抜けていく感覚は素晴らしかった。
最新作に含まれるポスト・ロック的な轟音のエッセンスをタフに鳴らしきったフジでのパフォーマンスには大感動だったので、フルのバンドセットでないことに対して残念に思う気持ちは正直ありました。とはいえ今回も小さくまとまることは一切なく、1曲目の『エメラルド』でも後半のギターは想像を超えたスケールへの拡がりを見せてくれました。『わかりやすい愛 丈夫なからだ』からアコギ→エレキに持ち替え、更にタフなサウンドへ向かっていくという組み立ても良かった。
『朝になってから夢からさめて』『やさしい生活』など、リズムセクションの厚みが取り払われてボーカルが際立つ構成になったことで歌モノとしての魅力が一層強く感じられた側面もありました。シンプルにグッドメロディーすぎてズルい。
そんな中でどの曲が1番良かったかと聞かれれば、ラストに弾き語りで披露された『わたしたちへ』と答えます。カネコの感情とダイナミクスとのリンクがより密接になり、むしろ迫力が増したような感覚すらありました。いつか単独演奏会にも行かなければ。
七尾旅人
『サーカスナイト』と「なんか向井がよく褒めている人」くらいの印象の完全初見状態で臨みました。
『ストリッパーのお姉さん』、アフロ=アメリカンの苦境を歌った『Fast Car(cover)』、コロナ禍で社会に置き去りにされた家族を歌った『ワンダフル・ライフ』など、実直なメッセージを真摯に歌い上げる様に気づけばポロポロ涙が出ていた。雑な連想ですが、社会の暗い側面の切り取り方に向井が彼と共鳴する理由のひとつを見たように思いました。サンプラーやモジュラーシンセを駆使したオルタナティブなサウンドも良かった。
サニーデイ・サービス
今年5月のつくばロックフェス以来、2回目の機会。『DOKI DOKI』『いいね!』『東京』を1周したくらいの激ユルの予習で臨みました。
全く詳しくない自分にもはっきりとわかるくらい、今日の彼らは完璧だった。個々のパフォーマンス、バンドアンサンブルの仕上がり、ファンとの距離感、磐石の楽曲群、スペシャルなフィナーレまですべてが素晴らしかった。何が違うの?と言われたら難しいけれど、5月に見た時の10倍は感動しました。
生で見てまず驚いたのは、音源から感じる何倍もの質量を持ったパワフルなドラムプレイ。大工原幹雄さん、とんでもなくドラムが上手くないですか? シンプルなエイトビートを叩いていても超グルーヴィー。『魔法』の終盤のストイックなリフレインでもその手腕をビシビシと感じられました。他のメンバーにしても『恋に落ちたら』の田中貴さんのフレージングの巧みさや、柔和な佇まいとは裏腹にソロで大暴れする曽我部さんなど個の力量を感じるシーンが多かったように思います。『スローライダー』でギターとボーカルでユニゾンする曽我部さんは死ぬほど気持ち良さそうで羨ましい。ギター弾けて歌えたら絶対アレやりたい。
『桜super love』以降、名曲連打でフィナーレに向かっていく流れは無敵でした。30年近くのキャリアを積み上げたバンドが『春の風』みたいな曲を作れるのって本当に凄いなと。向井秀徳、七尾旅人、カネコアヤノが合流しての『サマーソルジャー』、向井が手でシンバルを叩いたり暴れ回ってました。ラスサビ後に勝手に「1,2,3,4」とカウントしてもうひと回しさせたりとやりたい放題で面白かった。
とにかく「バンドって良いな」と素直に思わせてくれる素晴らしいライブでした。ヘッドライナーとして大納得のパフォーマンス。
ゆる総括
一部界隈の人なら悶絶必死のブッキングをたっぷり堪能できる最低1時間弱のロングセット、スペシャルなフィナーレとやはり魅力あるフェスだと思います。去年は西武秩父駅⇔会場間のシャトルバスに30分以上並んだ記憶だったんですが、今年は行きも帰りもスムーズに乗車できました。2回目の開催にして完璧な改善をしてくれた運営には感謝を伝えたい。今後もブラッシュアップを続けてより良い場として定着していくことを祈ります。ひとつ要望を挙げるならゴミの回収所はあと何箇所か用意してほしかった。
個人的なベストアクトは難しいですが、思い入れ込みのZAZENか大充実のパフォーマンスを見せてくれたサニーデイ・サービスかな。
最後に特に美味しかったものを。