アンラーニングするコツは「当たり前」となる信念を批判的に内省すること
やれ、リスキリングだ。やれ、アンラーニングだが聞こえてくる昨今。
本書は、学術的にアンラーニング=学びほぐしを解説。定義が明確で定量論文でもあり、学術的にビジネス的にも語る点が魅力的。アンラーニングの言語化と行動変容としてまとまった考えで参考になる。
相関の考えのように直接なのか間接なのかが見える統計結果のチャート図がよい。別の因子があって自己変革を促す流れができるのかなと視野が広がった。組織的に取り入れるなら参考にしたい内容。
HRアワード2022の書籍部門の選書でもある。
アンラーニングはアップデート型の学習
本書を通じて学べるのは、学習スタイルにおいて学びほぐしなる考えが必要な点。なぜ、アンラーニングと組織が言い出すのかといえば、組織課題の代表例であるが働きがい(ワーク・エンゲージメント)に関わるからだ。
エンゲージメントサーベイでもチェック項目によく出てくる成長にやりがい。組織的な解決視点だと、本書では上司の探索的活動とある。学び方の姿勢に刺激を受ける部下の構図が参考になる。
また、昇進や異動もきっかけとなるとある。批判的内省(本書では内省より深いふりかえりを意味する)がアンラーニングにつながる例もある。また、ただの内省ではみられない相関も本書では示している。
内省は必要だが、内省→批判的内省の組み合わせを経てのアンラーニング。
反省したと思うぐらいでは足りない。クリティカルシンキングのように、イシューを定めて論理展開して、考えるとはなにかの深掘りが必要だ。これも現代ビジネスでは定番スキルとなるのだろう。
つまり、アンラーニングは個人の成長や組織の働きがいを向上させるために重要であり、組織において上司やロールモデルの役割が大きいことが示されている。
自己変革スキルで変えるものは何か
個人のバージョンアップのためにはアンラーニングに至る必要がある。そのためには自己変革スキル。
「捨てる学習」より、戦略とは捨てることを思い出す。その気づきはふりかえりが大事だ。内省は個人だが、批判的内省に至るプロセスのためには1on1などのふりかえりや周りのサポートも必要だろうことが見えてくる。
組織的なフォローがあって、個人アンラーングが成り立つのかもしれない。
そして、試行錯誤をポジティブに捉えていくしかない。
私が20代の時に尊敬する上司に今後どうすればいいのか?とキャリア相談したときに「試行錯誤だよ」と言われた言葉を思い出す。この言葉は心にずっと残っている。
常にアンラーニングを意識していたふりかえり
キャリアキーノートなる考えがある。
私もふりかえりに自身のキャリアキーノートを2015年に残しており、社内の新卒メンバーに発表したことがあった。これを、2023年になって新しく立ち上げた部署で簡易発表したところけっこう反響があった。
もっと内容が聞きたいとのことで、また新卒の前でお話をする予定である。もう、8年前の出来事だが、今でも響くのはアンラーニングの話を参考にすると、学びほぐしを刺激されるからだろう。
改めて自身のキャリアを語るのは成長となり、他者成長への影響を与えると思えた。個人のふりかえりであり、聞いた人の自己変革スキルを刺激する。めちゃくちゃもってこいなので組織的にもう少し定期開催したい。
私のキャリアは常に挑戦だった。
自己変革スキルとして、戦略思考が好きで、常に手帳に年間計画を立てている。タスク分解して落とし込んで実行している。先をみとおして、くるべきスキルセットを捉えていた。
わかりやすい例だとクラウドの登場だ。クラウドが登場した。さてどうする?となる立場だったので転職を決意した。単純にクラウドに関わる仕事はワクワクしたし、実際に楽しかった。外でたくさんプレゼンをした。
次はクラウドをさわった。やりきった。さて、どうする?である。次も考えていくと、自然とリーダーやマネージメントに関わることが多かった。でも、それだけだと足りないと早々におりた。
ところが、またマネージメントとなるのである。向いている点もあるが、求められる点を理解する組織的な促しがあるから気づけることでもあった。ところが気が付けばそれもおりて、今度はDevRelである。
そしてエンジニア採用をしていたりと、異動の機会もいただいて自己変革を繰り返している。これができるのは、根っことなるキャリア思考が挑戦だからだ。
つまり、アンラーニングでリスキリングというのを勝手にやっているのである。そして、それを伝えることも大事なのだと本書では気付かされた。
2015年から2023年までの8年分のキャリアを振り返ってキャリアキーノートとしてまとめなければいけない。そのためには、今年その結果を残さなければいけない。その信念すらも批判的内省でもってふりかえろう。