
サウナで聞きたい曲 Vol.1
個人的なサウナ用BGMプレイリストを作成した。
何故?
このご時世、黙浴が徹底されるサウナにおいて、BGMとして存在しているのはTV音声もしくはストーブの稼働音である。(施設によっては演歌や昭和歌謡、またECM系の音響派ジャズを流しているところもあった。)
だが、先日、とあるアウフグース師がカセットデッキを設置し、BGMと共に熱波を行う。
そのBGMとして選出されたのはとくさしけんご氏の「Music For Sauna」、そして平沢進氏の「Moon Time」。
灼熱の高温多湿空間で意識朦朧としながら、恍惚としたシンセサイザー音で覚醒に誘われるような体験を味わい、環境音楽とサウナとの親和性の高さをはっきりと認知した次第である。
またいつかあのような体験を味わいたい、来るプライベートサウナへの羨望に思いを馳せながら極私的な「Music For Sauna」を作成するに至る。
Ambient〜New Age〜NW/Balearicな楽曲を中心としたプレイリストになるので、そういった音楽が好きな方も是非。
以下、プレイリストと曲の解説
1.Zeitkratzer,灰野敬二 / Aria I
ドイツの前衛音楽集団Zeitkrtzerと日本のノイズ作家灰野敬二の99年共作「Electronics」より。
ざわざわとした物体の摩擦音とじりじりと広がる管楽器の持続音が、朦朧とした意識の中で涅槃への道標になるのではないか、その思いで選出。
2.平沢進 / Ghost Bridge
元P-MODELの平沢進の98年作「救済の技法」より。
サウナと環境音楽との親和性、それに気づかせてくれた氏の楽曲からも選出。ただただ極上のニューエージトラック。
3.細海魚,畠山地平 / Light Snow
日本のアンビエント作家畠山地平とコンポーザーの細海魚の15年共作「Frozen Silence」より。
ジリジリとしたノイズ音がまるでロウリュの水の蒸発音のよう。そして周波数の高い持続音が、安らぎの感覚の世界に叩き落としてくれる。
4.DAF / Osten Wahrt Am Langsten
NDW、EBMの始祖的グループDAFの80年作「Die Kleinen Und Die Bösen」より。
怪しいシンセ音とキンキンした突拍子もないタイミングで鳴るノイズ音が、スーパーファミコンのドンキーコングの火山ステージを彷彿とさせる。
5.Cabaret Voltaire / Haiti
イギリスのインダストリアルグループCabaret Voltaireの83年作「The Crackdown」より。
前述のDAFと同じく、丸みのあるシンセベース音が中心の一曲。コラージュ的な肉声はまるで暑さに耐えるサウナー達が漏らす吐息のよう。
6.Nuno Canavarro / [Untitled]
ポルトガルのコンポーザーNuno Canavarroの88年作「Plux Quba」より。
白昼夢的なアンビエントトラックであり、個人的には「ととのい」を聴覚的に表現するなら、このような音になると感じている。
7.Arthur Russell / Hiding Your Present From You
アメリカのチェロ奏者であり多岐にわたるジャンルのコンポーザーであるArthur Russellの86年作「World Of Echo」より。
小馬鹿にしたようなビョンビョンフレーズや接触音のみのような弦楽器の音など、とにかく聴覚的な一曲。トコトコしたリズム音も僅かに横に揺れるような心地よさ。個人的に、サウナに四つ打ちは、絶対厳禁。
8.Primal Scream / Higher Than The Sun
イギリスのロックバンドPrimal Screamの91年作「Screamadelica」より。
とろけるようなアンビエンス/メロディフレーズとトロピカルなパーカッションが灼熱のサウナ室内とマッチすること受け合いなのでは、サウナ室内の片隅で、小さい音量でこっそり聞きたい一曲。
9.高木正勝 / Urute
映像作家であり作曲家の高木正勝の14年作「かがやき」より。
素朴な田舎風景を感じられるような、自然音のサンプリングを効果的に使ったとてもオーガニックな一曲。山、森、川、そしてサウナ。雄大な自然を脳裏に浮かべながら汗を流したい。
10.Laraaji / I Can Only Bliss Out(F'Days)
演奏家であり瞑想活動家であるLaraajiの84年作「Vision Songs Vol.1」より。
丸いエレピとリズム、ちょっとソウルフルな歌声に天から降りてきたような高音のシンセ音、全ての要素がとにかく極上のリラクゼーションソング。是非サウナ室内で爆音で瞑想させて頂きたい。
11.Suicide / Cheree
アメリカのエレクトロ・ミニマル・パンクバンドSuicideの77年作「Suicide」より。
反復する丸いリズムと恍惚のボーカルとシンセ音は正にバレアリックでありサウナ向けである。吹き出す湯気を見つめながら聞きたい。
以上11曲のプレイリストとなった。
今後も作り続け、いつの日かそれらの曲たちを爆音で流し、そして汗も流せる日を待ち望みたい。