炎上のコツ
Twitterを眺めていると、いたるところでボヤ騒ぎに出くわします。競艇界隈も例外ではなく、レジェンド峰竜太御大をはじめ、アカウントを削除した元レーサーの告発や、それにレスポンスした坂口氏など、水上の格闘技なのに炎上が止まりません。
噂を聞きつけて現場に駆けつけると、もう小さく燃え上がった後でした。
個人的には、このツイートとリプライツリーを見て「ああ、こういう風に感じるギャンブラーもいるんだな」という感想でした。それ以上も以下もなく。個人の感想なんて千差万別です。そんなの今さら言う必要もないでしょう。何を発言したって自由なんです。もちろん、行き過ぎた誹謗中傷以外は。(これも注記する必要はないと思いますが、世界は広いので念のため。)
発言内容には何も感じなかったのですが、どうやって燃えたのかを掘り下げていったところ、ちょっと別の点が引っかかりました。今回はそれを書きます。
曾根氏は元ボートレーサーであり、今はタイタン社所属のタレントで、主に配信をしています。存じ上げなかったので調べました。さらにイチ競艇ファンとして、舟券の購入もしているようです。つまりギャンブラー(本人の言葉を借りるなら舟券購入者)としての側面もあるということです。これはツイートからも簡単に伺い知れます。
まぁ要するに、いろいろな顔を持っているということですね。
で、このペルソナ(仮面)を使い分けるって、相当高度なことなんですよ。この記事のテーマは「ペルソナの使い分けに失敗している人」です。
選手を駒としか思っていないギャンブラーと、命を懸けて走っているボートレーサーの親和性が低いことは、ツイート検索をすればすぐに分かります。野次なんて日常茶飯事です。どちらの言い分も理解できますし、ギャンブルとはそういうものでしょう。これは曾根氏も自分で言っています。
また、ギャンブラーとイチ競艇(選手)ファンの親和性も著しく低いです。競艇に参加する目的が違うからこれも当たり前です。純粋に競艇を楽しんでいる人からしたら、推しが非難されるのはとうてい見過ごせません。ギャンブラーからしたら、金も賭けてないヤツは黙ってろ、でしょうか。いろいろな立場がありますね。
発言には、内容の他に「ポジション」「背景」というものが必ずつきまといます。だから発言をするときは、自分がどういう立場であるのかをはっきりとさせないと、誤読を生んでしまいます。
今回、曾根氏はしきりに「舟券購入者からしたら」という弁明をしていました。
でもそれは一部の人には伝わっていません。「生涯勝率3点台の雑魚がよく言えたな」という意見が飛び交っていました。当たり前です。自分で元ボートレーサーということを前面に出しているからです。このツイートだけ「舟券購入者の意見として読んでくれ」というのは、高度な技術がないと誤読を生みます。上で見たように、競艇界隈は立場同士の親和性が低いです。「察してくれよ」なんて無理なんです。このツイートは、どこかの誰かからしたら「配信者が偉そうに」ですし、他の誰かからしたら「元ボートレーサーなら発言に責任持てよ」なんです。
ここまではギリギリ、ギリギリ「誤解する方も誤解する方かもな」で済みました。強烈なのは次のツイートです。
選手時代の先輩に媚びへつらい、事あるごとにボートレーサーだった過去を自尊している彼は、ここで凄まじい立ち回りミスをしてしまいました。これ、非常に元ボートレーサーらしい立ち回りをしていますよね。これまで反対意見にはすべてリプライで答えていた彼は、先輩の野添氏からの指摘に対しては、仰々しく謝罪とともに引用RTをしています。
こんなことをしておいて「最初のツイートだけは舟券購入者の意見として読んでよ」なんて無茶な話です。
また「本人の意思に反して、サインを出していたと思われるかもしれない」という意見については、ポジションによって様々な誤解を生むので、これも悪手でした。元ボートレーサーの発言として読むなら「え、あれって八百長のサインなの?」という疑問を抱かれて当然ですし、二次的な被害を生み出す可能性もあります。
サイン云々を論点の中心にしたいのであれば、そこに絞るべきでした。下手に舟券購入者としてのツラで喋らずに、元ボートレーサーとしての意見を発信すればよかったんです。これこれこういう理由でサインとして疑われますよ、そういう事例ありましたよ、と。それなら受け取り手は誤読しません。ここまで炎上しなかったはずです。
このように、ペルソナの使い分けは高度なんです。どの立場にも一律で気を遣い、発言の論理性に神経を尖らせ、読み手の感情に寄り添う。
彼にはその技量がなかった。ただの八方美人と「優れたマルチポジション」の分水嶺は、単純に知性の有無です。だから悪いとは言っていません。身の丈にあったことをしていればよかったのに。そう思うだけです。
ガバガバなペルソナ管理で、読み手がどの立場としてそれを受け取るのかについてよく考えずに、特に論理性もない意見を発信する。
これが炎上のコツです。
八方美人が炎上すると、八方から殴られます。リスクテイカーの皆様、参考にしてみてください。
《余談》
あるフォロワーさんのもとに、曾根氏から「文句があるなら電話で話そう」というDMが来たようです。
彼のペルソナはいったいいくつあるのでしょうか。タイタンさんは怒っているようです。