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的中率を「下げる」ために
的中率を下げた。
下がったのではなく「下げた」という表現なのは、それが意図的であるからだ。穴狙いに転じたということではなく、相変わらずインからばっかり買っている。それでも的中率は20%程度だ。低いと思う方も多いだろう。
的中率が高いことのメリットは「少ない資金でも破綻確率が低い」ことと「精神衛生上好ましい」ことの2点しかない。つまり、ある程度のドローダウンに耐えられる資金があり、かつ屈強な精神を携えているのなら、的中率は低ければ低いほどいい。
なぜか。
的中率を上げるためには、点数を広げるか、より本命の――多くの人に「過剰に買われている出目」を買うしかない。もちろん予想精度を上げる、という手段もあるが、それはここでは議論しない。
点数を広げるとは、とどのつまり「無駄な買い目をたくさん買う」ということに他ならない。1-2345-2345のすべての目に等しく期待値が宿っていることなどありえないのだ。いわゆる「来ても嬉しくない目」にもコストをかける。嬉しくはないけど外れるよりマシなのでとりあえずおさえる。そのような思考は「収支を最大化する」こととは対極にある。それでもとりあえず的中率を上げることには成功した。
より本命の出目を買うとは、どんな情報を経由しても誰でも買えるような、そして誰もが買ってしまったような出目に張ることを意味する。そこは確率以上に買われてしまっているかもしれないし、確率通りくらいかもしれない。しかし、これもとりあえず「的中する確率」で言えば高いのだから、単純的中率を上げる場合には役立つ。
的中率を低くすると、上記とは逆のことに挑戦できる。つまり、来ても嬉しくない目(≒回収期待値の低い目)を徹底的に嫌い、期待収支を最大化する。それと引き換えに、破綻しないための潤沢な資金と、連敗に耐えうる精神力を求められる。繰り返しになるが、それさえあるなら的中率は低いほうがいい。
逆に言えば、的中率を不必要に高く保とうとする行為は、資金の欠如と精神力の弱さを意味している。そして「資金」も「精神力」も絶対的なものではなく、あくまで相対的だ。特に精神力に関しては、どれだけの連敗に耐えられるかが人によって明確に異なる。的中率と連敗確率はセットである。的中率をコントロールするためには、自分がどれだけの連敗をノーダメージで看過できるかどうか、まずは見つめ直す必要があるのだ。
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個人的に、自動運用に関しては的中率10%程度に設定している。自動だと連敗数はいくら伸びてもノーダメージだ。10%だと「88連敗」という地獄のような下ブレも0.01%の確率で発生する。10連敗なんて日常茶飯事なことが上の図から読み取れるだろう。
人力で予想をする場合、たとえばnoteやオープンチャットに書いたり、個人的にベットしたりする場合、的中率は25%程度を意識している。これでもだいぶ下げたほうだ。15連敗あたりで自分や購読してくれている方の心が折れることを知っているので、そこの確率を1%まで引き下げているイメージだ。これが「精神的な意味での」的中率コントロールのリアルである。
これ以上上げてしまうと、今度は回収率の面でディスアドバンテージを被ってしまう。たしかに的中率50%ならなかなかノーヒットが続くことはないし、的中報告の純粋な数は満足いくものになるが、端的に言ってそれで勝てるシステムを「今の市場」で形成するのは難しい。これについてはいずれ長めのnote記事を書こうと考えている。当然、売上が増え、AIの参入が顕著になったことと無関係ではない。
以前は的中率40%を維持しながら勝てていた。それが不可能になるかもしれないと想像したとき、私は的中率を「下げる」ための方法を考え抜いた。
もしあなたが本気で回収率を向上させたいと考えるのであれば、目を向けるべきなのは、外したそのレースではなく、当たったそのレースの「買い目の広さ」かもしれない。そしてそれは同時に、自身の資金管理方法と、自身の「心」を見つめ直す作業なのだ。