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プラネタリウムに行ってきた

二月某日。親友(以後、彼女と呼称)とプラネタリウムに行ってきた。
想像以上に感動したので、その思い出を書き残しておこうと思う。

『プラネタリウムいきたい』
彼女がこの話題をふとし始めた時、私は少し驚いた。
私は昔から星に関する本(図鑑やら小説など)を集めるほど星や天体に興味があった。
しかし、彼女に至っては、星や天体が好きという話は聞いたことがない。
強いて言えば、“星“新一のショートショートが好みだったと思う。関係ないか。
私と一緒である点は、好奇心旺盛な性格であるということだ。
やってみたいことがたくさんある子だ。今回もその好奇心からくるものだろう。
小学生の時は一緒にホラーゲームをして、中学で離れてもカフェ巡りをしたり、高校入ってからは美術館や水族館にも行った。“好奇心の共有“ほど楽しいことはないと、いつも彼女からは教えてもらえる。
彼女とプラネタリウムに行ける事が決まった時は、当日までの生きがいになるほどに嬉しかった。

当日。
プラネタリウムの上映時刻は把握していたものの、私たちは集合時間は決めていなかった。
なんとか無事に合流し地下鉄に乗車。雪まつりの影響か、混み出す車内。
なんとか切り抜けて、青少年科学館に到着した。
プラネタリウムの上映までは時間があったので、展示室を見て回った。
小学生の頃に2度訪れたことがリニューアル後一度も訪れたことがなかったのだが、想像以上に楽しかった。
映像の中にオリジナルの雪の結晶が作れる体験をしたり、自然や天文のパネルを眺めたり、『青少年』というネーミングの科学館なので、20代差し迫る私が楽しめるか不安だったけれど、大人も十分楽しむことのできるコンテンツが多いように思えた。むしろ、いい意味でこれ子供理解できるの?というようなレベルの知識も学ぶことができる。もちろん子供たちがキャッキャしながら楽しむ様子もあった。老若男女楽しむことのできる施設と言えるだろう。パパママさんにすごくおすすめ。

時間を忘れて展示室を楽しんでいたら、そろそろプラネタリウムの上映時間が近くなった。展示室もっと見ていたいという名残惜しさがありながらも待機列に並ぶ。並んでいると、ずっと楽しみにしていたことが現実になることへの興奮が止まなくなって、私はずっとニコニコしていたと思う。
前に並んでいるカップルを見て、人気の少女漫画『君に届け』のデートシーンを思い出した。風早くんと爽子ちゃんもプラネタリウムを見にきていたんだよという話を思わず彼女に共有し、私も親友とおデートだ!と、心がもっと嬉しくなる。

待ちに待った入場。席は自由席で、ゆったりめの椅子(席を深く倒せるタイプ)を選んで座った。これだけでなんか、楽しすぎる。
後ろの席には子連れの家族(お母さんと、男の子2人だったと思う)が座った。その子供たちの声からも自ずとワクワクが溢れていたように思う。
解説を担当してくれてる方の声も良い。プラネタリウムは視覚で楽しむコンテンツだと思っていたが、どうやら違ったみたいだ。
私と親友が見ることにしていたプラネタリウムは、今日の星空の解説20分と映像番組40分の上映だ。

まずは今日の星空の解説が始まる。
上映が始まるとプラネタリウムの館内は映画館よりも真っ暗になった。
その後にパッと星空が現れた。
圧巻の星空。綺麗だ。こんなに夜空とは美しいものだっただろうか。
改めて私は夜に魅了される。街中で見える星空は街明かりによって明るい星しか見えていないと解説が入ったが、それでも北海道の冬の星は澄み切った藍色の中でキラキラと光り輝いていた。

さらに、もし、街の明かりが全て消えたらどう見えるでしょうか?という声のあと、その星空を再現したものが投影された。
思わず小さな歓声が上がる。
満天の星空が天井いっぱいに広がる。
うっすら天の川も見える。
こんな幾千万の星々を眺めた経験はない。
が、ふと、胆振東部地震のブラックアウトで見上げた星空を思い出した。あの時の星空に近いかな、そんなことを考えてしまったのだ。自然とは美しくも未知なるもので、私たちにはそれを受け入れ、この宇宙で生きていること。それをあの日の星空が語っていた。
感動や思い出に浸りながら、冬の大三角の解説を聞く。
その後も小さな声であればおしゃべりが許される空間の中で、一番最初に見つけた星を指差したり、次は星座を見つけたり、彼女と楽しみながら天文の知識を学び、解説担当と後ろの少年たちの声に癒され。あっという間に今日の星空解説のコーナーは終わってしまった。

次に映像番組を見た。「水の惑星」というタイトルの番組で、宇宙の中の水を巡ろうといった内容だった。
この広い宇宙世界の中で水が豊富に存在するこの地球を、水の惑星と呼ぶことが度々あるという。プラネタリウムは星空を映すものだとばかり思っていたので、海や虹や夕焼け、自然が綺麗に映る天井が新鮮だった。
地球の自然を紹介する映像のあと、なぜ地球にこのような豊富な水があるのかという説明のVTRが流れる。水が存在する条件は太陽との距離にあるらしい。近づきすぎると水は蒸発し、遠すぎると水は凍ってしまう。そのちょうどいい距離にある星が地球だったのだ。
この地球が太陽と丁度いい距離で周る宇宙の空間を“ハピタブルゾーン“というらしい。なんという確率でそんな上手いことになったんだと、生命誕生の神秘に感動してしまう。その地球で私が生まれ生きているということはとんでもなく凄い。なんて盛大なことまで考えていると、私たちは太陽系や他の宇宙空間に水を探す旅に出かけることになった。すでに私は素敵な映像に引き込まれていたので気分は宇宙旅行なのだ。
土星の輪を潜ったり、氷で覆われた星(エンケラドス)の存在を学んだり、ドキドキとワクワクがずっと止まらなかった。プラネタリウムでこんな体験ができるとは思いもしなかった。

余韻。プラネタリウムの上映が終わった後も、それが抜けない。天体の展示室に戻って、復習してから館を後にした。次の日も、夜空や宇宙に惹かれて空を身近に感じた。眠りにつく時、私のハピタブルゾーンはお布団かもと、テキトーなことを考えることもあった。まるで覚えた言葉を使いたがる少年のような思考回路だ。新鮮な体験を終えた後は少し若返って活気や興味心が湧いてくるような気がした。

プラネタリウムに行ってから一週間もしないうちに、私と彼女でご飯に行くことになった。
彼女の「行ってみたい」お店に集合。この行ってみたいやってみたいを共有できることがまたしても嬉しい。なのでその日が猛吹雪だったことは、なんの苦でもなかった。(というのは嘘でかなり寒かった)
中華で体を温めながら、仕事や将来のこと、成人式の話などいろんなおしゃべりの間にも「プラネタリウム行ってからさ、凄いオリオン座が見えるようになったの!三つ星見つけてあっ!てなる!」と話題が出た。楽しそうに話す彼女をみて、また蘇るあの日の記憶を、私も胸に大切にしまっておこうと思った。
これからもずっと冬の星空を眺めれば、どこにいたってあの日と彼女を思い出せるだろう。
プラネタリウムを見に行くという体験は、そんな効果をももたらしてくれる。

星に興味がある、なしに関わらず、
人生に疲れた時や、大切な人との思い出作りに、プラネタリウムは最適だと言えるだろう。

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