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試し読み:『Procreateでポートレートを描こう 顔のデッサンから着彩まで』

2024年6月に刊行した『Procreateでポートレートを描こう 顔のデッサンから着彩まで』(メリッサ・デ・ノブレガ著、髙瀨みどり訳、Necojita監修)より、冒頭部分をご紹介します。

本書はProcreateを用いて、魅力あふれるポートレート(肖像画)を描く方法を学ぶための、ビギナーを対象とした入門書です。Procreateの基本的な使い方だけでなく、人体構造についても解説しているのが本書の特徴です。目・鼻・口・耳の構造を説明し、あわせて簡略化の描き方を紹介します。

これまでPhotoshopやCLIP STUDIO PAINTといったペイントツールを使用してきて、Procreateも試してみたい。iPadなどタブレットでデジタルアートに取り組みたい。写実的に人物を描く方法を知っておきたい……そんな方々に手に取っていただきたい一冊です。


この本の使い方

 この本は使いやすいように、いくつかのセクションに分けられています。順番に読んでも、読みたい章まで飛ばしても構いません。

 最初のセクションでは、Procreateの基本的な使い方をレクチャーしていきます。Procreate のインターフェースや、よく使われるジェスチャの知識をすでに持っている人は、このセクションは必要に応じて参照することにして、その先のもっとおいしい部分まで飛ばしてもいいでしょう。Procreateを触るのが初めての人は、ぜひ初めから読んでProcreateの基礎を学んでください。そうしたほうが、あとで紹介するチュートリアルが飲み込みやすくなるはずです。

P16-17:「Procreateの基礎」の章より、ジェスチャの紹介ページ

 肖像画を描く人は、最低限、人間の頭部の基礎的な解剖学的知識を持っていたほうがいいでしょう。人体が皮膚の下でどんな形をしているのかがわかると、キャンバスの上でもより正確に描写できるようになります。そのため、Procreateの基礎的な扱い方を学んだあとは、人体の解剖学的構造を学んでいきます。
 人体構造の章では、目、鼻、口、耳の構造について、それぞれ取り上げます。

P56-57:「人体構造を学ぼう」の章より、頭蓋骨の構造解説ページ

 そしてそのあとの各章では、Procreateを使ったスケッチの描き方と色の塗り方を1ステップずつ解説していきます。私の個人的なアドバイスやコツ、好みなども伝えるので、参考にしてみてください。

P102-103:「ポートレートの描き方 デッサン編」の章より、写真を元にしたスケッチの解説ページ
P158-159:「ポートレートの描き方 着彩編」の章より、フェイカラーゾーンなどの解説ページ

 この本を最大限活用したい人には、初めから順に読むのをお勧めします。最初に基礎を身につけてから作品制作に進めるように、章を配置しているためです。
 ただ、絵の上達のためには何よりも練習が重要です。ですから本を読むだけでなく、Apple Pencil とProcreateを用意して、一緒に手を動かしてみましょう。模写は、新しく得た知識を自分のものにする、素晴らしい方法です。

P166-67:「ポートレートの描き方 着彩編」の章より、カーブ調整の解説ページ

Procreateとは?

 Procreateとは、iPadとApple Pencilを使ってデジタルで絵を描くことのできる、強力なiOSアプリです。

 Procreateは持ち運びがしやすいだけでなく、従来のパソコンとタブレットの組み合わせよりも触覚的に絵が描けます。さまざまなジェスチャに対応しており、ピンチ、スクラブなど、キャンバス上の操作を指で行える他、スタイラスペンの代わりに指で直接描くことも可能です!

デジタルとアナログの違い

 私がデジタルアートに取り組み始めたのは、もう何年も前のことです。それまでコンテや鉛筆、油絵具などのアナログな画材を使った描き方しかしてこなかったため、デジタルで人に見せられるほどの絵が描けるようになるまで、ずいぶんと時間がかかりました。
 アナログからデジタルへの移行はそう容易ではありません。その大きな理由の1つに、デジタルアートに取り組む際の考え方のずれが挙げられます。
 デジタルの媒体は、従来のアナログの画材によく似ています。Procreateにも「アクリル」ブラシや「木炭」ブラシの他、「ダーウェント」という鉛筆ブラシまであります。そのせいか、これらのブラシツールを使うときにアナログで描くときと同じように描けば、同じような描写ができると思い込んでしまうのです。それで思ったような表現にならないと、もどかしくて苛立ったり、絶望的な気分になってしまうことがあります。私がまさにそうでした。
 振り返ってみると、デジタルで一番楽しく、そして上手く描けるようになったのは、アナログの画材のデジタル版を使っている、という思考を捨ててからでした。つまり、デジタルツールはそれ独自のものとして、アナログ画材と切り離して考えるようになったのです。木炭とマーカーは違いますし、水彩と油彩も違う……デジタルもまた、従来のどの画材とも異なるのです。

 例えば、水彩画家は最初、水彩絵具とは性質も混ざり方も乾き方も異なる油絵具に戸惑うかもしれません。水彩画家が油彩画を描こうとしたら、まずは油絵具の使い方を練習し、作業工程を考え直し、実験を重ねなければ、いい結果は得られないでしょう。デジタルに移行するときも同じです。初めて触れる未知のツールが無数にあり、さまざまな作業工程を探り、試さなければなりません。自分の選んだツールに自信を持てるようになるまで、時間も忍耐力も練習も必要です。ですから最初のうちは、画面上で全く思い通りに描けなくとも落ち込まないでください。誰もが通る道ですから。
 これまでにデジタル(PhotoshopやClip Studio Paintなど)で絵を描いた経験がある人は、Procreate にもすぐに慣れるでしょう。共通しているツールやブレンドモードもありますし、インターフェースの一部も似ています。
 初めてデジタルで絵を描く人も大歓迎です! あなたのデジタルアートの旅の門出を手伝えることを、光栄に思います。Procreateはインターフェースがシンプルなうえ、対応するジェスチャが豊富なため、より触覚に頼った操作が可能であり、デジタルアートの入り口として最適です。慣れるまでは焦らず、Procreateに備わっているいろいろなツールを試してみてください。

必要な道具

 必要なものはそう多くなく、素晴らしい作品を生み出すのに最新の高性能
Apple製品も必要ありません。最低限、iPadとApple Pencil、Procreate のアプリ(ダウンロード&インストール済み)があれば事足ります。
 ちなみに私はこちらを使っています。

・iPad Pro 13 インチ
・Apple Pencil(第2世代)
・Procreate(バージョン5.2.7)


Amazonページはこちら。Kindle版もあります。


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