群の定義

noteへの投稿の練習がてらマグマから初めて群の定義までの流れを書いてみようかと思います.


まずは,2項演算が定義集合上で閉じていることを要請してみます.

マグマ

集合$${M}$$と写像$${\cdot : M \times M \to M}$$の組$${(M,\cdot)}$$マグマと呼ぶ.

次に,2項演算に結合則を要請します.

半群

マグマ$${(M,\mu)}$$が結合則:$${\forall (a, b, c) \in M^3 [(a \cdot b) \cdot c = a \cdot (b \cdot c)]}$$を満たすとき,組$${(M,\mu)}$$半群と呼ぶ.

さらに,単位元の存在を要請する.

モノイド

半群$${(M,\mu)}$$に対して, $${\exist e \in M \forall a \in M [a \cdot e = e \cdot a = a]}$$を満たすとき, 組$${(M,\mu, e)}$$モノイドと呼ぶ.

この時,モノイドの単位元は一意に定まる.
証明)モノイド$${(M,\mu, e_1)}$$$${(M,\mu, e_2)}$$に対して, $${e_1 = e_1 \cdot e_2 = e_2}$$となる.

最後に,可逆性を要請します.

モノイド$${(M,\mu, e)}$$に対して, 写像$${\rm{inv} : M \to M}$$が存在して$${\forall x \in M [x \cdot \rm{inv}(x) = \rm{inv}(x) \cdot x = e]}$$を満たすならば,組$${(M,\mu, e, \rm{inv})}$$と呼ぶ.

この時,それぞれの元の逆元は一意に定まる.
証明)$${(M,\mu, e, \rm{inv}_1)}$$$${(M,\mu, e, \rm{inv}_2)}$$と任意の元$${x \in M}$$に対して,

$$
\begin{align*}
\rm{inv}_1(x) &= \rm{inv}_1(x) \cdot e \\
&= \rm{inv}_1(x) \cdot \left(x \cdot \rm{inv}_2(x) \right) \\
&= \left(\rm{inv}_1(x) \cdot x \right) \cdot \rm{inv}_2(x) \\
&= e \cdot \rm{inv}_2(x) \\
&= \rm{inv}_2(x)
\end{align*}
$$

となる.

あとがき


と,このように記事の練習がてら群の定義までを追ってみたけれど, 今回紹介した流れのほかにも,性質を要請する順番次第でいろいろな数学的対象が現れる.

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