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K字経済の解決策とは?

配信日:2021年3月3日

経済の二極化、特に格差社会を「K字経済」と表現することが増えています。K字、つまり富める者がさらに富み、貧しい者がさらに困窮する状態を示した表現です。これまでも「V字回復」「Uターン」「Jターン」「H型人材(専門家、つまりI型人材どうしを繋ぐ越境・触媒型人材)」「L字経済(景気が落ち込んだまま停滞が続く状態)」など、アルファベットは便利にかつ的確に状態を示してきました。格差社会。この言葉があまり好きになれません。根本の原因はグローバルな新自由主義の浸透ですが、もっと身近なところでは「他人に対する無関心」「不寛容」があると思います。優しくない、生きづらい時代です。かつてマザー・テレサは言いました。「愛の反対は無関心である」と。いまは愛が足らない時代だとも言えます。そして愛とは「他人を慮る(おもんぱかる)こころ」なのでしょう。僕的な愛の定義です。いつも誰かが気をかけてくれている状態(Take careされている状態)が「愛されている」ということです。

個人のレベルではK字型を解決する取り組みが始まっています。子ども食堂はその一つ。両親が忙しくて夕食の準備をしてもらえない子供や、貧しさからまともに食べられない家庭の子供に無料で食事を与えるボランティアです。主に地域の農家さんや生産者さんが無償で提供してくれる食材を使って「好きなだけ、おなか一杯食べていいよ」と言ってくれる。本当にありがたいですね。子供の食事と言えば、NHKスペシャルで「平成最後の晩餐~日本人と食の30年~(2019年4月30日)」という番組を見ました。このなかで子供の食事について興味深い調査があります。子供に「家族団らんの食卓の絵」を描いてもらうのです。すると多くの子供がお父さんやお母さんが不在の絵、または点線でふちどられた「表情のない絵」を描いていました。つまり仕事で忙しく子供と食事もままならない両親と、独りで食べることが日常になっている子供の食生活が示されています。これには胸が締め付けられました。

どうしたら格差社会の修正は出来るのだろうか。先週、日経新聞の特集で「パクスなき世界」のシリーズ4回目をやっていて、その特集が格差社会でした。だから僕も一生懸命に見ていたのですが、残念ながら明確な答えはないようです。しかし子ども食堂のような取り組みは具体的なひとつの答えですし、僕のクライアントさんでも「自分たちに出来ることは何か」「どう解決策を示すか」に取り組んでいる会社さんもあります。また世の中的にSDGsが注目を集めています。こういう取り組みもやっているうちに本気になると思います。取り組み自体が型(モールド)になり、やがて価値観が変わるのです。

僕は身近なところからやっていけばいいと思っています。田舎の実家には年老いた母とコロナ禍で仕事が吹っ飛んだ弟がいます。たまに電話やオンラインで話す。毎月、生活費を振り込む。仕事を紹介する。会いに行って一緒に食事をする。家の中を掃除する(あまり関係ないか)。要するに元気づけてあげればいいのです。自分自身が希望の光になればいい。そんなことしか出来ないけれど、出来ることをやるだけでみんなが元気になれます。しかもやってあげられる僕も元気になれます。気持ちがいいですよ。結局、誰かを助けるというのは自分を助けることでもあると感じる一瞬です。