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日経新聞で「空飛ぶクルマ、50年に185兆円市場に 既に受注1万機超」という記事を読みました。「eVTOL機(電動垂直離着陸機)は、日本では分かりやすさを優先して「空飛ぶクルマ」と呼ばれることが多い。技術的にドローン(無人航空機)と共通要素が多いため、(過去の墜落事故などから)安全性を不安視する向きもあるが、人を乗せて輸送するための厳しい安全基準をクリアした新種の「航空機」である。3大特徴とされるのが「電動」「自動飛行」「垂直離着陸」で、エンジンを動力源とする既存のヘリと比較するとそのインパクトが分かりやすい(日経新聞8月7日)」。今日は空を飛ぶクルマの話をしましょう。最初は「ドローンが交通手段になるということか」と思ったけれど、どうやらそれだけじゃないようです。これ、単なる移動手段の進化というよりも、都市や地方のあり方までをガラッと変える可能性を秘めているようです。

まず、eVTOLは、これまでのヘリコプターのイメージを覆す技術のようですね。ヘリコプターはうるさいし、運航コストも高いから、日常的な移動手段にはなりませんでした。でも、eVTOLは静かで、電動で、しかも運用コストが格段に低い。例えばニューヨークで行われたデモ飛行では、その時の騒音はヘリのそれとは比べ物にならないくらい静かだったらしい。しかも、運航コストも大幅に削減できるので、将来的にはパイロットなしでの自動運転まで見込んでいるとのこと。これが実現すると、都市の移動がまるで映画の未来都市みたいになるかもしれないですね。通勤ラッシュで満員電車に押し込まれる日々は過去のものになるかもしれないし、都市間の移動時間も劇的に短縮されるように思います。さらにこんな生活も想像できます。

朝、家を出て銀座でお客さんと打ち合わせをした後、ランチは葉山のビーチサイドカフェで海を眺めながらリフレッシュ。午後は、そのまま葉山の別荘でゆっくりとリモートワーク。夕方には、ふと温泉に行きたくなって箱根に飛び、夜には都心に戻ってお気に入りのレストランでディナーを楽しむ。または好きな田舎に住んで、必要な時だけ都市に「飛んで行く」ライフスタイルが主流になるかもしれません。「今日は山梨の葡萄畑でワインの収穫を手伝いながら仕事して、明日は名古屋でプレゼン」なんて憧れの働き方ができる時代がすぐそこに来ているのかもしれない。ちょっとカッコよすぎるけれど、これもeVTOLがあれば数時間で移動可能な日常になるかもしれません。

家族との過ごし方も変わりそうです。例えば、これまでたまにしか訪れられなかった田舎に住む母にも、頻繁に様子を見に行けるようになります。土曜の午前中に東京を出発して、一日過ごし、夜には自宅に帰る。家族との絆を深める機会が、今よりもはるかに増えそうです。同時に地方や離島の生活も変わるだろうと思います。これまで交通の便が悪くて観光やビジネスが進まなかった場所にも、人の往来が増えるので、新しい可能性が広がるでしょう。災害が起きた時の医療物資の輸送とか、緊急時の移動手段もこれに替わる。

もちろん、実現にはいくつかの課題もあるようです。安全性に対する懸念は当然あるだろうし、専用のインフラ、つまりVポートの整備も進めないといけないでしょう。それでも、これだけの可能性を持つ技術が登場している事実は無視できないと思いませんか。単純にヘリコプターでできなかったことがeVTOLでできるかもしれないし、これを機に新しい都市計画やインフラ整備が加速するかもしれない。数年後には今とは全く違う「空の移動」が当たり前になっているかもしれません。それは僕たちのライフスタイルを変えて、ひいてはこれからの日本を再定義する可能性すらあるように思います。