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看護師だけど病院退職時に有休消化申請したら断られたので”本気”出した
昔書いたブログ記事の再編版です。
2018年某日…新卒から勤めていたこの病院を退職することにした。
職場の人間関係や労働環境が年毎に悪化の一途を辿っていたので、これを機に田舎から上京でもするかと、次のキャリアも見据えた上での決意だった。(詳細は割愛するが、一つの病棟で一年間で既に10数人の退職者が出ていた)
通常会社員は退職前に有休の消化日数を見積もって退職日を決めるパターンが多いのではないだろうか。
しかし病院という場所は時として労働基準法の概念が通用しない場合がある。
残念ながら現状多くの病院が、人手不足などの理由で有休消化を認めず、阻止しようとする違法行為がまん延しているのが現状だろう。
僕自身、有休は30日以上残した状態であったため、当然有休を消化して新生活に備えようと考えていた。
当時の上司(師長)に退職の意思と有休消化の時期について相談した。
その時の師長の答えは・・・
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「消化する?!病棟の状況わかってるの?出来るわけないじゃない!」
は??????????????????????
完全にキレた
結論から言うと、ここから本気出して頑張ってみたら有休消化をして無事退職した。
なので有休を消化するためにやったこと、調べたことについて今日は記録を残していきたいと思う。
同じように退職時に有休を消化したい方の参考になれば幸いだ。
まずは有休に係る法律を覚えておこう
ここで厚生労働省の有休に関するQ&Aをご覧いただきたい。
業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、一定の要件を満たした全ての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければなりません(労働基準法第39条)
年次有給休暇に関するQ&A
Q2 年次有給休暇を買い取ることは可能ですか。
A2 年次有給休暇の本来の趣旨である「休むこと」を妨げることとなるため、買い取りは法律違反となります。ただし、退職時に結果的に残ってしまった年次有給休暇に対し、残日数に応じた金銭を給付することは差し支えありません。
Q4 年次有給休暇を取得すると不利益な扱いを受けそうです。
A4 使用者は、労働者が年次有給休暇を取得したことを理由として、その労働者に不利益な取扱いをしないようにしなければなりません(労働基準法附則第136条)。
不利益な取扱いとは、賃金の減額など、年次有給休暇の取得を抑制するような全ての取扱いが含まれます。
ここでのポイントは
①退職時に残ってしまった有給は買い取りが認められる(通常は違法)
②有給を消化することを拒否したり、制限しようとする言動も違法になる
この2点を抑えておけばOKだ。
時季変更権についても知っておきたい
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労働者側が有給を申請しても、雇用者(病院)側には取得する日を変更する権限がある。
(^)(^)「〇〇日に有休を取って休むのですがかまいませんね!」
(゜)(゜)「ハァ⁉いいわけねーだろッドカスがッ!!!来月にしろ!」
これは認められる。
ここで重要となるのは、日程を変えるだけで、有給の取得そのものを拒否することは出来ないという点だ。
最寄りの労働基準監督署を調べる
困ったらすぐに相談出来るよう、自分の職場を管轄している労働基準監督署の場所や電話番号をメモしておくのがよい。
基本的な準備は以上となる。
後は本気出すだけ。いやマジで。
交渉ッ!交渉ッ!交渉————
労働基準法上では退職する1か月前までに申請すれば問題なく退職できるが、30日もの有休を1か月では消費しきれるわけがないので、退職の半年前に交渉を開始していた。
(^)(^)「3月末に退職するので年休消化するで!」
(゜)(゜)「出来るわけないが?」
(^)(^)「法整備された労働者の権利なので拒否とかはできないぞ」
(゜)(゜)「病棟の状況わかってる?どうやって夜勤回すの?」
(^)(^)「それは管理側の問題であって、僕の問題ではない」
(゜)(゜)「ちょっと待って…部長と相談します」
(^)(^)「やった!やった!有休消化、完!」
————その後1か月以上音沙汰がなかった
1か月後…
(^)(^)「師長!前言ってた有休消化の件、どうなったんや?」
(゜)(゜)「は?…あ~~~~~そうね!やっぱり全部消化は難しいから引っ越しの日程だけ教えてもらってその数日とかになるかしらね!」
(^)(^)「数日はもう普通の休みでワロタ。なにいってんだこいつハナホジ」
(^)(^)「次の職場は領域も変わるから、しっかり研修受けるなり勉強して備えたいんやが…」
(゜)(゜)「研修届を出してくれたらそこだけ休みにするわよ!」
(^)(^)「〇すぞ」
ラチが明かないのでもう労働基準監督署へ通報を含めて電話で相談することにした。
労働基準監督署通報のススメ
労基署の回答をざっとまとめると
①申請する場合は口約束ではなく、規定に乗っ取った方法(書類など)で申請してから拒否されないと、違法性があると認められにくい。
②有休消化に関係なく、退職に関するその職場の職務規定をしっかり確認した方がいい(こちらが職務規定を破っていると、要求を通すことが難しくなるため)
③一気に消化するのではなく、毎月〇日などの条件をこちらから出すと雇用主側も了承しやすくなる。
④確実に違法性が認められれば調査に入るからまた相談するやで!
(^)(^)「・・・?」
ここでのポイントは
①退職時に残ってしまった有給は買い取りが認められる(通常は違法)
②有給を消化することを拒否したり、制限しようとする言動も違法になる
②有給を消化することを拒否したり、制限しようとする言動も違法になる
(^)(^)「言動が違法になるんやないのけ!?」
それも当然…当時僕は一つ大きなポカをやらかしていた。
交渉の際にICレコーダーで会話を録音することをしていなかったのだ。
恐らく、たとえ口約束でも録音データとして証拠が提出できる状況であれば違法性が認められていたのではないかと思われる。
親愛なる皆様はぜひICレコーダーの準備を忘れないようにしよう。
再戦ッ!諦めない有休消化ッ!!
労基署に相談した後、程なくして再度上司からのアプローチがあった。
(゜)(゜)「やっぱりここの事情を考えたら有休消化は難しいゾ。諦めるんだゾ。」
(^)(^)「この前労基署に相談したけど、申請して拒否した時点で違法性があることになるって言ってたゾ。今回の返答次第では通報せざるを得ないゾ。」
(゜)(゜)「ハァーーッ!?円満に退職したいと思わないんけ?!」
(^)(^)「今揉めてる時点でもう円満じゃないゾ」
(^)(^)「現時点でもう一度拒否するなら、この後すぐ病院名と師長の実名を出して通報するしかなくなるゾ」
(゜)(゜)「とりあえずまた部長と相談して検討します…」
勝利は突然に…有休消化成功!
季節はもう冬に差し掛かっており、退職まで3か月を切ろうかというところだった。
(゜)(゜)「前言ってた有休消化の件だけど…こういうスケジュールで消化でもよろしいか?」
(^)(^)「?!!?!??!………ええで!」
急に有休消化できることになった。完。
有休消化を交渉する中で気づいたこと
・有休消化に係る法律を知識として知っておく
・最寄りの労働基準監督署の場所や電話番号を控えておく
・上司と諦めずに何回も交渉する
・自分じゃどうしようもないと感じたら労働基準監督署へ相談、必要なら通報する
・職務規定を確認しておく
・年休消化の申請は書類など形に残るように申請して、拒否された時点で違法となる
・年休消化申請は退職日から逆算して、余裕を持って行う
有休消化ってまともな職場に勤めている方からしたら当然のことなのでなんの疑問も湧かないんだろうけど、有休消化はしないのが当たり前という職場風土の場合はそれなりの覚悟が必要になる。
時には労働組合の手を借りるのもアリだが、現代ではそれほど労働組合が強い場所もそうそうないのではないだろうか。
ちなみに僕が働いていた病院にも労働組合が存在していたが、あまりにも高い組合費に馬鹿らしくなり、退会していた。(年間6万円かかる。アホか。)
同時期に退職する先輩が労働組合に属していたため、有休消化交渉について労働組合に依頼してみたところ、「5日までなら交渉出来る!」と自信満々に言われてしまったそうだ。
10年働いて約60万円も支払ってきてこの仕打ちを受けた先輩は、生まれたての小鹿のように震えた瞳をしていた。(結局僕が有休消化を認められたため波及効果で消化できることになったようだが)
子どものような嫌がらせも当然受けた。
ただでさえ人間関係が終わってる激務な職場で有休消化をしようという異端が現れたのだから、特に主任クラスの上司から無視などのパワハラを受けていた。ついでにパワハラとして報告しておけばよかった。
最終的に必要なのは覚悟であり、マイルドヤンキーのように強気に振る舞うことも重要であると思う。
病院で働いているとつい世間の常識と乖離した世間知らずになりがちなので、一般的な常識を学ぶことは自分の身を守ることにもつながる。
みんなも頑張れ。