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地域開発ハンドブック 序章 まとめ

ブルー・マーリン・パートナーズ株式会社は、人々のあたらしい暮らしを支える産業と社会システムを創造する事業創造ファームです。本マガジンでは、「つながりと物語をはぐくむ地域のつくりかた」に焦点を当て、知見をお届けいたします。

世界の変化

  • 3つの世界
    今世界は、人や自然とのつながりを育む「シェアリズム」、資本の集約し分配する「キャピタリズム」、注目や評価自体が価値になる「ヴァーチャリズム」の3つに分化し、これまでの社会構造が大きく壊れようとしている

  • 社会の変化
    これまで500年で、キャピタリズムで資源は集約・使いつくされ、階級の固定化が進んだ。キャピタリズムの世界で疲弊した人々は、活路や癒しを他の2つの世界に求めた。今後はシェアリズムの中で自然や人とのつながりの中で幸せと活力を感じる生き方、ヴァーチャリズムの世界で交流・創造する生き方も増えてゆくだろう。

  • 個人の変化
    ただしそうであってもお金を稼ぐことは避けられない。しかも、キャピタリズムの世界でお金を稼ぐためには、価値創造よりも所属する階層によって決まり、稼いでいくことが社会的な価値に結びつかない時代になっている。これは、稼ぐこと、貢献すること、暮らすことを分けて考えていく必要性を示唆しており、私たちの働き方にも変容が求められている。

個人の生存戦略

  • 提案・バーティカルワールドというアプローチ
    個人が変化の中、生き抜き、豊かさを育んでいくためには、3つの世界どれかに依存して生きることではなく、自身にあう土地に根ざし、周囲の人と協力しながら、地域独自の「シェアリズム(人や自然との良い関係を築く)」→ 「キャピタリズム(価値が生まれ交換される)」→「ヴァーチャリズム(日本初世界一の何かとして認められる)」を構想し、再開発する。地域価値創造に取り組む事こそ可能性がある。

  • 対象とする層
    地域と企業の一番の違いは、「メンバーを選べない」点にある。そのため、地域には企業よりも多様な人たちが住んでおり、それぞれに必要な役割を果たしている。この本では、地域に住みさまざまな役割を担う人たちのうち、「構想する」「稼ぐ」人たちが、具体的にどのように地域に貢献していくと良いのかを述べていきたい。

日本の課題と新しい姿

  • 大前提として、今後日本の各地域は分権化、孤独孤立が進行していくと考えられる。分権化は中央の弱体化の結果として各地域に対し自立を迫り、孤独孤立は社会的コストと損失をもたらす。財源の自立そして、関係性のデザインが求められている。

  •  地方分権の流れ
    今までの地域開発においては、依然として中央で考えたことを各地で展開する形式をとってきた。中央の弱体化を背景とし、地域が独自に予算を確保し、計画を策定して開発を進める必要がある。

  • 孤独と孤立
    人への重要性は、孤独と孤立の問題からも明らかである。人口減少 及び 暮らしのサービス化によって、関係が断絶され、孤立し孤独を感じる人が増えることで、引きこもりや生産性の低下など種々の問題が出てきている

  • 日本の新しい姿
    では、具体的に日本の新しい姿とはなんなのか?U S J(United states of Japan)である。日本を8つのエリアに分け、それぞれのエリアの特性に分けて独自に開発されてゆくだろう。

企業価値から地域価値へ

  • 地域価値創造に取り組むにあたり、「構想する」「稼ぐ」人は、企業価値創造で培ったフレームワークを援用することで、比較的スムーズに貢献できると考える。

  • 企業価値創造においては、過去の結果(財務諸表)と事業構造を明らかにし、企業価値の源泉を見つけ出した上で、それを最大化する施策を講じる。地域価値創造でも同様に、過去の結果(地域の財源状況)と構造(地質・歴史・産業・人口・制度)を明らかにし、地域における価値の源泉を結晶化し、グランドデザインを描き地域価値を上げていくアプローチが取れる。

  • 共通点
    企業価値と地域価値は、分析→洞察・構想→実装という点で類似している。また、構成要素についても政治、産業、体制、市場、教育、福祉⇄ファイナンス、プロダクト、組織、事業構想、利益方程式、顧客創造と類似点がある

  • 相違点
    地域と企業の1番の違いは、構成員の選択権の有無である。地域は住民を選択する権利がなく、インセンティブもバラバラである。また、企業の場合は経済合理性だけでありROIC>WACCというKPIが存在する。地域は関係づくりが重要なため、独自にそのKPIをもたねばならない。

地域価値におけるKPI

  • 地域価値の評価は、長期スパンで計測する必要があり、「富」ではなく「豊かさ」を指標化するため難しい。ここでは従来の指標であった「地価」と私たちが提案する新しい指標「関係係数」を紹介する。

  • これまでの地域開発において「地価」が優先的な評価指標であった。地価によって、その地域に住む人々の所得帯が決まるからである。しかしこれは、所得が基準となっていること、過疎地域においては不動産市場そのものがなく信憑性に欠けることから、評価指標としては課題が残る。

  • そこで私たちは、あたらしい評価指標として「関係係数」を提案する。なぜなら、幸せは「関係」によってもたらされると考えるからである。関係の指標としては「寛容度(行動に対して寛容である)」「関与度(地域に対して主体的に関与している)」が挙げられる。


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