地域開発において乗り越えるべき種々の課題:二重経済問題について#3-8
地域開発において乗り越えるべき課題について、代表的な観点を 2つ挙げておく。1つ目に住民と観光客の価格を明確に分けるという課題、そして2つ目に、地域の多様な関係者の期待値と時間軸の調整コストの課題である。
二重経済問題について
はじめに乗り越えるべき課題として、地域内の重要な資源を活用したモノやサービスについて、地域外の方に向ける価格設定を、ハイエンド向けに設計できるかという点がある。地域開発において、その地域内での 物価で物事を考えるあまり、ホテル滞在や食事、アクティビティに至るまで、低めの価格設定をする場合が 散見される。しかし、地域の方々が、その地域における観光資源の維持コストを常に払っている。外からきた人たちは、地域の資源を堪能し帰っていけば良いかもしれないが、地域に住む方々は日夜地域資源を維 持し再投資しながら地域価値を高めていく必要があるのだ。このためには十分な利潤が必要である。環境庁は一回の旅行で 100 万円を使う人を富裕層としているが、少ないと考える。1000 万、せめて500 万使う人を富裕層といいたい。 現状日本国内では、観光客価格と地元価格を明確に分けているところは少なく、日本は「品質が高いもの を安定的に安く買ったり、体験したりできる」国として、世界に知られつつある。これによって短期的にはイン バウンドが増加し、収益につながっているかもしれないが、安売りでは長くは続かない。 ヨーロッパのマーケティングを学びながら、観光産業のあり方を変えていかなくてはならないだろう。
(次回へ続く)