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まとめ|地域開発ハンドブック

はじめに

本マガジンは、都会でキャリアを積んだビジネスパーソンが、地方でビジネスマインドを発揮するための本である。地方に根ざして暮らしたいと考え始めた人々が、各々の地域で2040年に向けて豊かな関係をもつ地域をデザインできるハンドブックを目指している。

都会に住む人々は、根っからの都会っ子と地域から都会に出てきた人たちの二手に分かれる。後者の人々は、地域になじまず少し浮いた存在で、「この場所では居場所がない。でも、ここではないどこかに、自身の活躍できる場所がある」と多かれ少なかれ感じた挫折体験があり、都会に出てくる。

こうして都会に出てきた人々を吸収したのは、分業の中「考えること」を生業としてきた「知的労働」の世界だった。「I T」「人材」「コンサルティング」などの領域に出会い、資本主義の中で「いかに効率的に成果を上げていくか?」に焦点を当て、成果を出しさえすれば居場所が与えられる。

都会における格闘の中で高い報酬や社会的地位を得た人も多かったが、心のどこかでは「生まれ育ったあの環境に馴染まなかった自分」という負い目を捨てきれずにいる。「自身を丸ごと受け入れてもらえる地域や居場所はどこにもないのではないか?」そういった一抹の不安を感じながら、都会の細切れの関係の中で生きている。

そうこうしているうちに時代は変わり、「社会システム」の綻びが看過できなくなってきた。地縁・血縁を基盤とする地域から出て、暮らしで拠り所としてきた都会の「社会システム」が、機能不全を起こし始めたのだ。

こうした状況で、わたしたちがとりうる方法は、4つであろう。1つ目に、綻びが出始めた社会システムに留まりなんとか生きていくこと。2つ目に、日本を出て機能不全を起こしていない場所を選びそこで生き抜くこと。3つ目に、社会システムの変革自体に身を投じてゆくこと。そして4つ目に、地域に根差し居場所を作りながら次の新しい社会を創っていくことである。

本書では、「地域に根差して居場所を作りながら新しい社会を創る」という方法に焦点を当てて解説する。地域で何か始めるにあたって本著は、分析と構想にかなりの分量を割いている。私たちが都会で培ってきたビジネスマインドやスキルと地域の交点をなんとか見つけることを試みたがゆえのものである。
もうすでに地域に入り幸せに暮らしている方々にとっては回りくどく、「構想や分析はもういい。ところで、地域に対して一体何をできるんだ?」と感じるかもしれない。

実際当社も様々な地域を訪れ、話をさせていただく中で多く問われたことは、「ところで御社は、私たちの地域にずっと居て、取り組んでくれるのか?」ということであったように思う。その問いに対して、私たちは本書を通して「はい、そのつもりです。ただし、私たちなりの精一杯の方法にはなるのですが。」と返事をしたい。

地域に自然に根ざし生きる方々と同じように、地域のお祭りに準備から参加し、地元のつながりからパートナーを見つけ、家を買い、愚痴を言い合いながらも地域の会社に勤め上げる方法ではないかもしれない。私たちが都会でこれまで培ってきた「分析し構想し実行する」力を使って、地域に貢献していきたいと考えている。

地域開発ハンドブックまとめ

要約

  • 地域開発は「つながり」を回復すること

  •  KPIは、「地価」ではなく「関係」に定める

  • 関係をつくる「なめらかな経済」を構築する

序章 豊かさは「関係」がもたらす。企業価値から地域価値へ


第1章  地域開発の3つのステップ


第2章  地域開発を始めよう


付録: 地域で取り組む施策集

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