ステップ1:地域の立体的解析#2-4
地域を調べる際、まずは下記のフレームワークに従って、各レイヤーを重層的に調査する。地質、地政、土 地、気候、文化・歴史などの自然条件から、環境、生活、産業などの社会条件まで各項目を調べ、埋めてゆ くことで、項目ごとの関連やその地域の姿が立体的に見えてくる。このプロセスを丁寧に実施することで、流 行りやアイデアベースの施策展開を避け、100 年続く地域の基盤となる開発方針の策定が可能となる。
地域開発にあたって文化や歴史、産業、人口動態だけでなく地質や地政、土地や気候までを分析する背景 には地政学の考え方がある。国の地理的な条件をもとに、政治的、社会的、軍事的な影響を研究する学問 における研究分野である。昔から、地形や隣接する国との立地によって町ができ、その栄衰が左右されて きた。地域にとっては動かし難い自然条件を調べ切ることで、超長期的にその地域が受ける影響を考察し、 長期に運用可能なコンセプトを案出できる。
地域の多層的に分析した後は、地域の方針の結晶化のプロセスに入る。このプロセスでは、地域内の分析 によって見えてきた地域の本質に加え、地域外の環境分析と今後 100 年の環境変化の予測を行う。そして 地域が持つ特性の中で、今後 100 年間で必要とされてゆく活用方法を考案する。
この際、変化の方向性を捉えることは必要だが、予測の精度を上げることは困難であるため、地域としての 未来予測のスタンスを明確にするにとどめる必要がある。 方針を定める際には、ワークショップのような形式がとられる場合が多いが、未来予測や地域価値の本質 の抽出など高度な思考力が求められるため、多数決のような民主的な方法での合意形成がそぐわないこと は明記をしておきたい。ワークショップで意見を集めた後は、有権者によって確定する。
(次回へ続く)