スプラトゥーン2の闇
Switchが絶好調の任天堂。自分もSwitchが発売された当初から運良く手に入り、ゲームの楽しさを満喫させて頂いている。そんな中でもスプラトゥーン2は自分が当初想定していた以上にハマり、今となっては家庭用ゲーム機の中で恐らく過去最多の1000時間以上も遊んでいる。
普通に考えれば、それだけ遊んでいるという事は楽しいゲームなんだと思う事でしょう。でもこのゲームは楽しいと素直に言えない闇が潜んでいるので、その辺を整理して書いてみたいと思う。
まずこのゲームは、インクを発射する武器を使って敵を倒すという基本と、インクが塗られたところは自分が潜って隠れる事ができ、インク補給を出来るという役割がある。打って隠れて敵味方が塗り合うインクのフィールドでワイワイと戦い合う、とても楽しいゲームだと言える。そう、基本的には凄く良く出来た楽しいゲームなのです。
では何が闇なのか。それはゲームのルールデザインが大きく影響しているように思う。
このゲームは4:4の多人数プレイが基本で、勝ち負けがハッキリとする。4人の中で1人のウエイトが大きく4:3になると基本勝てない。自分のせいで負けたくないし仲間に迷惑を掛けられない。という責任感と、どうにか上手くなって勝てるようになりたい。という向上心を掻き立てられるゲーム。良いゲームの基本は抑えていると思う。
しかし、このゲームは挙げた大事な部分をヘシ折る状況が満載で、しかも任天堂はこれを敢えてわざとやっている感がある。ユーザーが散々指摘している理不尽を直す気すら見えない。そして、そんな状況が野放しだからなのか、対象プレイヤーが子供だからなのか、ユーザーのモラルも低いと思わせる場面に頻繁に遭遇する。
(この辺をもっと知りたければAmazonレビューを見ればより分かると思う)
基本4:4の構図で1人が抜けるとほぼ勝てないゲームデザイン。ネット回線の不調で誰かが抜けてしまう事は当然あるし仕方がないが、勝てているゲーム中に仲間が回線落ちした時の絶望と時間の無駄さ。
また、負けてるがまだまだ逆転の可能性はあると頑張ってる時に仲間が諦めて回線を切った時、又はやる気を無くして何もしなくなった時の理不尽さ。
こういった、ゲームの最中にゲームが成立しなくなる事が割と頻繁にみられる事。
また、武器の編成上マッチングの有利不利が極端で、やる前からほぼ負け(ほぼ勝ち)な戦いが割と良くある事。
極端に連勝連敗をしないように、マッチングで強い人には弱い人が組まされ勝率を調整されている事。
これらはネットゲームの性質上ある意味仕方ない部分もあるとは思う。寛容な心で遊べばいいとも思う。でもルールデザインが、それらを許せなくさせている。
スプラトゥーン2は様々なゲームモードがあるが、1人用のヒーローモードは基本チュートリアルな側面があるので置いておく。
実質1人で遊ぶメインのモードとなる「ガチマッチ」は様々なルールを勝ってランクを上げていくモード。自分の強さに応じてC→B→A→S→Xと勝ち上がる度にランクも上がる。しかし逆に負けるとランクは下がる仕様。この下がるというのが曲者で、自分が下手糞で負けてしまったならば仕方ないと納得もいく。でもこれが仲間の理不尽さや任天堂の理不尽なマッチングのような、自分の頑張りではどうにもならない要因だったらどうだろう。
基本、上のランク帯に行けば行くほどユーザーのモラルや運の要素が少なくなっていくので、快適にプレイする為にも上に行きたいし落ちたくはない。なのに自分の頑張りと関係のないところで負けさせられていると感じる事が頻繁にあるのがこのゲームの問題。
やる前から負けると分かっている試合、勝てるのに味方に足を引っ張られる試合、何もできずにボコボコにされる試合。只々ストレスでしか無いゲーム時間を過ごすしかない無常感。そしてこの問題を任天堂はおそらく直す気がない絶望。
このゲームが好きで上手くなりたくて、やり続けて行けば行くほど、段々とこのゲームの理不尽さに気づいていく。本当に世界観やゲーム性は素晴らしく、だからこそ「可愛さ余って憎さ100倍」になったユーザーも多いと思う。
せっかく素晴らしいゲームなのに、任天堂自身がゲームバランスやルールデザインを悪くしてしまっている。そして、そういう悪い部分をユーザーが声を上げても任天堂には届かない。光が闇の部分を色濃く見せている、スプラトゥーン2とはそういう皮肉なゲームなのです。