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振り回される楽天


楽天モバイルが第4の携帯キャリアに参入すると決まった際には、まだ市場ではそれ程期待はされていなかったように思う。
しかし、菅政権が誕生し携帯料金を下げる発言をする事によって、楽天が携帯事業に進出する目的が、業界内の価格競争の促進なのではないかと徐々に見透かされ始める。

実際に楽天モバイルのプランが発表され、料金が2980円均一と格安で分かりやすく、300万人まで新規1年無料、自社エリア内使いたい放題、エリア外はauローミング2Gまで、解約いつでもOK。とお試しとしてもノーリスクで始めやすい事、マスメディアが菅政権の目玉政策的扱いで報道した等、楽天モバイルにとっての宣伝効果も絶大だろうと強い追い風が吹いたように思えた。



後の9月16日に菅内閣誕生後、直ぐに携帯業界に大きなニュースが。9月29日、NTTがNTTドコモをTOBでほぼ全ての株式を買い取り完全子会社化のニュース。NTTは筆頭株主が財務省で実質国が経営の方向を決められる。菅内閣の意向に沿っているのだろうと想像できる。

そして、12月3日にNTTドコモから新料金プランが発表された。新料金は2980円、20Gまでだが超過後も1Mbpsで使用可、世界82カ国で使用可、5分間まで通話し放題。ただし新規契約等手続きはWeb限定、キャリアメール不使用とマイナスもあり。

正直、このプラン内容を見た時には心底驚いた。楽天モバイルに比べ全く見劣りがないどころか、おそらくこのプランに勝てる条件を参入他社が出せないだろうと思えたからだ。
もし菅政権が誕生していなかったら、NTTドコモはここまで攻めた料金プランは出してこなかったように思う。菅総理の強い意向に沿った形でこうなったのではないかと。

楽天モバイルは、まだ品質的に良いとは言えないネット通信の改善に時間がかかるだろうし、NTTドコモはおそらく劣化無くこのプランを主軸にこれからもやって行ける。このプランに値段や質を合わせていかないと他社は負けてしまう事は簡単に想像できる。

時系列的に振り返ると、楽天は元々この展開を想定せずに参入したのではないか。
楽天は今後も事業継続の為、設備投資をしていかなければならない上に、急に撤退する事も出来ない泥沼にハマったのではないか。
直ぐに会社が傾くという事は無いと思うが、自己資本比率が6.7%と、これから景気が厳しい方向に傾いた時に耐えられるのか?という懸念が生まれたように思う。

今回のNTTドコモの思い切った料金プランの低価格化は、携帯電話事業の利益構造の変化と捉える事ができるかもしれない。携帯各社はそれぞれが持つプラットフォームへの送客や囲い込むモデルへの移行がより鮮明になり、料金徴収の構造変化が早まるのではないか。そしてそのスピードに後乗りの楽天が上手く対応できるのか。今後とも楽天と携帯事業各社の動向に注目したい。

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