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[PRキャッシュ]社会課題なんて道具だ!

いつだったかのPRキャッシュコラムで「最近のPRでは社会課題解決が大流行」と書いた記憶があります。

著名なPRアワードの審査基準にも「社会課題解決につながったか」というようなものが設けられ、宣伝とPRの違いもそこにあるかのように語られることが多くなってきている気がします。

組織課題解決が優先に決まってる

でもあえて言います。
PR=パブリックリレーションズは社会課題解決のためのものではないと思います。

PRは企業・団体・組織の課題を解決するためのもので、それと乖離した社会課題を解決することが優先されることは不健全です。

もし組織課題の解決と社会課題の解決のどちらかを優先させねばならないとしたら、迷いなく前者が選択されるべきです。

「社会課題解決」は多くの人にとってわかりやすい

ではなぜPRにおいてこうまでも社会課題解決が重要なものとされているのでしょうか?

おそらくそれは世間の耳目を集め、共感を生むための要素として社会課題解決は手っ取り早くわかりやすい道具だからでしょう。

PRに「パブリック」という言葉が含まれていることからもわかるように、対話の相手として大衆というある意味よくわからないものが設定されがちです。
考え方も違えば常識も異なる多くの人たちの集合体である大衆に向き合うことを考えると、対話の題材として「社会課題」というのはわりと扱いやすく、これを解決するとなれば共感や同意を得やすいことは間違いありません。

そのため、「社会課題を解決することで組織課題も解決できる」という戦術の方向性が採られやすいのです。

社会課題解決の落とし穴

あけすけに言ってしまえば「社会課題解決」というのはリーズナブルで便利な道具なのですが、やはりこれが「組織課題解決」に優先されるのは健全ではありません。

社会課題解決に向き合っていると、自分は良いことをしているのだという陶酔感も得られますし、周りから文句も言われづらくはなります。
ですが、これに慣れてしまうと、PR計画立案のときにまず社会課題を探すという間違った手順を踏んでしまうという落とし穴にはまってしまったりするのです。

PR計画は常に組織課題の明確化が先にあり、その次の方向性策定や戦術策定において社会課題解決が必要であれば採用する、という手順で立てられるべきです。
社会課題を先に持ち出し、それと辻褄が合うように組織課題を無理やり作り出して当てはめる、などというのは本末転倒もよいところだと思います。

社会課題解決が優先されるとき

じゃあいかなる場合も社会課題解決は後回しでいいの?と問われれば、実はそうではありません。
むしろ常に意識されるべきでしょう。

どういうことか?

これは考えてみれば当たり前のことです。
PRにおいて優先して意識されるべき「組織課題」には必ず"ある特定の"社会課題の要素が含まれているはずだからです。

そもそも企業・団体・組織というのは特定の社会課題解決のためのものです。
企業のウェブサイトの「会社情報」ページに行けばほぼ必ずその会社がどのような社会課題を解決するためのものなのかが書かれていますし、それは団体や組織であっても同じです。

ここにおいて、PRで解決すべき組織課題がいかなる社会課題とつながっているかを意識することは必須であると言えるのです。

つまりダメなのは、組織課題に含まれているはずの企業・団体・組織がもともと解決を試みている社会課題を離れて新たな社会課題を設定し、その解決のために組織課題を利用しようとすることであると言えます。

組織課題優先というのは変わりません。


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