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[PRキャッシュ]「PR」の4つの意味
PRが「パブリックリレーションズ」の略だというのはコミュニケーション業界の人間であればだれでも知っています。ていうか知っててほしい。
でもPRという言葉がパブリックリレーションズの意味で使われることはほとんどないのではないでしょうか。
PRの意味その1=お金のやり取りが発生しているソーシャルメディア上のコンテンツ
いわゆる「#PR」というやつです。
いま世の中で「PR」と言えば多くの場合これを指すのではないかと思います。
2023年に施行された景品表示法の指定告示において「PR」がほぼこの意味で使用されたことでこの使い方はさらに広まった気がします。
古くからPRを生業としている人たちの中には「けしからん」という人も多いのですが、そんなこと言っても仕方ない。PRがという言葉の「パブリックリレーションズ」がうまくいかなかったからこうなっているのだと思います。
PRの意味その2=アピール
「自己PR」という言葉におけるPRはいわゆるアピールの意味です。
相手の関心や注目をひくこと、というような意味でしょうか。
元の意味である「パブリックリレーションズ」に近い意味、というよりもその一部かもしれません。
古くからPRを生業にしている人たちの中には「自己PRは誤用だ!」という人も多いのですが、パブリックリレーションズにおいて公共の関心や注目をひくことが重要ではないと考えている人もまたほとんどいません。
こういった人たちが「誤用だ」と言いたくなるのはそのアピールがしばしば独りよがりでアピールされた人の心情が無視されることが多いからでしょう。
たしかに独善的で相手のことを考えないアピールは少なくともパブリックリレーションズではありませんね。
PRの意味その3=パブリシティ
コミュニケーション業界で使われる「PR」は大体この意味です。
「パブリックリレーションズ」を標榜しているはずのPR会社の人でもPRという言葉をパブリシティの意味で使うことは多いです。
宣伝における「PR」という言葉は大体この意味で、宣伝においては広告メディアと並列で使われることも多いです。テレビCM、ネット広告、PR、OOH(屋外広告)・・・みたいな感じで。
この場合のPRは商業メディアにおける広告枠以外の部分での露出という意味で、つまりパブリシティということです。
わたしなどに言わせれば「PR=パブリシティ」という理解こそ誤用だと思うのですが、古くからPRを生業としている人たちの中でこの使い方を誤用だと憤慨している人はほとんどいません。
そういう事情もあり、この使い方もますます広がりを見せています。
PRの意味その4=パブリックリレーションズ
元の意味です。
パブリックリレーションズという言葉の最新の定義は「組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団・社会)との望ましい関係をつくり出すための考え方および行動のあり方」らしいのですが、これです。
これに照らすとPRというのは、ある「考え方」や「あり方」であり、特定の行動を示すものではなく、もっと広い概念なのですが、「PRキャッシュ」の「PR」はもちろんこれを指します。
現在「広告」という言葉が元の意味を離れ、企業や団体・組織のコミュニケーション活動全般を指す言葉になっていますが、誤解を恐れずに言えばこれらはほぼ同じものだと思います。
コミュニケーション業界において「PR」がもっぱら3つ目の意味で使われることを考えると、「広告」という言葉が大きく拡張されパブリックリレーションズと似たような意味になり、逆に「PR」という言葉大きく縮小され3つ目の意味で使われるようになり、「広告」の一部になったのかもしれません。