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中村健太郎×小山龍介「コンサル脳をつくるー3大基本スキルを身につけて市場価値を最大化する」ーBMIAリスキリング・セッション(7)

中村健太郎×小山龍介「コンサル脳をつくるー3大基本スキルを身につけて市場価値を最大化する」ーBMIAリスキリング・セッション(6)のつづきで、これが最終回です。


新しいものを生み出す思考法ーアブダクション

小山 論理の話も伺えたらと思いますけども、私は、記号学者のパースが好きで、アブダクションの発想が好きなんです。帰納法は、過去の事象の羅列から推論するので過去をベースにしているし、演繹も過去に発見した法則を当てはめていくので過去に基づいている。パースは、新しい発見をするのには、アブダクティブに考える推論がすごく重要だって唱えた人だと思うんですね。

でも、アリストテレス以来、帰納、演繹のふたつしかなくて、コンサルタントも、本でも、あまりアブダクションに触れられてなかったと思うんですよ、いままで。最近、少し増えてきたようではありますが。

中村さんがアブダクションに着目された理由を教えてもらえますか。

中村 この本(『コンサル脳を鍛える』)ではそんなに言及してないんですよ。プリミティブに帰納、演繹の前に、グルーピングすればいい、というのを新人研修のトレーニングなどでやってたんです。帰納、演繹って小難しいし、突き詰めると、それが本当に論理的かっていうとそうでもなかったりするんですよね。数学的にいうとまだまだ証明できないことがいっぱいあるわけですよ。特に帰納法は。論理の突き詰めだけだと、スキルが上がらなくなっちゃうんですね。ひたすら「これは論理的に正しいか」「帰納法っていくつ事例を積み上げれば代表してるっていえるのか」とか。

文章も定義ばっかり多くなっちゃう。スライドも前提から書き出して、この定義はこうでこうでこうでってなっちゃうと、使えるものにならないんで、ここでは論理は詰めないで、グループ分けだけやっています。

ひとつのセンテンスにひとつの意味合いだけ入れたら、箇条書きにできます。この箇条書きが、同じグループにあるのか、違うグループにあるかだけを峻別する。これはトレーニングでできるんですね。そうすると、いろいろ調べた結果、塊はいくつあるかが定義できると、そこからは思考がすごくしやすいんです。

生きた論理を構成するための土台としては、グルーピングをすればいいんじゃないかっていうのがひとつあります。

それとは別に、コンサルティングをしながら、新規事業をつくれるのかという個人的な問いがありました。新規事業を提案すると社内で通らなかったんですね。「それはお前の思いつきだろう」と言われる。いやそんなことない、いろんなベンチャーもいっぱい出てるし、成功してるところもあるし。さらに、クライアントに行ったらもっと通らなかったんです。それは論理性がないね、みたいな話になって、論理的に、または「たしからしさ」がない。競合がやってるの? って言うんですよね。やってたら「新奇性がない」と言う。「なんなんだ、この禅問答は」とずっとモヤモヤしてたんです。ブレークスルーできる思考法はないのか。論理的な根拠があるんだけど、バックミラーを見ながら運転するのではなくて、もっとフォワードルッキングで新しいものが出る思考法はないのかと。

そんな模索をしてたところで、アブダクションに出会いました。ただ、これはやっぱり相対的に論理性は低いんです。だから、説明的にはむずかしいけれど、思考的には「あり」。論理のなかでは、すっごくベーシックにやるか、どうせだったら論理を利用して新しいものをつくるっていうほうに振らないと、帰納だ、演繹だっていうところからなにも生まれないなっていうので、着目したんです。

クリエイティビティを刺激する「アブダクション」という思考法

小山 アブダクションについて、少しだけ説明すると、本の中では、ニュートンのリンゴの話が出てました。リンゴが落ちてくんだけど、なんで星は落ちないのか。ほかにもアブダクション関係の本には、リンゴがなぜ「まっすぐ」落ちていくのか、斜めじゃなくて地球の中心に向かって落ちるのか。そんな話も出ています。これを説明する仮説を考えたときに、「モノは全部、引力を持ってお互い引き合ってる」と考えると、地球の中心に向かって落ちていくのも、なるほど全部説明ができる、と。このように、いま現実に起こっている事象で、過去のなにかで説明がつかないものを説明するための仮説を出し、この仮説を真だとすると全部説明がつく。ならば、その仮説は正しいのだ、ということをいっています。そういう推論の形式をアブダクションといいます。

たとえばコロナ。外出禁止になったりしましたが、結局あんまりそういうこと関係なく、感染者は周期的に増えたり減ったりするわけですね。人流が減ってないのに、ある時点から減っていく。いま第九波ですけど、また減り始めるわけですよね。なんの対策もしないのに。こうして増えたり減ったりするのは、なぜなんだろうか。これがいま、ある種の疑問としてありますよね。

アブダクションというのは、それがもしこういうことで、ウイルスが伝播する、と、仮説として考えたら、人流が減らなくてもそうやって勝手に収束してるってことが説明できる。そしたらそれが、新しい理論となる。その理論がいま空白なので、みんなそこを探して研究をしている、ということなんだと思うんですよね。

「この仮説であれば全部が説明できるね」っていうのは、かなり人のクリエイティビティを刺激すると思うんです。

なので、世の中で売れてるものがあったときに、その真似をする、似たものを売るというのはわかりやすいんですが、たとえば、ショート動画が流行っている。なぜなんだろうか。人々は「◯◯がどうも好きらしい」という仮説を置くと、みんなショート動画が好きだっていうことを説明できる、みたいな。

こういうふうに仮説を見つけ出そうと考えるほうが、クリエイティブに考えられる。もしかしたらこれからのコンサルっていうのは、かなりアブダクション的な、仮説思考が必要で、この飛躍的な推論をするためのトレーニングもやっぱり必要なのかな、と思ったりしてます。

中村 これは私の個人的な話なんですけど、BCGって、六割東大出身者なんですよ。「学校どこ」って聞くと、麻布だ、開成だって高校を言ったりするくらい。東大がデフォルトなんでびっくりしました。それで、東大でなにを学んだかで序列があるというんですね。

某後輩は量子だったんですけど、東大で量子やるやつっていうのは「選択してこなかったんだ」って言うんです。つまり量子がいちばんいいところなので、頭がいいやつは、選択せずにいちばんむずかしい量子にいくんだと。そしたら、別の人が「いや、天文だ」って。あとで聞いたら、年によって違うらしいんですが。

でもまぁ、とにかく量子と天文が競っている。頭のいいやつが勉強してるそのふたつを僕なりに整理しながら文献を読んだんですよ。そうすると、ブラックマター、ブラックエネルギーのことが衝撃で、要するに、「測定すると94%か93%のものは説明がつかないエネルギーがある」と。優秀なやつが集まってわかったことが、「世の中の九割以上のことは説明がつかないんだ」って言っていると。衝撃でした(笑)。

ということは、まだまだわからないことっていっぱいあるんだと思ったんです。経済の発展や産業という点で見ると、ほとんどのことをやり尽くした感があって、五〇年前に生まれたらはもっとよかったなとか、二〇年前にコンサルなれば一流って言われたんじゃないかなとか。いまや、いろんなセオリーも出尽くしたかと思ってたんですけど、「いやいや、説明できないこと、山ほどある」というのを見たときに、そういうことを洞察して、わかってないことを説明するセオリーを見つけるって、やっぱりめちゃくちゃおもしろいと思いますね。

量子のほうは、もっとおかしくてわけわからない話でした。物理学者と原理仏教を修めている方の対談があったんですけど、だんだんだんだん逆転してくんですね。仏教って非常に論理的で、論理性があるからわかりやすいんですよ。極めて合理的に釈迦の教えを説くわけです。量子のほうは非常に神秘的なものになっていって、少なくとも僕には理解できなかった。観察して説明できている事象すらわからない世界に行っちゃったときに、すごくおもしろいなと思ったんです。

アインシュタインが相対性理論を見つけたときも、マクスウェルが波動を見つけたときも、これは絶対にひらめきだろうと思いました。計算とかじゃなくて、ひらめきで、それを観察しに行って証明したんだな、と。

この仮説の量がけっこう大事で、それをつくればいいんじゃないのかと思ったことはあります。でもこれが今後のコンサルティングの普遍的なスキル、必要なスキルかっていうのは、ちょっとわからないです。

小山 そうですよね。私も、コンサルっていう領域なのか? という思いもあるんですが。

中村 個人的にはおもしろいと思います。依然、それは観察事実なので、起こったことの洞察なんですけど、昔のベンチマーク、論理っていうモデリングよりはもうちょっと未来志向ですし。もうちょっと不確実なところに光をさせる可能性があるので、思考としては非常に注目はしてます。うちのコンサルタントには「仮説を出せ、合ってなくていいから」って言ってますし。

小山 どうしても、コンサルタントは情報収集が得意なので、もう既に言われている理論とか仮説を持ってきて、「タピオカが流行ったのはこういうことらしいですよ」とは言える。ところがそこに本質的に自分の考えが入ってないケースがあって、AIとかChatGPTなんかが出てきてしまうと、それに置き換えられてしまうだろうと。ChatGPTに聞けばいいですからね。そこでChatGPTを出せない答えを出すには、やっぱアブダクションが必要ですよ。ChatGPTにはそういう答えは出せない。だれもまだ言ってない仮説だから。

そう考えると、やっぱりチャレンジしていかないといけない。私は芸術大学を修了して、芸術活動として写真をやっているんですが、芸術っていうのは、いままでだれもやってない表現をやらないといけない。他の人の表現を研究したうえで、まだやってないことをやるっていうのが、アブダクション推論なんです。これはまだだれもやってないだろうみたいなことを考えるときに、過去の情報を集めてきて情報を整理しても出ません。そこにすごくクリエイティビティを感じていて、それが次世代の価値の源泉になるかなって思ってます。

AIには出せない価値を生み出す

小山 ちょっと話がずれるかもしれないんですが、実は、次回のリスキリング・セッションは「AI時代のコンサルタント生存戦略」というテーマでの開催が決まっているのですが、ChatGPTの登場が、コンサルタントにとってはけっこう衝撃であるみたいな記事もあったりします。実際はどんなふうに見られてますか。

中村 仕事が(いまの)四分の一になる、クライアントサイドで半分、コンサルティングサイドで半分になる、というのは言われてますね。今日もハイアリング目的で、外部のコンサルティングファームの偉い人と話してたんですが、多くはムダだと。

なぜかというと、大きく見たら日本の産業界、こっち(社内)でやんなきゃいけないことをこっち(社外)でやってるだけだという(笑)。日本企業の人件費問題で、給料は上げられないんだけど調査費は使える。この訳のわからない人事制度で、調査費をコンサルに使ってるだけなので、大きい袋で見ると変わらない、みたいな話をしてました。コンサルティングにもそういうタイプの仕事があって、そういうものは置き換えられます。ほとんど答えがあったりするものや、命題があって情報を編集してパワーポイントに落とすだけっていうのは、AIの大好物で、いますでにできちゃいますからね。私もめちゃくちゃ使っていて、自分の仕事の効率もすごく上がりました。

とくにグローバルとのコミュニケーション。英語でニュアンスを伝えるってすごいむずかしいですよね。What's up もそうですし、けっこう考えてメール送ってたんですよ。カジュアルなんだけどちょっと丁寧に送らなきゃ、とか。資料送るの遅れちゃったけどごめんなさいって英語で言うとつけこまれるな、みたいな。ChatGPTは、一発でちゃんと英語に直してくる。ちょっと修正してぱっと送るだけ。

私のワークもそんな感じでChatGPTに置き換わってるので、コンサルティングのなかのコモデティワークは、使い手側のリテラシー、ジェネレーティブAIのリテラシーが上がったら、なくなると思いますね。

一方で、やっぱりさっきのアブダクションもそうですし、経営者の悩み、その前のアスピレーションを聞くことはできませんよね。それから、ひとつの絵をどのように解釈して、そこからクライアントにとっての意味合いを抽出して提供する。これはやっぱりまだまだできないと思います。

なぜならとくに日本は、明示的に目的とか課題を定義しないことが非常に多いので、あいまいなものに対してはあいまいなものしか答えられなくて、この解像度を上げるっていうのが、とくに日本のコンサルタントにとってはひとつの大きな価値になってくる。その辺はジェネレーティブAIでも、できないんじゃないかなと。

飛躍的推論で仮説思考を働かせる

小山 私は最近、精神分析に興味を持ってるんですが、ちょっとその話を。社長とのインタビューでプライベートについて聞くって話があったじゃないですか。究極は、人はなんで自分はこの世に生まれてきたのか、その理由を知りたいんじゃないかと思うんですよ。ちょっと突飛な話になってるかもしれません。

ラカンが、患者さんがいわゆる分裂病と呼ばれるような症状になったときに、自分の存在意義を他者から与えられるような妄想を抱くっていうんですよ。具体的にいうと、「私は政府のある秘密結社から命を狙われている」と。だから逃げ通さないといけない。でもストレスフルでもう嫌だから、自殺してしまいたいぐらいだと。ただ、自分が自殺すると、命を狙われてたという事実をだれにも証明できないので、だから生きてるんだ、みたいな妄想を抱いて生きている人も患者さんのなかにいる。そのときにこう解釈するらしいんですよ。

政府という、ある種の権威が命を狙うということによってその人の生きてる意味を定義して、自分の存在意義をそこで再確認しようとする作業なんだ、と。人っていうのは、そういうふうに他人から「あなたの生きてる意味はこういうことですよ」っていうふうに与えられる。言語もそうだし、欲望もそうでしたよね。

他人から与えられたものを、自分のものとして「自分がこう生きたいんだ」って言い換えるところに、人生の、なんというか、おもしろさというかエネルギーみたいなものが出てくるんですよね。

そう考えると、どんな社長でも、実は悩んでるのは、「なんで自分が生まれてきたんだろう。こんな仕事やってていいんだろうか」とか、そういうことなんじゃないですかね。そういうときに精神科医として(というとちょっと言い過ぎですけれども)、ある種そういうスタンスで、あなたの生まれてきた意味はこういうことなんじゃないか、と推測する。これはどうやったってアブダクションなんですよね。飛躍的推論でしか推論しようがない。あなたという人間はたったひとりしかいないので、帰納的に「あなたに似たような人を一〇〇人集めてきたんですが、だいたいこういう目的でした」とは言えないですよね、統計処理できない。一方で、演繹的に「日本人のこれぐらいだったらこういうふうに考えるべきだ」とかって言われたらイラッとくるわけです。その人が生きるというのは、唯一無二の一回きりの事象ですから。

そういうふうに考えると、このやり取りってアブダクションだなって思ったんです。究極、その人の生きてる意味はなんなんだという、絶対にたどり着けない意味みたいなものを、飛躍的に推論していくときに仮説思考が働くし、それがある種、プライベートの関係をつくるときにもすごく生きるんだろうなって、思うんですよ。

中村 なるほど。そこまで突き詰めたことなかったですね。

小山 僕、冗談めいて子どもたちにこう言ってるんです。まぁ、適当な話なんですけども。子どもって、親を選択して生まれてくる、という話があるじゃないですか。そういう記憶を持った子どもたちがいて、映画にもなったんですけど。[編集注:「かみさまとのやくそく」「生まれる」]

それをYouTubeで見せて、「いまは忘れてるかもしれないけど、なにか目的を持って、こういうふうな人生を送りたいと思って生まれてきたんだよ。だけど、その記憶はいま消えてるんだよ」と。なにか目的があるはずだからっていうことだけを言ってるんです。「それはお父さんにもわからない。もう忘れてしまっている。でもどこかで気づくはずだ」。このことが、人を前向きに生かしていく。という仕組みにどうもなってるらしい、って思ってるんです。前世があるのか、来世があるのかわかんないですけども、前世があると考えて、しかも生まれてくるときになにか理由があったはずだけど、記憶からは消えてる。けれども「あったはずだ」という始源、アルケーっていうんですけどね、始源を問うっていうことが、すごく重要。

それを考えるときに、アブダクションを使わないといけない。ディダクション(演繹)、インダクション(帰納)ではたどり着けないって、思うんですよね。

……大丈夫ですかね。この話をビジネススクールの学生にすると、ぽかんとされちゃって、この人なに話してるんだろうって感じになっちゃうんですけど(笑)

中村 個人的な見解ですけど、ラカンはやっぱり西洋の思考だなって思いますね。なにか困難に当たったときに、外に原因を求める傾向は強いですよね、哲学者って。外から求められてそれを再定義するのをドライブしますっていうのって、やっぱりなにか超越したものを置くことで苦難を逃してるっていう感じがして。僕はそこに救いはないなと思ってます。

小山 わかります。

中村 私は、レバーを自分に置きたいんです。だから、そういう話よりは、佐々木 閑じゃないですけど、仏教のように、すべての苦しみは自分の思考から出てるんだという思考のほうが……。自分の渇望を叶えられないのが不幸である、苦しみである。だったら渇望を取っちゃえばいい。吹っ飛んでますけど、でもそれって、やれないことないじゃないですか。やれないことないから、東洋的に、しかも矢印を自分に向けまくるっていうのはすごい好きです。

いろんな思想家がいて、おもしろいですよね。

小山 おもしろいです。一方で、ラカンは東洋の思想とはむしろ親和性があるという議論もあります。ラカンは「神」とは言わないですが、超越的ななにか、それこそカント以来ですね、カントが「わかるところまでわからないけど、わからない先は物自体に触れることができないから、語ることもできない」って言って、その「語ることもできないもの」が、ある観点でみれば、神なわけですが、ラカンにも同じような構図があるんです。その触ることのできない絶対的な超越的なものっていうのが、東洋においては「自然」なんです。われわれは「地震が来てそれで死んじゃったらしょうがないな」って、うっすらどこかで思ってる。自然の超越性を信じているところが、実はけっこう似ている。

中村 なるほど。

小山 問題は、いまの話がコンサルにどうつながるか、なんですけど(笑)。でも、クライアントとスキーに一緒に行くと、ある種、死生観ぐらいまで共有してるんだろうな、という感じがね、

中村 知らず知らずのうちに、やっぱりやってるんだと思います、アブダクション。

小山 私はちょっとアブダクションに肩入れしすぎてますけど。でもやっぱりトレーニングしなきゃなって思っていて、トレーニング手法として、インプロビゼーション、即興を取り入れたりして探索してるんです。ビジネススクールで即興劇やらせたりとかしてたりするんですけど、飛躍的推論を発動させる、最近の流行りで言うとアート思考的なものを探索しています。

というところで、三時間になってしまいましたが、みなさん、いかがでしたでしょうか。

中村さん、いかがでしたでしたか。

中村 話してて思考も整理できました。今日の気づきは、やっぱり、コンサルタントって、つき詰めていくとコモディティワークだったり、情報整理、それのアウトプット化は本望ではなくて、だれよりも考える、考え方それ自体に価値がある。それによって相手の意向を汲み取ったり、編集したり、物語を組み立てるっていう、考え方それ自体に価値を見出す。バックトゥベーシックじゃないですけど、だれもがコンサルになっている時代に、テクノロジーが進展することによって、その本質的な価値の重要性を改めて感じた時間になりました。

小山 複雑なものを考えて出てきたアウトプットは、当然、複雑になるっておっしゃってましたよね。複雑なものに触れてない人が世の中にけっこう多いなと思うんですよね。コンサルタントのなかにも、インターネットで集められる情報のみを見て、分析する人もいる。でもこれはChatGPTがやれることです。ChatGPTを超えた、単なる作業にならないようなものにするためには、まず複雑なものに触れなきゃいけない。今日折りに触れラカンの話をしましたけど、すごく複雑なんですよ、書いてあることが。だからそこに触れたいと思うし、そこにヒントがあるように思います。

複雑なものを吸収して複雑なアウトプットが出て、これは中村さんの本意ではないけれども、伝えるときにはわかりやすくメタファーを使うことがあるかもしれない。今日ここで確認し合えたことの根本は、やっぱり複雑なものに触れてないといけないよねっていう、そこの豊かさを感じた時間だと思いました。
今日は本当にありがとうございました。

中村 ありがとうございました。

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中村健太郎

株式会社FIELD MANAGEMENT STRATEGY 代表取締役

大学卒業後、ベンチャーのITコンサルティングファーム、フューチャーに入社。
その後、ドイツを本拠とする外資系戦略コンサルティングファーム、ローランド・ベルガー、アメリカを本拠とするボストン・コンサルティング・グループを経て、2016年にアクセンチュアに参画。
通信・メディア・自動車・鉄道業界をはじめとする多数企業の成長戦略、新規事業戦略策定などを手掛け、技術トレンドにも精通し、ロボティクスや AI を活用した新規事業戦略策定/実行支援にも従事。
2022年9月にフィールドマネージメントに参画し、2023年1月1日よりFIELD MANAGEMENT STRATEGYの代表取締役を務める。

小山龍介(BMIA代表理事)

株式会社ブルームコンセプト 代表取締役
名古屋商科大学ビジネススクール 准教授
京都芸術大学 非常勤講師
ビジネスモデル学会 プリンシパル
一般社団法人Japan Innovation Network フェロー
一般社団法人日本能楽謡隊協会 理事
一般社団法人きりぶえ 監事

1975年福岡県生まれ。AB型。1998年、京都大学文学部哲学科美学美術史卒業。大手広告代理店勤務を経て、サンダーバード国際経営大学院でMBAを取得。卒業後、松竹株式会社新規事業プロデューサーとして歌舞伎をテーマに広告メディア事業、また兼務した松竹芸能株式会社事業開発室長として動画事業を立ち上げた。2010年、株式会社ブルームコンセプトを設立し、現職。
コンセプトクリエイターとして、新規事業、新商品などの企画立案に携わり、さまざまな商品、事業を世に送り出す。メンバーの自発性を引き出しながら商品・事業を生み出す、確度の高いイノベーションプロセスに定評がある。また、ビジネス、哲学、芸術など人間の幅を感じさせる、エネルギーあふれる講演会、自分自身の知性を呼び覚ます開発型体験セミナーは好評を博す。そのテーマは創造的思考法(小山式)、時間管理術、勉強術、整理術と多岐に渡り、大手企業の企業内研修としても継続的に取り入れられている。翻訳を手がけた『ビジネスモデル・ジェネレーション』に基づくビジネスモデル構築ワークショップを実施、ビジネスモデル・キャンバスは多くの企業で新商品、新規事業を考えるためのフレームワークとして採用されている。
2013年より名古屋商科大学ビジネススクール客員教授、2015年より准教授として「ビジネスモデルイノベーション」を教える。さらに2014年には一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会を立ち上げ、4年間代表理事を務め、地域おこしにおけるビジネスモデル思考の普及活動に取り組む。2014年〜2016年沖縄県健康食品産業元気復活支援事業評価会員。2016年より3年間、文化庁嘱託日本遺産プロデューサーとして日本遺産認定地域へのアドバイス業務。2019年〜2021年大分県文化財保存活用大綱策定委員。2020年〜大分県文化財保護審議会委員。2020年〜亀岡市で芸術を使った地域活性化に取り組む一般社団法人きりぶえの立ち上げに携わる。
2018年京都芸術大学大学院 芸術環境研究領域 芸術教育専攻 修了・MFA(芸術学修士)取得。2021年京都芸術大学大学院 芸術研究科 芸術専攻 博士課程 単位取得満期退学。2021年京都芸術大学 非常勤講師。

著書に『IDEA HACKS!』『TIME HACKS!』などのハックシリーズ。訳書に『ビジネスモデル・ジェネレーション』など。著書20冊、累計50万部を超える。最新刊『名古屋商科大学ビジネススクール ケースメソッドMBA実況中継 03 ビジネスモデル 』。

2013年より宝生流シテ方能楽師の佐野登に師事、能を通じて日本文化の真髄に触れる。2015年11月『土蜘』、2020年11月『高砂』を演能。2011年には音楽活動を開始、J-POPを中心にバンドSTARS IN BLOOMで年2回のライブを行う。ギターとボーカルを担当。2018年からフォトグラファーとしても活動を開始。2018、2019年12月グループ展覧会『和中庵を読む』に作品を出展。

写真/編集 片岡峰子(BMIA事務局長)


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