今、カスミ界隈で最もノッている男。
昨年のW.B.S第5戦、同クラシック、2024年の同第1戦、そしてBMCレギュラートーナメント2024第1戦、さらにW.B.S第2戦と、すべて表彰台に立っている今井新。W.B.S.クラシックでは表彰台の頂点、つまり優勝を果たしている。そんな今井新の好調の秘密に迫る……。
スピンナッツの増毛チューン。
今井新の快“新”撃を支えているのが、カスミ水系で話題沸騰の「増毛チューン」だ。このチューニングに着手したのは、優勝を果たしたW.B.S.クラシックを控えたあたり。まさに優勝の立役者となったわけだ。
今井 「きっかけはW.B.S.の最終戦で、スピンナッツをカバーで使おうと思ったところからでした。高比重素材なので、カバーに入っていくんですけど、なんかこう、物足りない。それで思いついたのが、ラバーを刺すチューニングです。一時期、JB TOP50の選手間でも、カバースキャット(deps)にラバーチューンをしていた人がいたという話もヒントになりました」
カバー内でのアピール力を求めて施した今井新流の「増毛チューン」。ラバーがしっかり水をつかみ、カバー内でぬめぬめとした動きを生むという。チューンのキモは「増毛すればするほどいい」とのこと。
今井 「ラバーは太いもの。おすすめはシリコンスカート レギュラーカット デコボコ(ティムコ)です。一度に3本、多方面からに刺すことも重要です」
例えばボディの横から同方向に複数箇所、増毛するだけだと回収時にワームが回転してしまうという。それはラインのヨレにつながり、ひいては貴重なバイトをミスすることにもつながりかねない。しかし今井が実践しているように、いろいろな方向から刺すことで、回収時の回転を防ぐことができるという。
今井 「あと、やたらめったら刺せばいいというものでもありません。フックポイントに近いところは避けるべき。フッキングの妨げになりますから」
この「増毛チューン」が火を吹いたのが、W.B.S. KASUMI-PRO CLASSIC 31だ。
チューンを施したスピンナッツ65(W027ダークシナモン・ブルー&ペッパー)のテール側から0.9gのネイルシンカーをインサート。もともと自重があるため、ネイルシンカーを入れておよそ8gになり、今井が得意とするシャローカバーをテンポよく打っていくことができた。
特にブッシュでは、生い茂る葉の上からダイレクトに打ち込んでもスルスルと入っていき、水温低下で活性が低いバスの目の前にアプローチし、口を使わせることに成功したという。
W.B.S.第1戦とBMC第1戦は不発だったものの、W.B.S.第2戦ではビッグフィッシュ賞獲得の1410gと805gを連発し、3位入賞果たした。これ以外にも昨秋および今年早春のレイカーズでも入賞を果たすなど、今井新いわく「可能性しか感じられないリグ」が原動力なっていたことは紛れもない事実だ。
【Tackle Data】
ロッド:コンバットスティック・ヘラクレスFACT HFAC-70HST
リール:16メタニウムMGL XG
ハンドル:ゴメクサスFH-S20カーボン製ハンドル
ライン:FCスナイパーBMS 16lb
フック:がまかつWORM316 4/0
※メーカー推奨は3/0だが、4/0にすることでフッキング率を向上
それだけじゃない、人知れず努力する姿も。
もちろん、今井新がこれまでに培ってきた経験やスキルも、この好調の後押しとなっていることは言うまでもない。
BMCだけでなく、W.B.S.やJBにも精力的に参戦しているあるプロに言わせると、「今井さんほど見事なキャストを決めるアングラーを見たことがない」と絶賛。そんな緻密なキャストもまた、今井新の強さの秘密のひとつだろう。
加えて、冬季には釣果を求めて釣りに出るのではなく、来るべきシーズンに備えて湖上に立つこともあるという(決して釣れなかったからその言い訳ではなく)。これはシャローをひたすら流し、自分好みのカバーにウェイポイントをひたすら打ち込んでいくという作業のためなのだそう。
今井 「今のところ、まだその成果は出ていませんが、そういった地道な努力も大事ですね」
人生100年時代の折り返し地点を迎えたが、衰えを見せるどころかまだまだ精力的に動き続ける今井新。増毛チューンのスピンナッツ65と、持ち前のセンス、そして努力で、霞ヶ浦のメジャートーナメントをすべて制覇する日は、実はすぐそこに迫っているのかも知れない。
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