葬儀屋って素敵な職業だと思う。
私は10代の内、ただの1回もお葬式に行く機会はありませんでした。
「家族が健康で私はなんて幸せなんだろう」
当時の自分はその幸せにただ浸っているだけの「ゆとり」でした。
歳を重ね、20代になりました。
今年、祖父母2人の葬式を見届けました。
祖父母のお葬式はどちらも同じ会場で、同じ方に担当して頂きました。
お葬式での孫という立ち位置はとても気楽です。お金の都合、お坊さんの手配、来客者の相手は誰か大人がやってくれます。そんな「自由人」から見た葬儀屋さんの魅力について、書こうと思います。
1、仕事がスーパーできる
故人が亡くなり悲しみに暮れる家族。
時間という薬が効かない内に、故人を見送らなくてはならない。そのサポート係が葬儀屋です。
まず、スピード感が大切です。通夜葬儀の時間設定をし、その間に祭壇の準備、納棺、火葬の準備まで整えなくてはなりません。その手配を間違えたら、悲しみに暮れる遺族を更に混乱させてしまうことになりかねません。
また、遺族への印象も大切です。悲しみに暮れる故人を傷つけないよう、正しい言葉掛け、気遣いが重要になります。身嗜みも重要です。礼服を正しく着こなし、髪型も清潔感があるものでないと遺族から不信感を抱かれてしまいます。
また、通夜葬儀は宗教など決まりがとても多いです。正しい方法、手順で見送ってこそ故人が浄土、もしくは天国かもわかりませんが、"あの世"という国に無事行けるのです。
また、体力も必要です。葬儀の依頼は24時間いつどこであるかわかりません。不規則な仕事です。また、棺を運んだり、車の運転も必須です。
葬儀屋は最大のサービス業と巷では言われているそうです。
このように葬儀屋に必要な能力として、
・清潔感
・礼儀
・正確性&スピード
・体力
が必要不可欠だということがわかります。
ここまで書いて、そのハードルの高さに絶望しました。こんなにも沢山の知識、能力をフル活用しなければならないなんて。ちなみに、担当して頂いた方は全て揃っていました。仕事ができる人ってめちゃくちゃカッコよく見えます。私だけではないでしょう。
2、優しい
人の死に触れる回数は誰しもそこまで多くありません。遺族は、故人への悲しみや葬儀という慣れないイベントに対する戸惑いを抱えています。
その一歩後ろに寄り添い、故人への最後のセレモニーを支えるのが葬儀屋だと思いました。
自分の経験を挙げると、父はカメラが趣味なのですが祖父の葬儀でも写真をバシャバシャと撮っていました。(不快に思う人はすみません)
しかし、通夜の後にカメラが故障しました。
割としょっちゅう父はやらかすのですが、「今壊す⁈」とタイミングの悪さに家族一同イライラしていました。
すると、葬儀屋のスタッフの方が「直してみましょうか?」と声を掛けてくださいました。自分のパソコンで色々試してみてくださったようです。
また、翌日の葬儀でタブレットで写真を何百枚も撮ってくださいました。(別のスタッフの方です)
結果としてカメラはカメラ屋さんに直してもらいましたが、仕事以外のことも細やかにサポートしてくださる皆さんに胸がいっぱいになりました。
遺族も、故人本人も満足するお葬式。それが一番なんだと思います。
葬儀屋さんの小さなサポートの積み重ねが、最後の旅立ちを良い思い出にしてくれます。
基本的に皆優しいです。冷静さは必要かもしれませんが。
3、老若男女と喋れるコミュニケーション力
葬儀屋さんは若い私にも積極的に話しかけてくれます。何を棺に入れたいか、焼香のマナーとかお花のこととか。こちらから何を要望するでなく、細かいところもコーディネートしてくれます。
遺族には老若男女います。耳の遠いおばあちゃんから、ギャーギャー騒ぐガキもいます。
そんな老若男女と喋り、皆が皆満足できるお葬式を作り上げるのは並大抵のことではないと思いたのです。
でも、個人的に、そんな【家族像】を見るってのもすごく面白いことなんじゃないかな、と思います。
家族って顔似てんなーとか、この子はおばあちゃん子だったんだなとか。
あと、故人の人生がお葬式には表れます。家族がとても悲しんでいたら、「この人は家族思いだったんだな」とか、参列者が多ければ人望が厚かったのだろうし、祭壇をどうするかなど葬式についての話し合いでも「あの人はこういう人だったから〜」というエピソードが多ければ多いほど、その人が愛されていたことがわかります。
そうした、【人】に寄り添うことができるのが葬儀屋さんの一番の魅力じゃないかとおもうのです。
外部からとやかく言ったので、当事者様からは色々言いたいこともあるかもしれません。しかし、私から見たら葬儀屋さんはこんなに素敵なんだよということを伝えたいです。仕事の選択肢に、葬儀屋さんという選択肢を一つ増やしてみてもいいかもしれません。(現に葬儀屋のバイトがないかググった私です)