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見直した! 地元の粋なアート活動「PARADISE AIR」

  私の地元は東京都と川を隔てたお隣さん。すぐに出られるから、都心で働く人にとってのベッドタウンだ。

 ところが都心に近いことが災いしたか、近年は唯一の百貨店、そして映画館さえ消えてしまった。寂しい町になったなと思っていたけれど、ひょんなことから、アーティスと町を盛り上げる粋な活動が始動していたことを知る。

コンセプトはかつての宿場町から「一宿一芸」

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       レジデントはパチンコ屋さんの上階!

 その活動を行うのはPARADISE AIRという組織。

 この町は、かつて江戸に向かう中継地点の宿場町として栄えてきた。当時は宿の代金代わりに作品を置いていく文人や画人も多くいたとか。そんな歴史的背景もあって、アーティストに宿を提供し活動してもらう「一宿一芸」のコンセプトが生まれたという。

 市中のパチンコ屋さんの上階にあったホテルが、そのままレジデントホテル兼拠点だそう。何回も前を通っていたが、全く気づかなかった。

 なんと活動は2013年からスタートしたとのこと。サイトを拝見すると、海外からをはじめなんと多くのアーティストが利用していたことか! 当然ながら、その数だけワークショップや作品展示、パフォーマンスや演奏会などが実施されてきたわけだ。

*noteも開設していて、活動をいろいろと紹介しているので、ぜひそちらもご覧ください。

今なお見られるアート・・西口公園トイレ

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            西口公園トイレ ZEDZ

 早速今もなお公共で見られるアートを巡ってみた。

 駅からほど近い公園の中にある公衆トイレ。以前の記憶はないが、ごくごくありふれた無地一色の建物だったはず。

 ここにアートを残していったのが、オランダ出身イタリア在住のグラフィティアーティストZEDZさん。当時のメイキング記録がnoteのPARADAISE AIRのアーカイブに残っている。

今なお見られるアート・・カラフルな地下道① 

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 学生時代に通学で使っていた地下道だった。日中も暗くて、部活が終わった後の夜などは一人で通るのは怖かった。何度も振り返りながら足早に通った記憶がある。

 そこに3つの作品があった。

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           松戸探検 Nadine Kolodziey

 西口側から入って最初の作品は、ドイツのアーティストNadine Kolodzieyさんのもの。カラフルな色合いが、地下道へのアプローチを楽しく軽やかにしてくれる。

今なお見られるアート・・・カラフルな地下道②

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      「Touch of Eternity」 Agata Kazantseva

  ここには、もともと2011年の震災からの復活を願った日本人アーティストが、日の丸をモチーフにして描いたアートがある。(気づいていなかったです)

 ロシアのアーティストAgata Kazantsevaさんは友人とその作品の修復とともに、「不死・再生」の象徴と言われる鳳凰を加えて仕上げた。

 修復にあたっては多くの市民も協力したそうだ。

今なお見られるアート・・・カラフルな地下道③

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             Amaia Arrazola

 東口側に抜けるところで見られるのが、スペインのアーティストAmaia Arrazolaさんの作品。東口からだと地下道に入って真っ先に目に飛び込む。

 ユーモラスで子供でも楽しめる作品は、近所にある神社から日本の象徴としてキツネを、隣には自分を、隣には友情の印だろうか、しっかりと肩を組んでいる。両国の結びつきを表現したそうだ。

今なおみられるアート・・陸橋を使った大作

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 西と東をつなぐ車のための陸橋に描かれていた作品がこちら。調べてみたものの作者などが判明できなかった。かなりの交通量で風景としては殺伐としてしまう場所だが、この壁画が彩りを添えてくれている。

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    *両方とも、もし「一芸」作品でなかったらごめんなさい!

アートによる町の活性化にも期待!

 公式HPなどを拝見すると、PARADISE AIRの活動には行政も全面的に協力している。それはそうだ、勝手に公共トイレや地下道を塗り替えることなどできない。

 またアートの制作にあたっては、多くの市民が手弁当で参加したりしている。そして、パフォーマンスやイベントには市民が真っ先に観客として招待されているのだ。このようにアーティスト育成だけでなく、町ぐるみの活動として発展していた。

 地方再生として、地方丸ごとを会場にするような芸術祭が盛んに行われている。私も大好きでよく参加しては地元の文化とアートを堪能しているが、観光客を呼び込むツーリズムも加わって、年々その規模を拡大しているように見える。

 一方、観光地と言うほどの突出したものがない地元。もちろん地元再生だけが目的ではないが、ひとつの形だと感じた。

 ここでのアート活動は地元に密着し、まずは市民を取り込んでいるスタイルだ。滞在アーティストは宿であったこの地に、少なからず愛着も持ってもらえるだろう。出身者として何とも嬉しい限りだ。

 今はコロナ禍で海外からのアーティスト招聘や人を集めることが厳しい時期。慎重にならざるを得ないが、それでも国内アーティストの援助と地元の活性化、そして豊かな文化育成のために頑張ってほしい。

 欲を言わせてもらえば、もっと多くの公共の場でアートが増えると、実家に帰ってくる楽しみがプラスされるんだけどな・・・。

 今後の活動を心から期待して応援している。

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PARADISE AIR  https://www.paradiseair.info/



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