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Pacific tour 郡山hipshot

with FOMARE

当日券を手にして、ライブハウスに立ち寄るというなんとも懐かしい流れで吸い込まれた郡山hipshot。大好きなKUZIRAが福島で初めてライブするなんて言うから、来月の支払いとか、貯金残高とか、翌日会社での打ち合わせとかそういう負の面を抜きにして心で考えたら、出ている当日券に自然と手が伸びました。結果から言えば、最高すぎたし後悔なしです。
いつだって正解も事件も前進も衝動も全ては現場で、俺たちのライブハウスで起きるんだってことを強く思い出せてくれるそんなライブでした。

寒空が広がったこの時期にピッタリな"stay with me"から始まったFOMAREのライブ。前に彼らのライブを観たのは武道館でのライブだった。前に観た時より歌詞というかライブがグッと来たのはライブハウスのバンドの本領と言えるだろうか。

「コロナ禍になって、ミドルテンポとかバラードとかいろいろ挑戦してみたけど、やっぱり僕らの中にあるのは早い曲なんです!新曲やります!」

と言って披露した"優しさでありますように"ではキャッチーなメロディとアップテンポな曲が会場の熱気をさらに後押しするように熱くさせて、伸び伸びと演奏する姿がとてもかっこよかった。

MCでは、
「隣にある古着屋さんでみんなで買い物言ったら、カマタの顔ファンが居て笑」
「今日の衣装にするんで、オススメのシャツくださいって言ったら、なんでも似合いますよ!って言われて買ったんだけど、このシャツヤバいよ笑」

と和気あいあいと話し、和ませる。寒空の広がる秋の夜に思いを馳せるよう披露した"夕暮れ"、そして"秋の夜"でぐっと場を引き締めると、"愛する人"や"タバコ"といったバラードで空気を変えていく、沁みていく。
アマダが、
「2日間本当に本当に楽しかった、まだまだずっとKUZIRAとツアー回っていたいなあ!」
と思いを馳せ、披露したのは"Lani"だった。彼らの代表曲はKUZIRAを観に来たみんなの心をひとつにし、拳を高く挙げさせた。

「KUZIRAへ愛を込めて、In The Deep」

と高らかに発して始めた最後の曲はKUZIRAのカバーで、フロア中が飛び跳ねて空気を熱々にして帰っていった。カマタが熊野のパートを歌うと英詞は諦めて、ふんふーんと鼻歌で歌うのが面白かったし、それでもクオリティは高めで上がった。

続くは大本命KUZIRA。初めて福島でライブするという彼らには1本前の酒田でのライブからいい流れができているようで、気合いバッチリといったところだ。

7月に発売したアルバムPacificを引っさげて回っているこのツアー。鳴らす1曲目は、アルバムと同じく"Control"であった。
力強い演奏と、末武の伸びのあるハイトーンが響くとフロアを一瞬で熱狂させた。

「俺らもやるしか無いっしょ!!In The Deep」

と言って始めた2曲目は"In The Deep"
さすがは本家と言ったところか、全員が一瞬で飛び跳ねて会場を大きく揺らす。自分の身体が弾むと自然と心も弾んでいた。

「しんぽんには直ぐ裏声使うなって言ったけど、すぐ裏声使いやがった笑」

と末武がカバーした時の愚痴をこぼすと、すかさず熊野が

「いや、みんながお前みたいじゃないから笑 裏声使うのが普通だからね?笑」

とすかさずツッコミ和気あいあいとした空気が広がる。

"Throw Your Cell Away"や"Everywhere You Look"といった曲達で拳を突き上げたりやシンガロングなどを起こし、心をひとつにして行く。そんなライブってすごく久しぶりだったからとても懐かしくて、感動した。
続いて披露したのは"Clown"で、KUZIRAらしさ満載のアップダウンの激しいスカパンク調の曲だ。フロアが全員一斉にスカダンスし出すのは、FOMAREを見に来たお客さんからしたら異様だろうけど、めちゃくちゃ一体感とグルーブ感があって最高だった。大好きな曲で思いっきりスカダンスして、拳を挙げて気持ちよかった。

曲間で末武とが、

「福島のみんなは自分達のペースで、こういうライブハウスだったり自分達の場所を守ってていいと思うし、偉いと思う。俺たちの最近のライブは関東の方とかだと特にグシャッとなっちゃったりすることも多くて、少しずつ前の景色が戻ってきてるんだ。福島のみんなは福島のペースでいいから、少しずつ俺たちの方へ来て欲しい。」

と寄り添う形でリードする姿勢を見せて、ライブハウスの自由を取り返しに来たぞって様子が伺えた。

「さっき(ライブハウスの)店長さんに、俺らのライブでちょっとグシャッってなっちゃっても大丈夫ですか?って聞いたら福島の人は大人しいからねえ。って言われたんだけど、そんな事ないよね??」

そう言うと重いベースの音とともに「The bed that smell like you〜」と歌い始め、会場のボルテージをブチ上げる"Muggy"を披露。MCからの流れもあり、会場は懐かしい姿を取り返していた。観ていて、体感してとても気持ちよかった。

少しの間に熊野が、

「FOMAREのオレンジのロンT着てるお姉ちゃんたち、大丈夫??急だと驚くよね、ごめんね、ササッと避けてくれてありがとね!最後まで好きなように楽しんでって!!」

と声をかけ気遣うと、FOMAREのTシャツを着た女子たちも✊✊とアクションを起こし、和やかさも残っていた。こういうバンドとお客さんとの思い合いとか、お客さん同士での助け合いとか見なくなっていたけど、忘れちゃいけない心構えだし久しぶりに思い出すことが出来てとても良かったと思う。

軽快に曲が進んで行き、彼らの代表曲でもある"Snatch Away"なども披露された。この曲でKUZIRAと出会った身としてはやはり何度聴いてもグッとくるものがあった。手を挙げて、振って身体を自由にくねらせて楽しんだけど、それ以上に久しぶりに生で聴くこの曲にえらく感動した。1番心が自由な瞬間だったと思う。

「俺とかしんぽんとか、曲を作る人って変な人が多いと思うんだよ。変じゃなきゃ曲なんて書けないしね。心に強い思いがあるから曲を作れるんだけど、逆に心になにか足りない時もあったりして、そういうよく分からない感情を埋めたいという意味を込めて作った曲です。」

と言って演奏したのは"Blank Space"。自分は曲を作ったことも、これから作る予定も無いが、人より心の奥に強いなにかを持っているような気はしているので、この曲が持つパワーやメッセージを耳から全身に受け入れることが出来た。とても沁みた1曲だった。

その後もライブは続いていく。なかでも途中で披露された"The  Weak"がとても良かった。前回KUZIRAを観たのはハジマザツアーで仙台に来た時だった。主催でかつ彼ら(KUZIRA)の曲作りのきっかけでもあるHEY-SMITHに想いをぶちまけたあとでのこの曲の感動は今でも忘れられない程とても強くて、今回はHEY-SMITHはいないけど、その情景が蘇ったように涙が溢れた。素敵な歌だ。

「亡くなった叔父に向けて書いた」

と話して演奏した"Sad(Regrets)"や秋の訪れを強く感じさせる"A Sign of Autumn"など様々な曲を織り交ぜながら構成していくライブ。曲が色んな系統を持つからずっと違った楽しみ方ができて、心から楽しかった。

どのタイミングで言っていたか忘れてしまったけど、熊野が言っていた、

「俺らのライブだとモッシュダイブ出来るって理由で遊びに来るダサい奴。いや、そういうのもなんか若くていいなって思うけど、まあそういう奴もいるのね。ただ、ダイブしに来たってだけじゃなくて、心からライブを楽しんで欲しい。モッシュダイブだけがライブを楽しむ方法ではないって事を酒田で強く感じたし、そういう楽しみ方ができるって知ったから、尚更もっと楽しませたいし、好きなように自由に楽しんで欲しい。」

という言葉が優しさで溢れていて、ライブハウスって昔から支え合って、理解し合って遊ぶ場所だったよなあとしみじみ思い出した。個人的にモッシュダイブは自然発生してしまうから賛成派なんだけど、それだけが正義じゃなくて、色んな楽しみ方を理解して助けあって楽しみたいなあと強く思った。

ライブもいよいよ終盤にさしかかり、末武が
「この福島の地でこんないいライブハウスが、俺たちのルーツになっている80年代、90年代のアメリカンな雰囲気を持ったライブハウスがあるって知らなった。今日ここでライブできて良かった、楽しかったです!福島最高でした!」

と話して、嬉しくなっているとあっという間に始まった"Spin"。これは大好物なので、ラストにはぶち上がってしまった。

久しぶりに全力で楽しむライブでヘトヘトな全身に、大海原のように優しく包み込んで、KUZIRAの愛が波のように押し寄せてはこちらから返してを繰り返した、"Pacific"が頭の先からつま先の先まで全身に沁みていくのがわかった。温かくて優しい音色に歌声に懐かしく穏やかなフロアだったな。

彼らが去って行くと同時に、拍手が鳴り響いてアンコールへと変わっていく。次第に強くなる拍手に釣られるように戻ってきた彼らはアンコールの1曲目なにをするのか楽しみで仕方なかったが、素晴らしい答えを出してくれた。

「さっき店長さんに、ここでやり返さないと負けちゃうよ?と煽られちゃったんで、やります!!やられっぱなしで終わらせない!!」

と言って、FOMAREの"Lani"をカバー。末武が日本語の歌詞を歌うのもかなりフィット感があって好きだったし、フロアも、カバーにカバーで返すというアンサーにニコニコだったし、何よりステージ上で演奏するKUZIRAも、飛び出してきたFOMAREも終始笑顔で、とても楽しそうに演奏しているのがとても良かった。演者が楽しそうだと、こっちまで楽しくなるから凄く楽しめた。

"Lani"を1番まで即興でカバーすると、

「キンプレライブ以来かな?笑」

と談笑。シャーDに関しては、FOMARE好きすぎて2日でカバーできた。とインスタに書き綴っていたので、人前でのカバー自体は初なのかもしれない。めちゃくちゃ出来が良かったのが流石だ。

「福島を前に進めに来た!!」
と言って最終局面で披露したのは"Blue"からの"Muggy"というショートチューンで圧倒的な火力の2曲。最後までフロアを沸かし続け、誰よりも自由に伸び伸びと攻め続け、俺たちの遊び場を元に戻すより良くしようとする彼らがどこまでも勇ましくて優しかった。

懐かしさと大きな愛がFOMAREからもKUZIRAからもフロアで観ている我々からも感じられる、優しくてとても楽しいライブだった。

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