僕らが小さな理想郷をつくる理由
【今回の内容】
▶︎ 東日本大震災によって始まった意識変容
▶︎ 命が蔑ろにされる社会に対する不安と不信感
▶︎ 「何も変えられない」無力感を募らせていた
▶︎ 外側の世界に理想を求めて旅していたけど
▶︎ 自然と繋がる暮らしの安心感を知る
▶︎ 変えようとするのではなく「自分で作る」
▶︎ コロナによって人は「どう生きるか」を問われている
▶︎ 不安や恐怖ではなく、心のワクワクを行動の起点に
▶︎ 今こそ、”じぶんなりの” 理想郷をつくろう
▶︎ 無数の小さな理想郷が生まれていく未来
▶︎ おまけの即興ソング
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--- podcast 配信したものをざっくり文字起こし+写真を追加したものです---
ご:こんにちは、宇野豪佑です。
か:加奈です。
ご:さぁ、今日は僕らがそもそもなぜ「小さな理想郷」を創ろうと思っているのか?というお話をしたいと思います。
か:そうですね。
ご:この話をするために、何が一番僕らに影響を与えているかなと考えたのですが、それはやっぱり東日本大震災だと思うんですよね。
か:うん、そうだと思う。
ご:僕は22歳なので、加奈は20歳のときだよね。僕は当時、留学先のシンガポールにいて、映像で流れてくる津波と被災地の様子をただただ呆然と眺めることしかできなかったんだよね。何が起こってるんだろうと。
か:実は私もちょうどオーストラリアに短期留学に来ていてニュースで知ったんだよね。ネットでみる映像がまるで映画みたいで信じられない気持ちだったし、家族や友人がすごく心配だった。
ご:被災された方にとってはすごく辛い出来事だったと思うし、僕らには想像もできない苦しみもあったと思う。でも僕らのように直接的な影響がなかった人にとっても、それは大きな意識変容が起こるような出来事だったなと思っていて。
3.11をきっかけに、僕は自分が生きる社会に対して不信感を持つようになり、安心できなくなったんだよね。
震災後の政治や経済の動きをニュースで見ていると、いのちが経済合理性の秤にかけられて蔑ろにされるような痛みを日常的に感じるようになってさ。
か:本当にそう。海外にいると、日本からの情報だけじゃなく、現地メディアや人々のリアクションに直にふれて、その情報のギャップに何が本当なのか、何を信じたら良いのかわからなくて混乱した。それから、情報を鵜呑みにすることの危うさをすごく感じて、自分でしらべるようになった。
ご:溢れかえった情報の中には、嘘や不誠実な言動が蔓延り何が真実かわからなくなっていたし、「なぜこんなことが許されるのだろう?」と思うことも沢山あったんだよね。
か:調べれば調べるほど、いろんなごまかしや不誠実がみえてきて、一時期は絶望してしまっていた。
ご:何よりもそんな社会の中で生きる僕自身は、圧倒的に無力で「何ひとつ変えることができない」というひとつの事実が、より一層、暗澹たる気持ちにさせたんですよね。「あぁ、おれには力がない」とすごく思ったし、そういう自分が嫌だった。
か:そうそう。このままじゃだめだと思っても自分にできることなんて分からなくて、せめて家族や友人に選挙に行こう!って誘ったりするくらい。あとは、このあと大学という守られた環境を出て、この社会で、世界で、どう生きていくのかを真剣に考えた。
ご:大学を卒業間近に控えた僕は、これから社会に出ていくことがまるで泥沼の中に足を踏み入れて行くような気持ちになってさ、あえて就職はせずに学習塾の経営を始め、僕の救いだった音楽の活動をしながら二足のわらじで、じぶんなりの世界との関わり方を探し始めてた。かなとはちょうどその頃に会ったんだよね。
か:そう。そんな話や気持ちを共有できる友人もいなくて、一人で悶々としていたときに、facebookでうーちゃんが同じような問題意識で記事をシェアしていたり、気持ちを投稿していて、「話したい!」と思って、メッセージを送ったんだよね。
ご:このぐらいの時期から、加奈ともいろんな話をする中で、一緒に理想の暮らしを探してたよね。とにかくその「不安」と「無力感」を克服したくて色々なことに手を出したし、理想を探しに海外にも何度か行きました。
か:そう。絶望してても始まらないし、じゃあ自分たちはどんな社会で生きていきたいのか、どういう暮らしをつくりたいのか、そのために何が出来るのかをとにかく探していた。そのために、色んな国にいって、見て人と会って、ということを洞爺湖に移住するまでは結構ずっとやっていたよね。
ご:そのときどきを楽しんではきたんだけど、なかなか自分の軸が定まらないし、本当に何がしたいのかはわからないという状態が続いてたな。
か:無力さはすごく感じていた。でも、この社会の歯車の一つとしてシステムに依存して生きていくことの脆弱さを知ることができてよかった。人生の大事な選択の時期に本当の意味で地に足をつけた生き方。つまり、何かあれば一気にくずれてしまう可能性があるシステムではなく、相当のことがなければ変わることのない「自然」と共存した生き方を選ぶ重要性を感じ始めることができていたよね。
ご:そんな風に旅を続けていたある日、沖縄のやんばるの森で開かれたとある合宿に参加し、自然の恵みを頂きながら暮らしている家族と出会ったんだよね。
か:そうそう、パーマカルチャーという自然の循環を暮らしの中にデザインする手法やその哲学について学びにいったんだよね。
ご:まだ小さい子どもたちが大地と繋がり元気よく生きる姿を見て、僕はじぶんの中に抱えていた社会に対する不安感が和らいでいくのを感じて。
か:元気だったよね、植物のことにもすごい詳しくて。
ご:うん。あと合宿には沖縄の基地によって生まれてる分断の問題に取り組んでる 若い子たちがいてね。ワカゲノイタリ村っていう村をつくって、基地に反対する人も、基地で働いている人や米軍の人も集まれるような場所をつくってて。沖縄の基地問題というすごくヘビーなテーマを扱ってるのに、彼らがめちゃくちゃ楽しい奴らでね。歌ったり踊ったり、全然暗くなかった。
そしてそのときの出会いをきっかけに「変えられないなら、作ればいい」と強く思ったんだよね。そしてこんな風にワクワクする心を起点にしたら、きっと波及していくと思ったんだよね。
か:うんうん、そうなの。不安や恐怖からはじまる変革ってきっと続かないし、疲弊してしまうけど、「楽しい」や「幸せ」からはじまる変革は波及していくなあと確信できた出会いや体験だった。
ご:実は随分前からBlue Village という言葉は、じぶんの空想の中で温めていたんだよね。人が自然とつながりながら、火を囲んで対話したり、ありのままに自己表現している場所があればいいなと思って、そういう歌を創ったりしてた。
僕は社会を理想の形に変えようとして「何もできない」無力感を感じてきたけど、小さくてもいいから、じぶんなりの理想郷をつくることならできるかもしれない。
ぼんやり想像としてたものが、沖縄での体験によって「やってみよう」という気持ちにさせてくれた。
まるでいくら押しても開かなかった扉が、引いてみたらすんなりと開いたような感覚だった。そんな風にじぶんの内側から力が湧いてくるのを感じたんだよね。
か:うんうん、なるほどね。まさにそんな感じだったね。
ご:そしてそこから僕たちはこの土地と出会い、水だけが湧いていた何もないその土地をBue Villageと名付け、小屋を建て、その場を開いていくプロセスが始まっていくんだよね。
ご:僕らもまだまだ道半ばなんだけど、このタイミングでこうしてポッドキャストを使って分かち合いたいと思ったのでは、今こそ、みんなが小さくてもいいから、じぶんなりの理想郷を作り始めるときが来ているのではないかと思ったからなんだよね。
ご:2020年はコロナウイルスの年だったよね。東日本大震災以上は日本の中でも東日本に限定的だった。だけど、今回の出来事は日本中、いや世界中で同時に起こってる。
今は世界中の人たちがうっすらと、あるいはかなり強烈に死の恐怖を感じたのではないかなと思っていて。それってつまり「どう生きるか」を問われている時代だとも言えると思うんだよね。
ご:人との距離を取らなければならないようになったけど、そのぶん、自分の人生について内省したり、本当に一緒に過ごしたい人と過ごす時間が増えたし。
一旦立ち止まりゆっくりとふと冷静になると、既存の社会システムや日々の経済活動の在り方に限界を感じている人も多くなっているんじゃないかなと思う。
か:うん。そう思う。でも、そう感じていても、自分にできることはないし、とか生きていくだけて一杯一杯で、何かを変える余力はないしとか、悶々としている人も多いと思う。
ご:そんなときネガティブな感情を起点に「何かを変えよう」とするとどうしても無力感を感じたり、あるいは抵抗があったりすると思うんだけど、
「じぶんなりの理想郷を作る」という発想は心がワクワクして、すっと力が湧いてくるような気がするんだよね。
か:じぶんなりの理想郷って、「じぶんなりの」だから、それは自然の中でしかできないことでもないし、東京でもどこでも作ることが出来る。私たちはこういう場所だったけどね。あなたが一番在りたい自分であれる環境が「じぶんなりの理想郷」だよね。
ご:じぶんなりのって言ってるけど、「理想郷」はひとりで作ることはできない。僕らもそうだけど、同じ意識を共有する仲間が集い、形になっていくものだと思う。
そうしてできた理想郷はあなただけのものでもなく、他の誰かにとっての理想郷にもなると思うんだよね。
このことに気づいている人は結構多いと思うし、いま日本だけではなく世界中で、少しずつ「小さな理想郷」が生まれ始めているんじゃないかな。
いつか世界中がそんな「小さな理想郷」で埋め尽くされれば、今よりもずっとこの世界は良くなっていると思うし、そういう未来が近づいているように思う。
僕らもここで小さな理想郷を作りながら、そういうムーブメントの後押しをしていけたらなと思うよね。
▶︎ おまけのうた
僕はずっとずっと世界を睨んでは
なんでこんなことになってんだと
文句ばっかり言っていたと思うし
悔しさも感じていた
「変えたい」と思っても僕なんかには
たいした力があるわけではなく
何にもできない自分の不甲斐なさを
恨めしく思っていた
でもあるとき君と出会ったことで
少し考えが変わったんだ
もしも世界を変えられないなら
新しい何かを作ればいいんじゃない?
それがどんな小さなもんでも
僕にとっても 君にとっての
理想郷をつくろう
そんな馬鹿げた思いつき一つで
僕の心は楽になった
【番組のご紹介】結婚5年目のゴースケとカナは都会から湖畔の森に移住しました。この番組では、ふたりがBlue Village という小さな理想郷をつくろうと日々試行錯誤しながら学んだこと、体験したこと、気づいたことなどをシェアしていきます。