[第14回] 0と1
感傷ベクトルでたぶん唯一のラブソング。ラブソングだけど「好き」とか「恋」とか使っていません。それがいいのさ。
「ねえ教えて あなたに渦巻く 醜い気持ちを 抱えた歪みを 残らずわたしに教えて」
この歌詞、最っ高に囁一さんらしくて好きです。好きな人の好きなところを知りたいのではなく、その逆の嫌いなところや醜いところを知ること。
最近誰かに恋をしたことがないのであまり知ったようなことは言えないのですが、好きな人ができた場合、その人の嫌いなところを知って、それを好きにならなければその人を好きにはなったといえないのだと思います。好きな人の好きなことはきっとほかの誰かでも共有は出来る。でも嫌いなところはほかの人では共有できないかもしれない。だからこそそこを知らないといけない。…これってもはや「好き」というより「愛」ですかね…?何言ってるんだろうこいつは。
やっぱり恋話は苦手ですね。最近もう「好き」とは何かとかずっと考えているんですよ。まあ百聞は一見にしかずなのかもしれないですけど。このまま一人で生きていくのかなーって思ったりしています。
いやこの話はどうでもいいんだ。漫画の話をしましょう。物語はミナとサエの話。この話はシアロアの中で一番好きです。特に電車での「有名になるってどういうこと?」というミナの問いに対してのサエの答えが。
「んなもん 俺だってわからないけどさ…」
「世の中にこれだけ人がいて もちろん俺なんかには興味がないやつばっかりで…」
「それでも この中に」
「同じ価値観を持つ人がいるって事実があれば」
「少し…息がしやすくなる気がする」
息がしやすくなる、この言葉をきいてハッとしました。こういう言い方があるのか。自分の探し求めていた言葉はこれなんだ、と。カースト順位が決められている場所、職場とか、こういう場所は息がしづらいなあと思いました。逆に息のしやすい場所というのは自分の声が通る場所だと。声を発する、まさに息がしやすいですね。
自分がよくわからない症状で苦しんでいるときに病名を知り少し安心する、そのような感覚でした。
息がしやすくなる場所を増やす、それが僕が生きていくにあたって必要なことだと思っています。
ちなみに僕が好きな息がしやすい場所の一つはライブ会場です。おしまい。
次回は「過ぎ去った季節について」です。