漢字クイズと「ファイブツアーズ」への固執を考える
未だに「奇跡体験アンビリバボー」が水曜日にやってると「えっ!?」って一瞬思ってから「あ、枠移動したんだった」と思う。アンビリバボーも土曜→木曜と移動して水曜と意外と2度引っ越ししてる。
そんな中、ネプリーグは深夜時代こそ水曜日だったが2005年に月曜ゴールデンに上がってから月曜19時の座をずっと守り続けている。2023年に番組20周年をクリアし、来年にはゴールデン進出20周年が待っている。
当初は「ファイブリーグ」「ファイブツアーズ」「ファイブボンバー」「トロッコアドベンチャー」だけだったクイズも様々なバリエーションと様々な問題で色んな「常識力」を問い続けている。
だが、そんなネプリーグの意見の中で自分がちょっと頭を抱えているというか「そういう意見が多いのか…」と思っていることがある。
「ファイブツアーズは毎週やるべきである」
そしてそこから分かった「難読漢字界隈」の話と「漢字クイズ」についての歴史も交えつつ、自分なりの「クイズ」の意見を語らせていただきたい。
漢字クイズの歴史を考える
所謂漢字の読み書きを問われる問題の歴史はそこまで古くないのではないだろうか。
読み上げ早押しクイズが基本だった昭和のクイズでは当然出題できないし、平成に入ってからもまだまだ少なかったはず。
本格的に1コーナーとして成立したのがネプリーグの「ファイブツアーズ」。
それと前後して「漢字検定を取ると入試が有利になる」というところから漢検がブームとなり、「熱血!平成教育学院」の漢検テスト&海外留学チャレンジ、「タモリのジャポニカロゴス」「クイズ!日本語王」「三宅式こくごドリル」など所謂「日本語(クイズ番組)ブーム」が起こった。
当方も中学の時は「内申点ボーナス入るから漢検取れ」と半ば無理やりに取らされていた。それでも落ちた事はなく一応準2級までは取れたと思う。証書はどっかへいってしまったけれども。(ちなみにヘッダーの2級のテキストは母が間違えて買ってきたやつ)。
その後、日本語ブームが落ち着いたり漢字検定協会の不祥事などがあった中で唯一生き残ったと言えるのがファイブツアーズとなり、それが今度が「林修先生監修」になって今までよりも一段とレベルがアップ。そして「東大王」の「難問オセロ」が登場。こちらも当初は割と完走可能で「知識5割:オセロの戦略5割」みたいなバランスだったのだが、斎藤孝先生監修になると一気に難易度が跳ね上がり、最早完走どころか角の漢字に到達することすらできないという難易度まで上がった。
現在はどちらも監修を外れたり違う形式になったりしてある程度難易度は下がったものの、それでも未だに最終問題は「最強期の8割ぐらいの力」で襲い掛かって来る。
クイズを出題する側にとって「漢字クイズ」はかなりコスパがいいのではなかろうか。1度に20~30問出したとて、ある程度辞典など出典があれば裏取りが簡単だし、熟語なんぞ無限にある。難易度調整さえミスらなければほぼ無限に出題できる魔法の鉱脈でもある。
「漢字力」だけが「常識力」ではない
そういった「漢字クイズ」を見てきて、様々な難読漢字について勉強したり、江戸時代の辞典などから漢字表記を探し出して勉強していくのは全然悪くないし、そのあたりの知識は自分は全然勝てない。家に帰って母大王と「難問オセロ&晩御飯シャトルラン」をしながらやっててもやっぱり角の漢字は読めない。素直にそれは凄い。
一方、ここ最近では「ファイブツアーズ」の放送は不定期となっており、J-POPやトレンドに関する問題、英語力が問われる「トラベルイングリッシュ」なども多い。
そのような構成に対し「日本人としてファイブツアーズは常にやるべき」という意見を目にしたことがある。
果たしてそれはそうなのか?
確かに日本人として「少なくとも一般社会で生きていく上の常識レベルの漢字」が読めるようになっておくのは大事だし、書けるようになっておくのも必要ではある。
だが、やはり「社会全体で必要な知識」「生きていく上で必要な知識」というものは「漢字が読める・書ける」だけではないと思う。
先日身内でやった「スーパーイントロ鬼レンチャン」でも曲の知識もさることながら普通に「英語のタイトルが言えない」ということもあった。そういった意味ではやはり多少なりとも「英語力」は必要だし、自分は最新のアニメ・漫画・キャラクターを扱う最前線の仕事をしている以上、作品のことを深くは知らなくても「これはこういう作品なんだな」「こういうキャラクターなんだな」ぐらいのギリギリうっすい知識でもなんとかやっていけてる(どころか「詳しい」扱いされる)ので、やはり「トレンド認識力」というのも現代社会における「常識力」の一つではなかろうか。
そして「クイズが強い」という「全体的な言葉」で語る際にはやはり「漢字に強い」だけではない。様々な知識を持って初めて「クイズが強い」と言える。
Qさまの漢字王であるやくみつるさんも、難問オセロの「漢字の守護神」である富永美樹さんも漢字も強いが他の雑学の知識も豊富だからこそ「クイズに強い」と言える人である。
「クイズ99人の壁」で「超難読漢字」で100万円を手にしたコンさんも元のジャンルは「キツネ」である。より多角化した知識がないと「賢い」とはならない。
再度言うがめちゃくちゃ難しい漢字を知っていることは凄い事だと思う。でも「漢字が全て」では絶対ないはずである。
ファイブツアーズに惹かれ「すぎ」てはないか?
もう1つ、ファイブツアーズに皆惹かれすぎていることの要因としてはやっぱり「RPGのようなステージ構成」にある。
シンプルな構成の「ファイブリーグ」、「ファイブボンバー」に対して、冒険心をくすぐられる「ファイブツアーズ」。
あれはとにかく皆惹かれる。何故か惹かれる。自分もそうだからそれは否定できない。
ここ最近の「漢字でGO」も同様の形を取っている通り、やっぱりあの「ネプみ」にはみんな勝てない。
実はあの方式はありそうでなかった究極の発明なのかもしれない。
だから「見たい」のは分かる。でも「好きな物」のために「他を否定する」というのは絶対にやってはいけないことだ。
そして悲しい事に難読漢字界隈ではそれをやってしまっている人を度々見てしまうからまたつらい。
勿論ほとんどの人はまともに研究してるので全員が全員そうではないというのは釘をさしておく。
自分も長年の逃走中研究と引き換えに人間性を犠牲にしてきたというのもあるので、やはり「何かしらを極めると人間性を失う」というのはあるのかなぁと思ってしまう。
極め方と道の違い
彼らは自分とは違う「知識の道」の行き方をした人だし、その道の行き方自体は間違ってないので余程のことが無い限り止めることはないし、止める権限も筋合いもない。
ただやっぱ何かそういった「青切符切るレベルの違和感」には気づいてしまう。「もうちょっと視野広げたらもっと楽しくなると思うんだけれどなぁ」って思ってしまう嫌な老婆心である。
一つの分野に極限まで精通することももちろん大事だが、様々な知識に触れることがさらに色んな世界を見させてくれる「知識のリンク」を自分は楽しんでみたいと思う。
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