vol.33 座間の「まちのこども」を育むエリアビジョンのストーリー を、編む
大人になっても「このまちに育てられたこども」になれるまち
幼いときに住んでいたまちを思い出してみましょう。
世界とのつながりや楽しさ、美しさにはじめて触れ、自分の根幹や価値観が育まれたまちのことは、
つい最近住んでいたまちよりも、鮮明に心に残っていませんか?
いつも優しくしてくれた近所の人、
友だちと集まっておしゃべりした公園、
夕焼けがきれいな自分だけの秘密基地、
お気に入りのおやつが買えるお店等々。
○○生まれ、○○育ち、というように
そのまちならではの風土や暮らす人々との交流が、自分を形づくる物語の一部になる。
「自分は○○のまちに育てられたこども」と言える場所があると思います。
しかし、その経験は幼少期にしか得られないものなのでしょうか。
人とのつながりがあり、暮らしの楽しさがあり、人生の美しさに触れたまちならば、
大人になってからでも、自分はこのまちに育てられた「まちのこども」であると言えるのではないでしょうか。
Vol.33-34のテーマは、
「編む、ブルースタジオ」でこれまでも登場してきた「エリアビジョン」の、連鎖の物語です。
まちを「見立て」そのまちならではの魅力を伝え、
当事者を増やす「チーム」をつくる、エリアビジョン。
エリアビジョンを策定した先でつながり広がった物語が、
まちで暮らす人を形づくる物語の一部になる。
ブルースタジオが手がけたPJ「ホシノタニ団地」「ざまにわ」、そして座間のまちを通じてエリアビジョンの連鎖の物語を2号に渡ってお届けします。
人と人、人とまちがつながる、こどもたちの駅前ひろば
座間駅から徒歩1分、駅のホームからも見える場所に「ホシノタニ団地」はあります。
幅広い世代の方々が集まる駅前であり、車が乗り入れることのない団地だからこそ、
子どもも、お年寄りも、
昔から住んでいる人も、新しく住み始めた人も、
暮らす人々が主役となり、安心して過ごせる場所になるように
エリアビジョン「こどもたちの駅前ひろばがあるまち座間」を策定しました。
星が美しい集落の歴史を名前にのこす「星谷寺」、
星がつながり、星座としてかがやくように、
人がつながり、まちがかがやくようにという未来の物語を、
その名前にも込めています。
ホシノタニ団地の1階・広場には、住民も地域で暮らす人々も利用できる場所を設けました。
安心して遊べる場所、集まれる場所、交流できる場所があることで
人とまちがつながり、座間のまちが自分を形づくる物語の一部になる。
座間の「まちのこども」をホシノタニ団地は育んでいます。
駅前ひろばを広げる「にわ」
ホシノタニ団地のオープンから8年。
座間駅前商業施設・小田急マルシェ座間とロータリーがあった東口駅前が「ざまにわ」へと生まれ変わりました。
エリアビジョンはホシノタニ団地から続く「こどもたちの駅前ひろばのあるまち座間」。
駐輪場やタクシー乗り場といった「交通のための場所」から、
芝生広場やベンチ・縁台などのある「人のための居場所」へと変わりました。
ざまにわの植物はナチュラリスティックガーデンの考え方で育てられています。
いつの間にか植え替えられている華やかな一年草ではなく、
成長や枯れていく姿など、四季の変化も楽しめることが特徴です。
植物の管理を通じて、自分の「にわ」として参加することもできます。
ざまにわのオープンから約2年。
ざまにわの隣でお店を営み、その変化を見届けてきた方々にとっても、
保育園のさんぽコースや移動図書館の巡回ポイントなど、日常の人の流れの変化を感じているそうです。
また、小田急マルシェ座間にはコワーキングスペースとしても使える地域交流の場「ざまのま」もオープン。
ざまにわ・ざまのま共に、事前申請をすればイベント・催し物会場として使うことができます。
「まちのこども」にとっての暮らしのエクステンションになる「にわ」。
「駅前ひろば」はその本来の目的である、暮らす人々が主役となって、広がり、愛される居場所となっています。
under the same constellation
現在ホシノタニ団地に暮らす人の多くは、東京・横浜など座間周辺以外からの移住者です。
座間駅は都心から約1時間弱の急行通過駅ですが、「近くて便利」では得られない魅力が、エリアビジョンによって育まれています。
ホシノタニ団地、ざまにわ。
二つの場所から座間駅前へ、そしてエリア全体へとエリアビジョンが連鎖していきます。
最近では“過ごせる場所”を増やすため、さらに周辺にベンチを設置する取り組みも。
ホシノタニ団地に入居する「喫茶ランドリー」を運営する株式会社グランドレベルと小田急電鉄、そしてクラウドファンディングで支援した「小田急ベンチーズ」によって、人と人、人とまちをつなぐ取り組みの輪はさらに広がっています。
人と人、人とまち、場所と場所がつながることで、よりいっそう座間のまちがかがやく。
点から線へ、そして物語によって面的な広がりが生まれ、
そこで暮らす人々が「座間のまちに育てられたこども」になる。
次号では、これらによってつながり広がった物語を、さらに深掘りしていきたいと思います。
お楽しみに。