物件探しで気になる、建物の耐震性について
突然ですが、災害の防災対策について、皆さんはどんな対策をされていますか?
日本に住む上で住まいと切り離せない一つに、「災害」があります。
近年地震や水害、風害と言った自然災害が増え、50年間被害に遭ったことがなかったという地域でも、被害を被っています。確かに子供の頃はもっと穏やかだったような気がしています。
世界気象機関(WMO)によると、暴風雨や洪水、干ばつといった気象災害の発生件数は1970年から2019年の50年間で5倍近くに増加しているそうです。
地震もまた同じく、増加の傾向。東京都では、マグニチュード7クラスの首都直下地震が今後30年以内に70%の確率で発生すると予測されています。
東京都内では、洪水による水害の対策や、地震による火災の対策など、災害時の二次被害を防ぐためのまちづくりや、対策を講じている行政の動きが活発になっています。
1. 物件探しで気になる、建物の耐震性について
旧耐震基準(1981年(昭和56年)5月31日までの建築確認において適用されていた基準)のマンションも視野に入れて探している方も当然多いと思います。
1960年台〜1980年の建築、デザインが魅力的な建物も多く点在し、新しい物件の佇まいよりも魅力に感じる人が多いのも事実です。
また、住みたい町と予算の関係で旧耐震の物件を選択される方も。
そんな、気になる耐震について。
2.築年数だけで検索すると見逃してしまう!?優良な物件
物件を探していると、1981年よりも前の物件で「耐震基準適合」している物件に出会うことがあります。
マンションの管理組合の皆さんで検討し、積み立ててきた修繕積立金を利用して、建物の耐震診断を実施し、新耐震基準を満たせる耐震補強工事を行なった、
所有者の皆さんの愛が詰まった物件です。
実際に耐震補強工事はその建物の規模により何千万円〜億に及びますので、なかなか実施できないマンションが多いのが現実でありますが、地道に物件を探していくと、あるのです。このようなマンションの多くは、管理状況も良く、古い物件でも申し分ないことが多い印象にあります。
3.増加傾向にあり。耐震補強工事の実施状況について
東京都内の各行政区では、マンションの耐震補強工事に対しても支援を行っており、これにより老朽化したマンションやビルの耐震性を高め、地震の災害から住民を守ることを目指しています。
特に、首都直下地震のリスクが高い東京では、マンションの耐震性向上が緊急の課題となっており、各自治体は積極的に支援策を展開しています。
以下では、東京都内の主要な行政区におけるマンション耐震補強工事の助成金の額、また積極的に取り組んでいる行政区の特徴について調べてみました。
4. 東京都内の各行政区における耐震補強工事の助成制度
東京都内でマンションの耐震補強工事に対する助成金は、行政区ごとに異なります。一般的に、マンションの耐震補強工事は規模が大きいため、助成金の金額もかなり大きい場合がありますが、助成の対象となるのは住民の合意や工事内容によって決まります。マンションの場合、個別の住宅とは異なり、建物全体の耐震補強工事となるため、管理組合や所有者全体の協力が不可欠です。
東京都(東京都全体)
東京都自体は、マンションに対しても耐震補強工事の助成金を提供しています。
2025年時点においては以下の支援制度があり、特に力を入れている行政区をご紹介します。
マンション耐震改修支援事業:耐震診断と改修工事にかかる費用の一部を補助する制度で、助成額は改修費用の最大1/3程度。上限はおおむね1,000万円から2,000万円程度の範囲です(建物規模や工事内容による)。
耐震診断助成金:マンションの耐震診断を受ける費用に対して、最大10万円程度が補助されます。診断の結果、耐震補強が必要と判断された場合、その後の補強工事に対しても追加的な支援が受けられることがあります。
世田谷区は、特にマンションの耐震補強に力を入れている区の一つで、マンション管理組合に対する支援が充実しています。
耐震改修助成金:マンションの耐震改修工事に対し、最大で3,000万円の補助が支給されることがあります。工事費用の一部(最大3分の1)が助成されるため、規模が大きいマンションほど助成額が大きくなります。
耐震診断助成金:マンションの耐震診断に対しては、費用の一部が助成されます。具体的には、最大20万円程度の支援が受けられる場合があります。
渋谷区、杉並区もマンション耐震化に対して積極的な姿勢を示している区です。
新宿区は、高層マンションや集合住宅の耐震化を重視しており、比較的大規模な助成を行っています。
5. 積極的に取り組んでいる行政の特徴と具体的な目標
地震リスクへの高い意識と早期対応
特に世田谷区や渋谷区などは、区内のマンションに対して耐震診断を早期に実施し、その結果に基づいて速やかに補強工事を行うための支援策を展開しています。例えば、世田谷区では、「2030年までに区内のマンションの80%以上を耐震補強する」という目標を掲げ、耐震化を推進しています。
長期的な計画
東京都内の行政区では、耐震補強工事をマンション全体に広げることを目的とした長期的な戦略を採用しています。例えば、東京都は、都内全体の耐震化率を高めることを目指し、今後10年で最大30,000棟の耐震補強を進める目標を掲げています。こうした長期的な計画により、技術の発展や積極的な選択を進めることが期待されています。
6.技術の向上による今後の進化
10年ほど前に耐震補強工事を検討したが、当時は技術が追いつかず補強工事の方法が見つからず、工事を実施できないマンションがありました。その10年度、再度専門家による調査を受け、現在の技術であれば耐震補強工事が可能であると判断された事例もあります。技術の進化によって耐震補強工事のハードルが下がることで、震災の被害を最小限に抑える効果だけでなく、不動産価値の向上も期待されます。