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vol.57 ブルースタジオの“パートナー” 「hocco」の下村さん・中山さんと、編む

〈前編:hoccoが始まる、その前のはなし〉

今回はブルースタジオの“パートナー”特集第3弾。

ブルースタジオの“パートナー”特集とは
プロジェクトを共に創り上げた“パートナー”にフォーカスし、ブルースタジオとの関係をご紹介するとともに“パートナー”の方々にお話を伺うことで、“外”からブルースタジオを編むシリーズです。

バスの折返場に店舗型賃貸住宅を設計したプロジェクトhocco
今回は、このご担当者である小田急バスの下村さんと中山さんに、プロジェクトを始動するまでのプロセスや課題、運営までの道のりについてお話を伺いました。
また、このプロジェクトを通して、企業様が保有する不動産の有効活用という視点からも、お二人のエピソードをご紹介したいと思います。
(記事:広報担当 戸丸)


1 小田急バスさんとの出会い

小田急バスさんと初めてのお仕事は、「flat空」「宮前アパートメント」という賃貸住宅のリノベーションでした。どちらも小田急バスさんが所有する不動産ですが、宮前アパートメントは1984年にバスガイドさんたちの女子寮として建てられた賃貸住宅です。

宮前アパートメント

その後、小田急バスさんが観光業を辞めたことで一般賃貸住宅へと転向されたのですが、建物の老朽化に伴い、賃料の値下げを繰り返しながら運営を続けていたため、下村さんは「建物の再生を図ることで、不動産価値を高めていきたい」とブルースタジオへお声がけいただきました。そして、空室になるタイミングで1部屋ずつリノベーションを実施しながら、これまでよりも高い賃料をキープし、現在も賃貸住宅としての運営が続いています。

こういった実績が社内でも評価され、「じゃあ、次に何をしようか?」と考えた時、下村さん自らブルースタジオが手がけたプロジェクトの視察ツアーを企画して、グループ会社の小田急電鉄さんと手がけた「ホシノタニ団地」を視察。その後、小田急バスさんが所有する物件や土地の中から検討を重ねた結果、現在のhoccoがある桜堤の「折返場」とその隣接未利用地が選ばれました。

近年の都市開発に伴い、駅前にロータリーを設ける駅が増え「折返場」は不要になるケースも多かったそうですが、小田急バス内では「折返場」を有効活用することは検討していなかったそうです。しかし、弊社のクリエイティブディレクターである大島は、この「折返場」を視察し「是非ここを起点に地域に貢献できるプロジェクトを始めたい」とhoccoの舞台が決まりました。

時代の流れとともに、その場所に必要な役割も変化していくならば、逆に、今必要とされている場所として変わることで、またその場所は再生され、そしてまちも元気になっていく。
この「バスの折返場」の再生のために、「hocco」のプロジェクトはスタートを切りました。

下村さんと中山さんってこんな人
小田急バスのご担当者である下村さんは元ゼネコンから、中山さんは不動産の売買仲介業から、それぞれ小田急バスの不動産事業部へ入社され、小田急バスで保有する不動産の有効活用業務をご担当。

下村さんは、好奇心の塊のような方で、お会いする度に楽しそうにこれからのhoccoのアイディアを語ってくださいます。

中山さんは「おもてなし」の極みのようなきめ細やかなお人柄で、うっかりすると私たちがお客様だと勘違いしてしまいそうになります。

このお二人の絶妙なコンビが、
hoccoの魅力だといっても過言ではありません。

2 hoccoが解決するべき社会課題

hoccoのある「桜堤」の団地周辺にも、昭和40年代頃までは商店やスーパーが存在していましたが店舗の老朽化とともに数が減り、地域住民の買い物や集いの場所は徐々に駅周辺の商業地域へと移動していきました。

「hoccoが解決するべき課題は、正にここにあると思った。」と下村さん。

hoccoの手前にあるバスの折返場

企業の保有する不動産は、利益を生み出す場所であると同時に、社会貢献できる資産としての使命を持っている以上、hoccoがこの場所で果たすべき役割は「ここに暮らす人々の集える場所」だったのです。

このプロジェクトは奇しくもコロナとともにスタートし、社会の価値観が根底からひっくり返るような時代の変化を例外なく受けていくことになります。

「リモートワークが増えたことで間取りの変更を検討し、密を避けるためにhoccoの“集う”というテーマさえも躊躇することがあったと」中山さん。

しかし、こんなタイミングで始まったからこそ、hoccoは今求められているものに寄り添い、この桜堤という場所に必要な賃貸住宅になったのだと思います。

ブルースタジオの考え方の一つに、
「あなた、今、ここ」という言葉があります。

インフラ会社という公共性の高い企業として、今この時代に、桜堤という場所に求められるものを考えていくことで、hoccoが目指すべきゴールが明確になっていきました。

これまでブルースタジオでは、小田急電鉄さんの社員寮をリノベーションした「ホシノタニ団地」など、不動産の有効活用を提案するプロジェクトを多く手掛けてきましたが、そのどれもが「あなた、今、ここ」を基軸として、その場所に役割や使命が生まれています。


3 小田急バスさんの「未来創造会議」

小田急バスさんもバブル期の80年代までは、毎年のように新築のオフィスビルに投資していたそうですが、このプロジェクトが始まる直前の2018年当時は、景気回復が見通されてはいたものの、バブル期に比べれば厳しい状況でした。

そんな矢先に、所属する不動産ソリューション部で、所属社員を集めた「未来創造会議」という小田急バスの新しい事業を考えていく動きがあり、バス事業と不動産事業が協力できるプロジェクトとして、中山さんがhoccoプロジェクトの骨子案をご提案されました。

各企業が次々と新規事業に挑戦する時代、小田急バスさんでも「未来創造会議」という時代のニーズに応えるための取り組みが、hoccoのプロジェクトへの大きな後押しとなりました。

hoccoの広場

とはいえ、
「バス会社という公共性の高い事業では、hoccoの骨子案は実に冒険的で前例がなく、事業として成立するのかを説得する必要があった。」と下村さん。

プロジェクトの承認を得て実施するまでの「乗り越えなければならなかった幾つもの壁」をお二人はどうやって突破していったのか。

次回は、
下村さんと中山さんに、hoccoプロジェクトの「バス会社としての事業価値」をどこに見出し、そして社内へ提案したのかについてご紹介したいと思います。
また、hoccoが竣工して3年が経ち、今どのように運営が続いているのか、バス会社ならではの運営のアイディアや、バス会社なのにそんなことまで!といったお話もご紹介したいと思います。
ぜひお楽しみに!

hoccoについてご紹介した記事はこれまでたくさん!
是非、合わせご覧ください。


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