vol.60 練馬の屋敷林に暮らす「種音」を、編む
みなさん、はじめまして!
ブルースタジオに入社し、今年で7年目を迎えた設計チームの水越です。
この度、練馬の田柄という場所で設計していたなりわい賃貸住宅「種音(たね)」が竣工したので、vol.60・61に渡り物件やオーナーについてご紹介していきたいと思います!
vol.60では、プロジェクトについてご紹介し、
vol.61では、オーナーへのインタビュー編をお届けしていきます。
「残しながら作る」を決断した練馬の13代目オーナー
「種音(たね)」のオーナーはかつて練馬で農家をされていた上野家の13代目上野達也さん、上野綾子さんご夫婦
2020年にお父様からご自身が育ったお屋敷と土地を相続し、有休地となっていた土地の活用のために賃貸住宅を建てる決意をされました。
上野さんは当初、大手ゼネコンやハウスメーカーに設計の依頼をしていましたが、提案はどれもお屋敷と土地を売却し、その資産でRC造のマンションを建てる案。
敷地にできるだけ大きなマンションを計画する案は、収益性も良いのですが…
「今まで暮らしてきたお屋敷や庭を本当に取り壊してしまっていいのか」
そんな意見がご家族の中であり、一度今まで進めてきた計画を白紙に戻して「物件の物語を紡ぐ」ことを得意とする、私たちブルースタジオにお声がけをいただき、お屋敷や庭を残すことを前提としたプロジェクトがスタートしました!
お屋敷や庭を「残しながら作る」ことはその分、新しい建物の面積や配置の制約があり、とてもハードルが高く、勇気のいる決断だったと思います…
上野さんの思いに応えるべく、私たち設計士の腕がなるというものです!
屋敷と屋敷林に囲まれながら暮らす
かつての練馬は畑の中に屋敷林で囲まれたお屋敷がたくさん点在していました。上野家が代々受け継いできたこの土地にも立派なお屋敷と庭の木々があります。しかし、そんな魅力的な「練馬の原風景」は、近年、マンションや宅地の開発でどんどんなくなっています。
「種音」はそんな「練馬の原風景」をなるべく残すことで、新しい建物だけでは作り出せない、特別な景観と住環境を作っています。
工事中に通りがかるご近所さんが思わず足を止めて「とても素敵ね〜」と声をかけてくださるほど魅力的な雰囲気になっているのです!
建物は2棟あり、既存の屋敷や木々に囲まれるようにして建っていて住戸はメゾネット型で全12戸、3つのタイプのお部屋に分かれています。
あきない住居 (店舗付住居)
あきない住居は1階に約25㎡の店舗ができるスペースが設けられたお部屋です。2階の大きな窓からは空が広く見えます。
なりわい住居 (アトリエ付住居)
なりわい住居は1階に約10㎡のアトリエスペースが設けられたお部屋です。アトリエスペースや2階の窓から庭の緑がよく見えます。
住居専用
住居専用のお部屋は吹き抜けで繋がったメゾネット型です。敷地の奥にあり、落ち着いた雰囲気の室内からは母屋を見ることができます。
受け継がれていく場所
「種音」は工事期間中に上棟式、それから建物が完成した時にオープニングイベントの2回イベントを行いました。それぞれのイベントにはたくさんの近隣の方々が訪れてくださり、オープニングイベントはなんと500人近くの方にご来場いただきました!
「子供たちが建物を継いだ時に住みたいと思ってもらえるような場所にしたい!」と、ご自身の思いをお話ししてくださった上野さん。
ご家族で作り上げた建物にたくさんの方が訪れている光景は子供たちの記憶にとても誇らしく、素晴らしい思い出として残り、いつか建物を受け継いだ時にはきっと「住みたい!」「守っていきたい!」と思うような場所になっているのではないでしょうか。
オーナーの上野さんも種音でお店をオープンします!
次号vol.61はインタビュー編です。
ご紹介した通り「種音」は入居者がお店をやりながら、住むことができるのですが実はオーナーの上野さんも同じく「種音」で飲食店「gak」をオープンします!
ご夫婦の夢だった「お店をやること!」
次号では種音の名前の由来や上野さんが種音に込めた思い、ご自身のお店についてインタビュー編でたっぷりとお届けいたします。
どうぞお楽しみに!
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