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vol.58 ブルースタジオの“パートナー” 「hocco」の下村さん・中山さんと、編む
〈後編:時代を見越した社内提案とhoccoの今、そしてこれから〉
ブルースタジオの“パートナー”特集第3弾。
ブルースタジオの“パートナー”特集とは
プロジェクトを共に創り上げた“パートナー”にフォーカスし、ブルースタジオとの関係をご紹介するとともに“パートナー”の方々にお話を伺うことで、“外”からブルースタジオを編むシリーズです。
前編は、小田急バスさんとの出会いからhoccoプロジェクトが始まるまでの物語をご紹介しました。後編は、hoccoプロジェクトに「バス会社」としての利益や社会的価値をどうやって生み出していったのか、再びお二人のインタビューとともにご紹介していきます。
1. 前例のないプロジェクトの社内提案
ブルースタジオ戸丸(以下、戸丸):小田急バス内で実施された「未来創造会議」が追い風となり、hoccoプロジェクトの社内提案が通ったというお話でしたが、前例のないhoccoのプロジェクトが認められた要因はどこにあったんでしょうか。
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中山さん(以下敬称略、中山):ちょうど未来創造会議の後に、小田急グループで始まった「マーケティング研究会」という外部の有識者の方と小田急グループの社員が参加する勉強会があって、ここでもhoccoの提案についてレポートを提出したんです。その結果、「やってみたらどうかな」という話になったんですよね。
その時は、まだ今のhoccoのコンセプトはなくて、一般的な新築賃貸アパートの建設と、バス路線沿線の価値向上策を盛り込むことを漠然と考えていて、そこからブルースタジオさんに相談して、いろんな要素をつけ加えていったという流れですね。
特にブルースタジオさんの企画は物件の運用や客付けまで、オーナー目線で提案していただけるので社内へも提案しやすかったです。
下村さん(以下敬称略、下村):そんな新しい取り組みが始まった時期だったということもあって、タイミングが良かったですね。所属する不動産ソリューション部のメンバーも、私自身が某ゼネコンから中途で入社、中山さんも不動産業界からの転職、そして当時の部長は元小田急電鉄からと、外部の人間が多かったというのも要因としてあると思います。
ただ、バス1台が約2500万円に対して、億単位の事業費がかかる前例のないhoccoプロジェクトは当然受け入れ難いですよね。
中山:以前から「収益性重視の賃貸物件を新しく作ろう」という話はしてきたんですが、本業のバス事業が優先であり、なかなか社内でも新規投資に対する理解が得られずにいました。今回のhoccoも、事業としての収益性の確保やコンセプトの説得には時間がかかりました。なので、役員会議での報告を何度も繰り返しましたね。
下村:でも、もう一ついいタイミングがあって。というのも、親会社である小田急電鉄が「地域価値創造型企業」という経営ビジョンを打ち出した時期だったんです。つまり鉄道会社として地域価値を上げることで、人も電車を使ってくれるし、同時に「まち」が豊かになっていくという考え方ですよね。
だから、小田急電鉄が、
駅近郊の商業地である「鉄道エリア」に対して事業展開するところ、
私たち(小田急バス)は、
「折返場」という主に住宅街の「バス路線エリア」に対して、
この「地域価値創造」というビジョンを打ち出して事業展開することが、
「小田急グループとしての利益」につながると考えました。
戸丸:会社のビジョンや方針のタイミングが、正に“地域コミュニティとつながるための賃貸住宅”「hocco」のプロジェクトを始める最高のタイミングになったんですね。
下村:そうなんです。時代の流れとして、経営指針にSDGsを組み込む企業が増え、事業活動が環境や社会に与える影響や社会的な責任について、社会全体が意識を向け始めていることで、hoccoが「地域価値創造」というビジョンを掲げていることは強みでしたね。
お二人とも「タイミングが良かったから」と口を揃えてお話くださいましたが、会社の目指すべき方向性を常に意識し、時代の流れに強い関心を持っておられるからこそ、このタイミングに気付けたのだなとお話を伺いながら思いました。
2. バス会社なのに? いや、バス会社だからやったこと。
戸丸:hoccoは顔の見える“なりわい暮らし”が実現できる場として、私たちブルースタジオのスタッフも、竣工当初からhoccoの一員として、地域の人が集える場所を目指し定期的にイベントを開催するなど、地域の輪を広げる活動を続けてきましが、それと同時に、小田急バスさんならではのインフラに対する取り組みが、この地域の輪を広げていくための大きな要因になっていたと思います。
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中山:そうですね。バス会社なので当然バスに乗ってもらうことが一番嬉しいので、hoccoの入居者には、小田急バスをご利用いただけるサービスのほか、レンタサイクル、カーシェアサービス、EVバイクを近隣の方も含めて利用できるように設置しています。
戸丸:そこですよね。バスの利用は理解できるのですが、なぜバス会社さんがバス以外の乗り物のサービスを導入しているのか?詳しく伺えますか?
下村:これはhoccoのコンセプトでもあった「地域価値向上」にあります。hoccoの建物自体は、確かに小さなコミュニティを作るための“住まい”として機能していますが、そもそも、この場所に集まるための手段はバスか徒歩だけ。だからもっとhoccoへのアクセスが便利になるように自転車や車を導入して、hoccoという場所が地域の方の目的地や出発地になったらな、という考えで導入しました。
乗り物以外にもAmazonロッカーを設けていますが、これはhoccoが目的地になるという側面もありますが、現在、小田急グループが取り組んでいるMaaS推進活動の一環でもあります。
3. hoccoの今、そしてこれから
戸丸:hoccoが竣工して3年が経ちましたが、今、そしてこれからのhoccoの運営や取り組みについて教えてください。
中山:今現在hoccoでは、「hoccoの日曜市」というイベントを月に1度実施しています。こういったイベントは、やっぱりバス会社ではなかなか出てこない感性や発想力で、ブルースタジオさんに企画提案していただけるのでとても助かっています。通常は、設計・物件管理・イベント企画と、別々の会社にお願いするところを、ブルースタジオさんにはプロジェクトの基本計画から設計、運営管理、イベント企画まで、プロジェクト全体を一貫してコーディネートしてもらっています。特に担当のスタッフさんとは同じ目標に向かって、共に喜び、悲しみ、問題解決をしながら進んできたので、ある意味同志のような気持ちでいます。
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戸丸:ありがとうございます。お二人の運営に対する熱量が私たちスタッフの励みになっているのだと思います。一つ一つ積み上げてきたものの結果として、これまでのイベント来場者数は累計で約6,000人と伺いました。これからのhoccoはどんな場所へ進もうとしているのでしょうか。
下村:これからは小田急グループで推進している“子育て支援”ができるイベントや企画も実施していく予定です。既に、こどもの日には鯉のぼりイベント、その他、季節にあわせた餅つきイベントや七夕イベントも開催し、ご家族連れの方々に楽しんでいただきました。
また、最近では近くの小学校が社会科見学にhoccoを見に来てくれたり、近隣の方がhoccoの広場を使いたいと相談くださったりと、地域の方がhoccoを活用して下さる機会が増えてきています。
なので、これからは地域の皆さんが自発的に何かしたいというように、hoccoを普段使いしてもらえる場所にして行けたらと思っています。今、hoccoは植物に例えれば、やっと芽が出たぐらいかなって思っています。これからも水をあげたり、肥料をあげたりして、どんどん大きな木にしなきゃいけないという思いで運営を続けています。
お二人のご尽力あってhoccoは無事竣工を迎え、ありがたくもグッドデザイン賞までいただきました。そうやって徐々に周知され始めたことで「あのhoccoを手がけた小田急バスに入社したい」という新卒生が増えたそうです。hoccoは、今もプロジェクト以外の場所で影響を与え続け、物語を編み続けています。
4. 小田急バスさんとの次のPJが進んでいます!
実は、小田急バスさんとの新しいプロジェクトが絶賛進行中です!
場所は「深大寺」
まもなく上棟を迎えるこの深大寺プロジェクトもhoccoと同様に、店舗ができる賃貸住宅「なりわい・あきない住宅」として小田急バスの停留所横に建設中です。場所が変われば、その場所に合った“暮らし”や“なりわい”があります。
小田急バスさんと一緒に、また新たな物件の物語を、この場所で暮らす方々や地域の方々と編んでいきたいと思います。
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