ネコーヒー:エスプレッソ #9杯目

 テトとマユを我が家に迎えて良かったことは、何と言っても猫同士が仲が良いことである。

 初代の猫たちは人間に対しては友好的だったが、猫同士のコミュニケーションは壊滅的いや崩壊していた。初代女王陛下はキトンブルーの頃より人間に育てられたためか自分以外の猫を敵とみなしていた。野良生活を経験したドンクサお嬢はニュートラルであったものの、空気を読まないボンクラ小僧の体当たりコミュニケーションには辟易していた。そのため1軒の建物の中で3匹の猫が隔離に近い状態で暮らしていたのだ。
 それに比べてテトとマユのなんと睦まじいこと。どの季節でも扉を開け放っていても全く問題ないし、家を留守にしても寂しい思いをさせる心配がない。

 しかし一方で困るのは、テトとマユの仲が良すぎて人間が常に猫吸いの禁断症状に耐えなければならないことだ。テトとマユはお互いに寄り添い暖め毛繕いをする。なので人間は食餌と排泄の片付け以外で必要としないのだ。

 猫同士が寄り添っている姿は黄金比の美しさ、同じ空間に居合わせただけで脳に輝きが充填される。
 それでもやはりその黄金比の一部になりたいという欲望は捨てきれない。いつでも床暖房になる覚悟はできてございます、いつかは我が膝におふたりで。


今日の英語:Desire

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