ネコーヒー:ストレート #8杯目

 一昨日のこと、マユが盗み食いをした。
 基本的にテトとマユは鷹揚だ。床に未開封のフードが置いてあっても破かないし、ストックを入れている瓶を倒すこともしない。どれだけ時間がかかってもダンス&ソング+キャノンで人間に給仕させる。それほど私を信頼してくれているのか、それとも「人間に給仕させた食事ほど美味しいものはない」と思っているのだろうか。
 テトとマユの行動範囲は1階と2階で区切られている。厳密には、我が家は玄関を入ってすぐ右側が階段となっており、2階フロアと玄関を隔てるものがない。そのかわり玄関と台所・居間スペースの間は扉があるため、そこから先は猫たちにご遠慮いただいている。

 しかし台所・居間が絶対の厳禁というわけではなく、日中人間が留守にすることが多いためそのような習慣にしているだけのこと。私や母が居る時は扉を開け放っているいることも多い。そんな間隙を突いて事は起こった。
 母が2階で洗濯物を干し終えて階段を降りようとしたところ、入れ違いにマユが駆け上がってきた。いつもと様子が違うと勘が働き、1階に異変は無いかと確認した。すると明察、小鍋から油揚げが消えていた。
 下茹でしただけの状態だったため、まだ調味料は入れていない。一緒に茹でたのも山菜のみ。猫には全く無害で美味しいものだけをマユは盗み食いしたのだ。
 その後のマユは少し決まりが悪そうにそわそわしていたが、私が帰宅するとしっかり夕飯を平らげた。

 何てささやかで愛しい盗み食い!初代の猫たちの中には鮭やシシャモ、果てはフライパンに残った油までさらっていった者もいた。初代たちのあまりの食欲にフードのストックを冷蔵庫の上に保管する習慣がついたくらいなのに。
 これほどの貫禄がありながら食の選択は優雅に。それが人間から“量”を引き出すコツなのだろう。

今日の英語:Elegant

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