あの大循環の旅の果てに
布一枚口元に隔てただけで、季節は僅かに遠ざかった。
この冬は暖冬であるように思う。マスクをしていると肺に冷気が到達しなくなるので、体の芯で感じる寒さがなくなる。だがそれだけではなく、風が吹いても襟元や耳朶に射るような冷たさを感じない。今年は冬の底に立つような無慈悲な冷気に触れただろうか。
そんな傲慢を打ち砕く嵐。瞬間的に、猛烈に、強い風、嵐。解き放たれた疾風、どこかで濃縮されていたのか。蒼と白の乱反射、結晶を解凍したかのように。
かつて私が言った、そしてもう一度言おう。風よ吹け、谷を越え丘を抜け、人為を蹴散らして。
今日の英語:Gale