ネコーヒー: ストレート #9杯目

 胃腸が頑丈なためかマユは肉付きが良い。それも「肉が余る」ような太り方ではなく、非常に高密度、筋肉を鎧とするアスリートのような体型をしている。毎昼毎晩廊下で“消しゴム”を追いかけて走り筋力トレーニングに努めている成果でもあるのだろう。

 マユのお腹の触り心地を表すオノマトペは「もちもち」で間違いない。しかし発音の際に注意しなければならないのは「もちもち~」でも「もっちもち」でもなく、行進曲のごとく拍を強調した二拍子の『ち』であることだ。弾力性に富んだその腹部は、きっとヒョウアザラシのように柔軟な筋肉と上質の脂肪が詰まっているのだろう。

 しかしマユはこう見えて気のいい猫である。妹分であるテトといつも互いに毛繕いをして、どんな空腹の時でもテトの食餌を強奪することはない(ただし魅惑の液状おやつをのぞく)。この恵まれた体格と協調性と面構え。マユならば女神フレイヤの猫戦車を牽くことも可能だろう。

 恐ろしげな姿でありながら慈悲深い、マユは明王の如き猫なのである。


今日の英語:Tank

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