北極星を見つけられなくても
夏にマスクは鬱陶しいが、冬にマスクは快適である。不織布であっても覆われていると頬が暖まるし、吸う息も冷たくない。それでも一抹の寂しさはある。
冬の透明度の高い空気に肺が冷える感覚。体は冷えるがそれに比例して血管か澄んでいく。帰宅路にはそれが当たり前だったのだが、それがない。
だから振り返り、誰もいない夜の道で素顔で深く呼吸する。冷たいが甘い空気。こんな美味たるものを無造作に呼吸していたのかといつも驚く。
同じ酸素と窒素の分子であっても、禍々しきウイルスがあり、冬の純度の高い透明があり。明日の空気は何を運ぶかは分からない。そっとため息を吐く。
今日の英語:Sigh