少しずつ原始の静けさに近づく

雨は好きだ。街の音が遠くなって静かになる。人出も減って、広い道、明るい店、がんとして平行異世界のようになる。
自転車は乗れないし傘も荷物だけど、街の別の層を見せてくれる雨が好きだ。
だがもう一ヶ月、街は雨が降った日のように鎮まっている。
みな顔を隠して、月曜の夜8時でも日曜の23時のように暗い。
やけに明るい電車の車内。貼り紙されたシャッター。いつまでも埋まらない売り場の一角。この空疎がいつまでも続くか、漠然とした不安は次第に確実になっていく。
そして空は澄んできている。

今日の英語:Rain

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