
コンクリートに広がる根
再々度、かの橋梁で撮影した写真について。
橋梁では写真の撮れ高もその光景の堪能も充分なものであった。特に、日常的に接することはないが生活に必須な機構を間近で観察することができた。路傍に設置された非常通報装置を見ると、その内部やサイレンがどのようになっているのかどうにも気になる。
騒ぎを求めていないし非常事態に身構えている人達に迷惑もかけたくない。だけどそこに内包された『特別なしくみ』がどうなっているのか好奇心が駆き立てられるのだ。
必要としないことが幸い。眺めるだけにとどめておこう。
私は無機物に表情を感じる光景が好きだ。だから植物に浸蝕され有機物と融合しつつある状態に惹かれるのだろう。だが何故無機物に表情を見出だそうかは不明だ。
橋梁のある人工島では大型の鳥が棲息していた。明らかにカラスより大きい猛禽だ。私の知識と視力ではその鳥が何であるか鑑別できない。しかし以前に観た動物ドキュメンタリーでチョウゲンボウという鳥が紹介されていた。その番組内では都内湾岸で保護活動がおこなわれている水鳥コアジサシ狙う猛禽として登場していた。コアジサシの営巣地との距離を考えれば、この鉄塔の上の鳥がチョウゲンボウであってもおかしくない。
猛禽は生態ピラミッドの頂点にいるからこそピラミッドの裾野が広くなくては生存できない。コアジサシにとってチョウゲンボウは敵なのであろうが存在は悪ではない。コアジサシが生きるように、チョウゲンボウも生きるべきだ。
あの鳥は飛ぶだろう。晴れの空も雲の日も、そこに風がある限り。
今日の英語:Organic matter