歴史の先生


私は学生時代の頃から勉強が苦手だった

高校もギリギリ卒業した

勉強は嫌いでも学校は大好きだった

どんだけ前日に夜遊びしても次の日に遅刻などせずに登校して授業中に寝ていた

退学なんてしたくなかったし、退学したところで特別やりたい事もなかった

同級生の中には好きな奴もいたし嫌いな奴もいた

何というか、ある程度決められた枠内で工夫して遊び倒すのが好きだった

これは音楽等のジャンルにも言える事で

時々耳にする「ジャンルに縛られたくない」って台詞を聞くと「分かってないなぁ~」と感じる

例えばロックバンドでいえばラモーンズなんかは縛りの極地だ

全ての曲が3分ぐらいでカウントのワンツースリーフォー!で曲が始まる

そして基本的にポップだ

決められた枠内で様々な事を挑戦する難しさって、やってみると飽きないし楽しいし

好き勝手な音を出しても良いという状況なんかより遥かにクリエイティブな行為だ

学校に通っていると好きな科目と苦手な科目が自分の中で出てくる

私は歴史と国語の教科が好きだった

その証拠に現国と世界史と日本史の偏差値が80を超えていた

他の理数系が全て赤点で

凄くバランスが悪い生徒だった

国語が好きなのは昔から本を読むのが好きだった

歴史が好きなのは中学一年生からだ

歴史の先生が授業1回目の最初に言った言葉が今でも忘れられない

「歴史の教科だけは人が生きていくのに絶対不可欠なんだ、他の教科は無くても人は生きていけるが歴史だけは無くてはならない」

中学一年の私も含め教室内には「随分大きく出たな」という雰囲気が漂った

正直、年号を暗記したりするのが多く「これのどこが必要なんだ?」と思った

ところが段々と当時の武将の心理的な駆け引きや国の納め方なんかは実に面白かった

教科書に書いてある事なんで本当の事かなんて分からないが、興味が湧いた

人が生きていくのに絶対不可欠という意味は何となく分かった

人類がしてきた行為、悪事等を記してある教科書を学ぶ事によって

なるべく同じ過ちを繰り返さないってとこなんだと思う

同じ事をして違う結果を求める人は本当の愚か者だからだ

歴史を好きになったおかげで好きな本のジャンルは幅が広がった

ほとんどの歴史的な小説なんかは高校を卒業するまでに読み終えた

代わりに蕁麻疹が出る程苦手なジャンルの本も出てきた

参考書的な何の味気も無い本だ

知識のための本や書き手のメッセージなんかが全く見えてこない本や自己啓発関係の本なんかも苦手だ

あと、宗教関係の本だ

有難い教えなのかも知れないが、大きなお世話だ

人から本を借りたり持っている本なんかを見ると大体その人がどんな人なのか、自分に合う人なのか合わない人なのかが分かるようになった

私から言わせると文章が書けない人は教養が足りない人なんだと思う

味わい深い散文詩なら分かるが、ただのマスターベーションみたいな詩を見かけると「新宿駅辺りで配っとけ」と思う

これは私個人の考えなので詩人気取りの人には沢山つまらない詩を書いて悦に入りジム・モリソン気分に浸っていて欲しい

たまに、味わい深い詩を見かけると感動して調べると有名な詩人だったりする

この辺りの私の物差しを作ってくれたのは歴史の先生だったみたいだ

「高校ぐらいは出ておけ」という当時の言葉の意味が今なら何となく分かる気がする

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