Road to no where - Mountains - Stars
サンタバーバラからラスベガスへの道は果てしない。
LAまでの距離が約100マイル、LAからベガスまでは約300マイルというところか...時間にしたら6時間ぐらいだろう。
途中、LA周辺のフリーウェイで渋滞にはまるがそれを抜ける頃には夜の帳がおりて気がつくと車でうるさかった道もがらり...
前にいる車との車間距離を気にしなくとも快適に走りが感じられるようになった。
渋滞でのイライラがいつの間にか消え去った...
大きな理由は、景色の変化だろうか。
人工的に作られた道と、それを囲む両脇の景色が住宅地やビルだったのが、車が流れ出した頃には、山や緑に変わっていったからだった。
すぐ近くに感じられた山や緑が
次第に遠くへシフトしていくと、気分がいっそう落ち着いた。
やっと、ラジオから流れる音楽に耳を傾ける余裕がでてきた。
遠く離れた山を夕陽があかく染める景色。そんな黄昏時をバックに、ラジオから流れてくるのがイーグルスの "Tequila Sunrise"だったりするからたまらない...
夜に入りたての若い夜というのに気がついたのもこのラスベガスへの旅だった。
若い夜は、都会の熱気を浴びてうっすらとした白みと交わって群青色のような感じで青みがかった感じなのだった。
道が進むと、そんな若い夜も
あっという間にどこかへ消えてしまった。
気がつくと視界に飛び込んでくるのは
深い闇を照らすヘッドライトの光と
次から次へとこちらへ向ってくる分離線だけになっていた。
ラジオからdoors "Break On Through"が流れていた...
真っ暗な夜のフリーウェイはこの世とは別の世界へつながっているような錯覚に陥る。
ラジオも町が恋しいのか、ザーザーとなきはじめた。
音楽が切れたお陰で我にかえったオレは
手元にあったカセットへ切り替えた。
同時に空気をかえるために窓を開けた。
すると、静の空間だった車内が一気に動の空間へかわる。
荒野の冷たい空気が車内へいっせいに流れ込むとボーッとしてた意識が一気に覚醒した。
しばらく気がつかなかったが、
満点の星空が一気に視界へ飛び込んできた。そして自分以外に走ってる車が完全になくなった事に気づいたので車を止めて外へでた。
真っ暗な闇に包まれた夜と思っていたが
外へでてみると星空の明るさで視界に入る景色全てがくっきりと分かるぐらいだった。
天の川という形容があてはまるのは、このような空を指すのだろう。
視界にはいる空の全てが無数の星で覆われている。数え切れないぐらいにちりばめられた一つ一つの星の放つ光に、こんな空だったらUFOもそりゃいるだろうなぁという気にさせられた。
車からクラプトンバージョンの knockin' on heaven's door が聞こえてきた...
アメリカという大地は大きい、そしてそれを包む空はもっと大きいということが思い知らされた夜だった。
2006/5/30の日記より
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